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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ユニークスキルの中の人

 俺様は3号、ユニークスキル【オプション】の中の人をやっている。

 オプションって何かって?

 異世界では、俺たちみたいな本体の能力をそのままトレース出来る存在の事をオプションと呼ぶらしいぜ。


 俺様は元々火の中位精霊だったんだが少々弾けすぎてな、神さんに睨まれて幽閉されてたとこに今回の仕事のオファーが来たって訳だ。


 スキルの持ち主は異世界から来た化け物。

 こいつはレベルがカンストした時に世界に恐怖を振りまく祟り神になるらしい。

 其れまでのお守りが俺様達って事だ。


 報酬は祟り神の眷属への昇格。

 力を没収されたボンクラ精霊から一気に天使様よ。受けない理由はないわな。


 主な仕事はふたつ。

 ひとつは本体のスキルやら攻撃やらを真似して繰り返す。まあ、簡単な単純作業だ。

 ふたつ目は本体のスキルをひとつ持って他の人間に取り憑く。簡易のスキル譲渡だな。

 コッチでも攻撃やらのトレースはするぞ。


 因みに俺様達の中ではひとつ目を本社詰め、ふたつ目を出張って呼んでいる。

 言葉の意味?知らねえよ、異世界の言葉かなんかじゃね?


 仕事仲間は全部で10体。全員が訳ありの元精霊やら悪魔やらの管理側からのドロップアウト組だな。

 1号のオジキだけは存在が別格だけど使える力は皆同じ、本体ができる事が出来ることの限界だ。


 今は1〜4番の古参組が出張中で若い組が本社で留守番中だな。

 1号のオジキだけは遠方で活動中だが、俺様達は本体のパーティーメンバーに憑いてるから

 近場だけどな。



 って訳で現在出張中の俺様なんだが……

 はっきり言って不満だ!


 レベルアップを避けるために戦闘に参加しない本体は論外だが、俺様が憑いているこいつも地味すぎる。


 所謂所の盾職って奴なんだが、こいつは何ともトレースのしがいが無いんだよ。

 スキルで硬くなる。ひたすら耐える。偶に殴る。


 コレだけだ。

 しかも元からデタラメに硬いせいで俺様が真似してやったスキルは無駄になってやがる。


 俺様はもっと派手な魔法で辺り一面薙ぎ払ったり、剣技で魔物の首刎ねまくったりしたいんだ。暇すぎるんだ、もうこいつの担当辞めてぇ。


 なんて時期が俺様にもありました。


 何こいつ!めちゃくちゃヤベーんだけど。

 大量殺戮ですよ、一睨みで町一つ滅ぼしちまった。で、当然俺様も片棒を担いだ訳で……

 うがー!こりゃ暫く眠れねー。なんで人間殺すんだよ、そこは魔物とかにしとけよ、いや、マジで。


 俺様が神さんに睨まれた件でもジワジワと山脈一つ焼いても人とか焼いてないんですけど、異世界人マジ怖えー。


 理由は変わったけどやっぱりこいつの担当辞めてぇ。




 暫く経って、心の安らぎを求めてた俺様にピッタリの仕事が来た。

 演奏だ。


 本体の音楽スキルを使って俺たちがパートに別れて演奏するのだ。

 俺様大歓喜。俺様の熱いグルーブで燃やし尽くしてヤンぜぇ!


 え?俺様ピアノ?鍵盤関係はオジキじゃ、あっ、はいオジキ歌うんすね。

 いえ、自分宗教音楽的なの大好きですから。荒んだ心落ち着かせたかったとこですから、はい。問題無いっす。


 今回は本体が女を口説くためのダシにされる。


 この女には普段一号のオジキが憑いていて、毎日オジキの演奏を聴いているらしい。

 メッチャハードル高いんすけど、絶対に失敗出来ねえじゃねえか。


 スキルの中の人が失敗するのかって?


