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Lonely nightmare  作者: アーヤ
チャプター0 孤児院に住む子供たち
1/24

#1

「先生、この子が――」


 黒いスーツを身にまとった長身の男が、僕の髪よりも濃い亜麻色の髪を持った男性と話している。


 平均的な身長で、白衣には、羽を模したピンバッジを付けており、僕の隣にいる男とは丁寧な受け答えをしている。あのバッジは「博士号」を証明するために大学から贈られるものだ。


「エドワード、こちらはこの孤児院の経営をしている『先生』だ」


 ここを経営……もっと年を取った人がしていると思っていた。でも、特に資格が必要というわけでもないし、門をくぐって少し奥に見える建物は、少し古い印象を受けるから、古い物件を買い取って安くしたのだろうか。


「それでは、エドワードをよろしくお願いします。それでは俺はこれで」


「ええ、いつもありがとうございます。もう少しで雨が降るようですから、お気をつけて」


「ええ、ありがとうございます」


「初めまして。君がエドワードだね?」


 僕は何も言わずにうなずいた。


「じゃ、行こっか」


 既に何回も見たことのあるポストが、山の中にある「孤児院」の前にも立っている。ここで生活している子供たちが、誰かに送るために設置されているのだ。


「エドワードは読書は好きかい?」


 僕は少し躊躇った。人と話すのはあんまり得意じゃないから。


「あ、別に無理して話さなくてもいいからね。僕、昔は人見知りだったから」


「じゃあ、何で孤児院を経営しているんですか? 色んな人が来るのに」


「う~ん……。大人になるにつれて色んな人と話してきたから、っていうのもあるけど……」


 先生は少し黙った。何かを思い出しているようだ。


「――もう一つは友達のおかげなんだ。君によく似てる子だったな。そのこも『エドワード』って名前だったよ」


「友達……ですか。でも、『エドワード』なんて名前、どこにでもいますよね」


「そうだね。君のことすごく懐かしく思えてくるんだ。初めて会ったのに、変な話だよね」


「じゃあ、ここにそのエドワードさんもいたんですか?」


「そうだよ。この孤児院、元は僕の両親が使っていた研究施設だったんだ。お母さんたちは『ある病気』の治療について研究していてね。それと同時に、身寄りのない子供も預かっていて、その子供の中にエドワードがいたんだ」


「そのエドワードさんは、大切な友達でしたか?」


「もちろん。他にも子供たちはたくさんいたんだけど、一番仲が良かった。だから、今でもとても感謝してるんだ」


 ――そう言って、先生は微笑んだ。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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