表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華の色  作者: 伊藤巴
4/8

頼りになるお兄ちゃんですことで



「牧野じゃね?」


静かな静かな緊張感で縛られた晩御飯を終えたあとは兄の部屋で一服する。

兄も喫煙者である。

彼はコンビニでバイトしてタバコ代を稼いでいる。

私がしていることを恐らく知っているが知らないふりをしていてくれる。


「牧野?」


「牧野優人。陸上部のエース。茶髪でイケメンって言ったらあいつじゃねえかなあ」


「ふーん…」


マキノユウト、ねえ。


「たしかお前の学年の顔可愛い女子と付き合ってた気がするから狙っても無駄だぞ」


「狙うわけないじゃん。身の程は弁えてます」


ほんとに身の程弁えてたら体売るなんてしないだろうけれども。


階下からはくぐもった両親の怒鳴り声が聞こえる。何を叫んでるのかは不明瞭だが、どうせいつもと同じ内容だろう。


「そろそろ30分経つねえ」


「俺が止めに行くからお前はこそっと風呂入ってこい」


「いーっつもすまないねえ」


「空気の読めない妹に止めに行かせて更に炎上するくらいなら最初から俺が行った方がマシだろ」


「そりゃそうだわ」


頼りになるお兄ちゃんですことで。

兄が大学進学を機に、ひとり暮らしを始めたら私はどうなるのだろうか。

そんな不安を潰すように灰皿に火を押し付けて立ち上がる。

しかしこの部屋煙で真っ白なんですけども。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