 そりゃするだろう。

 俺たちゃ本体より上手くはならねえからな。本体が失敗するなら失敗はあり得る。


 その本体が10回に1回失敗するならその1回の失敗を表に出さない、更に9回の成功も本体のMAXにできるだけ近づける。


 この辺が俺様達の腕の見せ所だな。


 かつて無いプレッシャーの中で演奏は成功に終わった。


 オジキの歌マジぱねえ!


 でも俺様達楽器の音しか出せない筈なのにオジキどうやって歌ったんす?

 へぇー、アレも楽器の音っすか、すげーっすね異世界。


 いえ、元々本体があの声で歌ってたかもって想像したら笑えただけで問題無いっす。



 こんな感じで其れなりに楽しくやってたんだが何事にも終わりはある。


 現在此処は人類の最前線、砦に向かって進軍するのは、魔物の群れ実に10万匹。


 今こいつらには管理者がいない。

 そもそもこの世界の神さんたちは管理能力が低い。


 力はあるがメンタルが弱すぎるんだな。

 全ての神や管理側全てが人を好きすぎて、嫌われそうな事象を司る事をしない。


 だから管理されない魔が溜まりすぎて溢れ出す。


 前の管理者は汚れ仕事を一身に引き受け、無理をしすぎて潰れちまった。


 代わりに呼ばれた管理者候補は神になるのを回避しようとしている。


 魔物の氾濫は必然だった訳だ。


 覚悟を決めろよ本体。


 元々余所者のあんたに、全ての汚れ仕事を押し付けるのは申し訳ないと思ってるんだぜ?


 でもよぉ、後ろに守りたいものできちまったんだろ?


 前任者はダメだったが、今回は俺様達がいる。俺様達1人ずつでも結構スゲーんだぜ?それが10体だ。任せとけって。オジキも同じ失敗はしないってよ。


 そうだ、やるこたあ一つだ、本性を開放しろ。弓を取れ。

 さあ、今までの人生に別れを告げるでっかい花火を打ち上げようぜ!!



 物見櫓に上がった本体が弓を引き絞り、迫り来る魔物の上空へに矢を放つ。

 発動するスキルは【時雨】放った矢が10本に増える、いや本数が10倍に増えるスキルだ。


 俺様達が同時にトレースすれば矢は110本にしかならない。

 が、まあそんな訳はないわな。そんな手抜き仕事じゃあその辺のスキル共と変わらねえ。

 ユニークスキル様の一世一代の大仕事だ、目ぇかっぽじってよぉくみやがれ!!


 新入りから順にスキルをトレースしていく。

 10本が100本100本が1000本、万、十万、百万、……


 俺の番が来る頃にはあっとゆう間に一億本、既に巨大な塊になっている。

【時雨】を発動。一億を十億に、実体のない今の身体でもかなりの負担がある。


 2号も無事にスキルを発動させ、百億の矢は地面の魔物達の上に巨大な影を落としている。

 はははっ!スゲー既に今の状態でも10万ぽっちの魔物位あっさり飲み込みそうな規模だ。


 さあ、最後はオジキだ、百億が一千億、もう数字に現実味がねえなぁ。

 まあいいや元大神の力見せつけちゃってください!


 え?ダメ?うあー、能力上限本体縛りかぁ、しまらねぇ〜。


 ちょ、オジキそんなふてくされないでくださいよぉ、オジキがスゲーのは皆しってるんだしって、ちょい待った、それ本体が使ったスキル違う!

 最後だから気にするなってオジキずりぃ。

 それだったら俺がやりたかったっす。


 魔物に向かう百億の矢、其れ等が魔物に降り注ぐ前、強い光を放ち出す。

 次々と降り注いだ矢は魔物を貫き、地面に刺さってゆく。

 まるで光の絨毯が広がってゆくような幻想的な光景。


 全ての魔物が光に飲み込まれ、オジキが結構派手好きだと判明したが後回しだ。


 取り敢えずあれだ、



「ようこそ管理者側へ、本体、いや、我らが主人殿、今後ともよろしく!」



少し実験的に書いてみました

感想など頂ければ幸いです

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