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華の色  作者: 伊藤巴
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思春期とは何ぞや

未成年の喫煙は違法行為です



あの頃の私は何色だったのだろうか。

思春期を一番輝いているというやつは信用しねえというような言葉を残した人がいた。

その言葉を思春期に倫理の教科書で見かけて共感する人間は、どれくらいいたのだろう。

鬱屈とした思春期。

タバコ、コーヒー、読書、それからセックス。

進学校に行くのが当たり前の環境で育てられ、高校でぐれようにもにも少し出遅れた感覚。結局、今まで培われてきた真面目さでギリギリ踏み外せないふがいなさ。

反抗しようにも本物には染まれない。

ただひたすら脱力系の無気力。

遅刻をして平然と体調不良ですと応えて席に着く。

授業妨害もしない。

髪も染めていない。

そんな生徒をどう扱っていいのか分からない。

それでも成績は悪くないし、友達は少ないけれどもいないわけではない。

私が教師なら放置決定だ。

どうせたいした問題行動を起こす度胸なんざないことを見抜いたら勉強だけは真面目にやれよと伝えて放置だ。

まあ、あの田舎の進学校にたいした問題行動を起こすだけの度胸のある生徒なんざいなかったが。

少し、アウトローを気取りたいだけのお年頃。

そんなもんだ。

しかし、どうにもこうにも放置できないのが教師という生き物らしい。

素晴らしい職業理念。

化粧気もなく授業中も読書に勤しんでいるだけの生徒によくあれだけ構ってくれたなあと今になって思う。

私よりも、そこのバッチリメイクしてパーマあてて夜はクラブに行ってることをクラスメートに自慢してる姉ちゃんとっちめろよ。

私の問題は、主に家庭から生じているので学校では何の対策も打てませんよと正直に教えてあげた方が平和に生活できたなと今になって思う。

家庭の問題って言ってもそんな特殊な問題でもなく田舎ならどこにでも転がっている嫁姑問題に端を発す両親の離婚危機ですし。

深夜に食器が割れる音と怒鳴り合う声。

頼れるのは1つ上の同じ高校にいる兄だけ。

友達?家庭内の不和を話して解決に繋がるわけがないし。

そもそもそんな重たい話を語れるほどの高校生の友情は簡単にあちこちで見られるわけがない。

ただひたすら時間が過ぎるのを待っていた。

本当に賢い子どもならひたすら勉強して東京なり北海道なり遠くの大学を目指して一人で生きていく環境を目指しただろう。

そんな努力もせずにひたすら無気力に時間が解決すると思っていた私はただの阿呆だ。

タバコ、コーヒー、読書、それからセックス。

高校生の頃の私が好きだったもの。

図書館の魔女と呼ばれたかつての私が好きだったもの。


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