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5:工作所の俺 と管理人のオッサン


「ふっふっふっふ……!」



 お天道様のもと、俺は元気に『開拓都市トリステイン』を歩いていた。


 この街もすっかり綺麗になったもんだ。

 十年前なんて当たり前に糞尿が撒かれたりしてたからな。

 リアル中世並みの衛生環境だったよ。



「日本人ソウルを持つ俺には耐えられない環境だったぜ。さてヒヨコくん、そんな俺が今向かってるところはどこでしょう?」


『ピヨ』



 そう正解!(問答無用)



「答えは、共同工作施設だ!」



 お金を払えば誰でも木材加工から鍛冶作業までさせてくれるステキなところだってばよ。

 はいそんなわけでスキル≪高速歩法(スピードウォーク)≫を使って爆速歩行。


 途中で「あらジェイドちゃん元気ね~」と近所のおばさんからパンもらったり「ママどこー!?」と泣き喚くキッズにパン半分こしてあやして母親を見つけてあげたりしつつ、施設まで到着した。



 うしきたぜ。



「日本人といえばモノづくりだからなモノづくり。ジャパンの血がうずくってもんだ!」


『ピヨ!』



 まぁ今の俺の血は『暗 黒 破 壊 龍 ジ ェ ノ サ イ ド ・ ド ラ ゴ ン』ブラッドなわけだが、細かいことはどうでもいい。


 管理人さんにお金を払っていざ入場。


 貸し与えられた作業台の上に、さっそく素材をドチャッと並べるのだった。



「はいジェイドくんの3分で出来たらいいなクッキング。今日作っていくのはね、みんな大好き『魔導兵装』になります~」


『ピヨ?』



 食っちゃ寝しか脳にないヒヨコくんに教えてあげよう。


 ――『魔導兵装』。

 それは魔物の素材を使った武器のことだ。



「魔物ってのは身体が強靭に出来てるからな。アイツらを倒すには、アイツら自体の身体を利用したほうがいいってこの世界の人間は考えたわけだよ」



 ソレを知った時にはワクワクしたね。

 モンスターをハントして武器にするとか、それ俺が学生時代にめちゃ好きだったことじゃねーかと。



「まぁ今の邪龍(おれ)はむしろ逆鱗とか剝がされる側だし。てか武器がなくても戦えるんだけどな」



 でも大事なのはロマンだよロマン。

 モンスターハントしたりゴッドをイーターして武器を作るのはもはや日本人の心なんだよ。



「つーわけでやってくぜ」



 はい本日用意しましたのは、『トロールの筋繊維』と『トレントの太枝』ですね。

 こちらで弓を作っていこうと思います。



「ヒヨコくん、トロールってのは覚えてるかな?」


『ピヨピヨピヨピヨピ~ヨピヨ?』


「なんて?」



 まぁどうせ覚えてないだろうから説明しよう。


 トロールってのは先日倒した筋肉ダルマだ。

 IQ3のやつ。

 はい説明終わり。



 んで、トレントってのは人面大木モンスターのことだな。

 普段は木に化けてるんだが、人が無警戒に近づくと口を開いてバックリ喰らいついてくるカス野郎だ(※三回嚙まれた)。



「厄介な魔物だけど、コイツの枝は普通の樹木よりも硬くてしなりがあるんだよなぁ」



 だから弓を作るのに最適ってわけだな。



「はいというわけで太枝を削っていきましょう」



 ①まずは持ち込んだ小刀で薄く削っていきます。

 はいショリショリショリ~……バキッ。



「……小刀が折れちゃいましたね。いやまぁ今回のトレントはなかなか強力なヤツでしたからねぇ。今まで多くの冒険者を食らって成長してきたみたいで」



 それを倒して素材を持ち帰ったわけですわ。

 そーいう人間食いまくったヤツの材質ほど強靭になるわけでして。

 小刀の一本くらいしゃーないしゃーない。



「それを見越して二本目持ち込んでるわけですよ。流石ジェイドくんかしこい~」



 はい引き続きショリショリ~……バキッ。



「あっ……うん、まぁそれくらいいい素材ってことでね」



 それを見越して三本目もあっから。

 はい気を取り直してショリショバキ。




「………………」




 なんかもう全てがめんどくさくなった。


 いいよ。どうせ周囲に人いないし、そのうえ俺って作業中は邪魔されたくないからスキル≪隠密(ハイディング)≫で存在感消してるし。


 というわけで、爪を変形させて邪龍クローを顕現。

 それでペロッと太枝をなでると、あっちゅーまにイイ感じの薄さに裂けるのだった。



「はいそんなわけでね。①の作業がめんどくさくなったみなさんは、ぜひ邪龍に転生してみてください……」


 

