#7
セシルの部屋のドアが閉まったのを確認してから、隣の部屋をノックした。
「は、はい……」
出てきたのは、長い髪を耳の下でまとめている子だった。
「あ、えっと……エドワードさん……ですよね。わたし……エティ・メイデンと言います。……えっと、あの……わたし、話すのあまりうまくないし、いいところもなくて……ごめんなさい」
「気にしないで」
「あ、ありがとうございます……。わたし、引っ込み思案で、いつも何もできなくて……。セシルは、少し怖く見えるかもしれないけれど、本当は優しいんです」
「仲いいんだね」
「ここに来るまでは、友達がいなかったので……。今とても楽しいんです。えっと、わたしこれから本の整理をしないといけないので」
「分かった」
「それでは……」
僕が自分の部屋に戻るとき、エティは手を振っていた。僕以上に人と話すのが上手くないようだけど、少しは心を開いてくれたかな。
八時まで読書しようかな。それとも、フローレンスが誘ってくれた紅茶? でも、さっき断ったのに、今度は「淹れて」だなんてわがままだと思う。
自分ひとりの時間になると、眠気が襲ってきた。
最後まで読んでくださりありがとうございます。