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浦島太郎風味物語

警察の仕事で、人を探しにこの浜辺に来た二人。

波の音が爽やかだ。

「なぁ、この辺にいんのかな?亀野井さん」

「いるだろ。きっちり調べて来たんだ。いなきゃ困る」

そうだよなーと言いながら砂浜を歩く。

亀野井さんは最近起きている子共誘拐事件に関わっている疑惑があるので

直接本人に聞きに来た。


「おいおい!金を借りたら返すってのは当たり前だろうがよぉ!!」

げしげし

「や・・・やめてください。明日!明日必ず返しますから!!」

げしげし

「何度目だよ、嘘つく子にした覚えないんだよ!!金返してさっさと死ね!」

げしげしと蹲っている男性を黒服の男二人は慣れた動きで蹴っている。


「闇金だわ」/「ヤバい集団」

顔見合わせて関わりたくないなぁと目線で伝い合う。

プライベートだったら絶対に関わらねぇ、仕事だから関わるんだ勘違いするなよ。

スタスタ

「ちょっとすいませーん。そこのお兄さん方、事情は分かりませんが暴力はいけないかとー」

「ああ?なんだてめぇ」

「邪魔なんだけどー」

二人の男はサングラスをずらして、睨み付ける。

そして

「コイツが金を返さないから俺らで教えてやってるんだよ!!返さないとどうなるかをな!!!!!!」

と大きな声を出し再び

げしげし

と蹴る。

「だから蹴るのやめろって」

「ごめんなさいごめんなさい」

ガクガクと震えている。

「めっちゃ謝ってる・・・・」


はぁ・・・とお互いため息を吐いて

最終手段の警察手帳を見せた。

一発だった。

「今日はこの辺にしといてやる!!!!!!てめぇらも気に入らねぇから、しーねよわんわんお共がよぉ!」

「明日また来るからな!!クソ野郎!」

タッタッタと逃げていった。

「・・・・・一言多いんだよ、めんどくせー」

「確かに、それより大丈夫か?」

よろよろと立ち上がり、大丈夫ですと、かすれた声で答えた。


「じゃあ早速だけど、最近起きている子共誘拐事件のことで」

「助けて頂いた二人にはとっておきの場所へとご招待します」

「いやそういうの、いらないんで」

「行きましょう!!」

腕を引っ張られ近くの森の中へと連れられる。


辿り着いたのは神秘的な神殿。

彼について行くと、一つの女神像と出会う。

「神は言っています。貴方の望む真実はこの奥にあると」

「どういう事だ?」

「歩を進めよ。と仰られています」


女神像の後ろに伸びる道に、視線を移す。

(あそこか・・・・)

「ご案内します」

スタスタと先に行く彼の後を、追った。


スタスタ

「なあ俺たちもう戻れないんじゃないか?」

「なんでそう思うんだ?」

だって

「お前老けてるし」

「それを言うならお前も」

案内人の方を見ても歩みを止める様子も無くて、老けている様子も無い彼に不思議と不気味さを覚えた。

もう戻ろうとした時

「もう帰るのですか?真実を見ずに」

そう言われれば、警察として引くわけにはいかないよなぁ。

「ああそれもそうだ」

再び前へ進んで行く。



辿り着いた先は広場、沢山の骨が転がる場所。

「あれ?案内人は?」

そういえば姿が見えない。

さっきまで居たのに

「目はそんなに長く離していないぞ」

「そんな奴よりこの場所を調べよう」

「ああそうだな」

お互いこの場を調べた。

しばらくして

あーなるほど

分かった/分かったぞ


最初から誰も関わっていなかった。このイカレタ神殿は時の神殿という場所らしい。


この場所に足を踏み入れていく度に老化していくらしいと石碑に書いてある。


子共は無邪気だからな。

ということで、上司に報告しに帰るか。


来た道を戻れば元の姿に戻る。


ああ戻ったんだって安心して外に出れば



見た事の無い景色がそこにあったんだ。



「森じゃない。海も無い!!」

「どういうことだ?」

ハッと仕事仲間が何かに気づく。


「どうした?」


「記憶が間違っていなければ、まだ人類が生まれていなかった時代にこの様な神殿があって・・・・そこにかなり似ているんだ。」


「は?」

「たぶん」

とりあえず二人は歩む。でもどれだけ外を歩んでも誰もいない。


居るのは見た事の無い大型生物だけ。


ああ本当に、時代が若返ったんだと理解したよ。


本音はありえない。


でも声を揃えて言った。


「ならもう一度」

「神殿を歩けば」


戻れる筈だと。



元の場所に戻り、神殿内をコツコツと歩き始めた。

――――――――

「気がつけば長い時を生きたな」

コクリと頷く。

「もういいや」


「悲しいことを言うなよ」

と悲しく笑う。

彼らは初期の人間が住まう時代で、この世界ノ酒を乾杯し、酔い潰れて眠った。


目が覚めたら元の世界だったら良いなという願望を抱いて。


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