 ちょっと敗北感を覚えつつ、気を取り直して②の作業に向かう。


 今度は弦づくりですよ弦づくり。

 普通の弓は馬の尻尾とか使うみたいだけど、今回は魔導兵装ですからね。

 なんとトロールの筋繊維を使っちゃいます。



「これをヨリヨリネジネジして一本の弦にして張るわけですね~。いやぁ強力な弓ができそうです」



 ②期待を胸に、施設にある専用の加工機をお借りしましょう。


 糸紡ぎ機みたいなもので、筋繊維の両側をがっちりセットして手元のハンドルを回すと、グリグリとねじれて~~~~~~~~~~~~バキッ。




「あーーーーッ!? あーーーーーッ!? あーーーーーーーーーーーーッ!?」



 ハンドル! ハンドル折れたぁ!? 

 


「あーっ、ちょっとジェイドくんどうしたわけ!?」



 そして管理人さん飛んできたァッ!



「いやいやいやいやいやなんでもないッスよ!? 絶好調作ってワクワクタイムです!」


「え、でもなんか叫んでたような。あとなんで加工機を背に隠してるんだい?」



 まさか壊したんじゃ……!? と迫る管理人さん。

 ぎくぎくぎくぅ~! 



「そっ、そんなわけないじゃないですかぁ! ハイッ、この通り!」



 そうして俺は加工機を見せた。

 そこには、傷一つない立派な姿が。



「あっ……本当だ。というかなんだか、ピカピカになってるような?」



 はい。

 それは俺がレアスキル≪物体修復(オートリペア)≫を使ったからですね。


 ……と言えるわけもないので、愛想笑いで誤魔化しておきます。



「こ、この施設にはいつもお世話になってますからね~。使用ついでに油差しや清掃をしておきましたァ」


「おぉそうなのかい? 相変わらずジェイドくんは人がいいなぁ~」



 これからも御贔屓(ごひいき)にね~と去っていく管理人さん。


 ふぅ。どうにか評判落とさず済んだってばよ……。



「こわかったよぉ……………!」



 ちなみに、こんな事態になったのは十七回目である。

 おかげで『定期的に設備をピカピカにしてくれるジェイドくん』という妙な異名が増えてしまった。


 はぁ。これまではどうにか悟られずに来たが、いよいよ危なくなってきたなぁ。



「く、くそぉ……! 全ては、全ては邪龍ボディが悪いんじゃ……!」



 どうやら『トロールの筋繊維』を加工するには相当な力が必要らしい。

 ハンドルを回しているときにも元の状態に戻らんとめちゃ反発していたのだろう。


 常人ならそこで回すことが出来なくなって諦めるだろうが、俺は邪龍である。

 筋繊維の抵抗など一切気づかずにクルクルしてしまい、結果、加工機のハンドルくんが音を上げちゃったわけだな。



「うぅ、最初からこうすりゃよかったんだ……」



 というわけで再び周囲を確認。

 誰も見ていないと把握すると、筋繊維を両手の邪龍指でつまんでクリクリした。



 はい弦完成。

 作業手順②終わり。

 邪龍パワーを使うのが一番でした。

 おばかさん。



「はぁ、違うんだよなぁ。モノづくりってのはもっとさぁ、ちっぽけな人間が知恵と時間を尽くして地道にやるもんでさぁ……」



 なのになんだよこの身体は?

 創意工夫ってもんを力づくで解決しやがってよぉ?



「どう思うよヒヨコくん? 人の技術を舐めてるよなぁ?」


『ピヨ』



 お前も同意かそうだよなぁ!(問答無用)



「よし決めた。俺は二度と邪龍パワーを使わないぞ。俺はまっとうに生きるんだ」



 ちっぽけな人間の力で懸命に歩む。

 それこそが『人生』だと俺は思う。



「俺は所詮凡人だ。だからこそ、過ぎた力に飲まれることなく、当たり前に人間として生きていたい。それこそが俺の魂の誓いだ」



 誓約を胸に作業を続ける。


 次はほぼ最終段階。

 弦を通すために、トレントの太枝の両端に穴を開けるぞ。



 ③施設にあった手回しドリル機を使って……バキッ。




「…………」




 うっし、邪龍の爪で穴開けるか~。





【今回の登場人物】


俺:工作所の常連客。クソ邪龍パワーでモノを壊しては焦って直している。破壊と再生を無駄に司る者。


管理人のおっさん:何も知らないそのへんのおっさん。綺麗に使ってくれている(と思ってる)ジェイドに好印象。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公が苦悩しているとやっぱり面白いですね! 底辺領主もリゼ君が「どうしてこうなった!?」って言っている時が一番面白かったように覚えています。
[一言] いや? 工作機械が弱いのでは?
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