将哉の休日
同日のお昼私は工藤……良子さんとお茶をしていた。
「あら、可愛いワンちゃん」
「柚子って言うんです。」
「柚子…いい名前ね」
「旦那が付けてくれたんです。何か、幼なじみに似てるからって。」
「へぇ〜……本当に旦那さんとラブラブなのね。」
「そ、そうですか??」
「羨ましいわ……」
「良子さんはご結婚なされないんですか?」
「ずっと片想いしてる人がいるんだけど、その人はもう結婚しちゃっててね……。」
「そうなんですか……どのくらいしてるんですか?」
「そうね……高校生の時からだから……5年くらいかしら?」
「そんなに長く…?!一途なんですね! 」
「彼だけに振り向いてほしいから…だからずっと好きでいられるのかも知れないわね……」
良子さんは悲しそうな顔をした。
「ねぇ絵里さんどうして柚子を飼い始めたの?」
突然犬の話に変わった。
「え?えーっと私も旦那も犬のが好きだったんです。特にこの子可愛くて……もう食べちゃいたい!」
「ほんとに大好きなのね……でも絵里さんお腹に赤ちゃんがいるんでしょう?子育てしながら犬のお世話なんて大変じゃない?」
「そこは旦那と相談しながら上手くやります!」
「しっかりしてるのね〜。あらもうこんな時間。絵里さんそろそろ失礼するわね。」
「あ、はい!」
コップを片付けているうちに良子さんは玄関へ向かっていた。
「あ、良子さん……!」
「わたしのことはいいわ。また今度お茶しましょう。お邪魔しました。」
良子さんはそそくさと自分の部屋に戻って行った。
****
ある日妻の絵里が産婦人科へ行っていた時のことだった。
《ピーンポーン》
インターフォンが鳴った。
「はーい。」
ドアを開けると1人の女性がいた。
「あら、こんにちは。お隣の工藤です。」
「あぁ、どうも。」
「絵里さんは?」
「絵里なら今産婦人科ですよ。 」
「あらそうなの。ねぇ、良かったらわたしとお茶しない?」
「え?」
そう言って工藤さんは家の中へ入って行った。
とりあえずコーヒーを出した。
「いつも絵里がお世話になってます……」
「いいのよ。わたしが勝手に来ているだけだから。」
「そうですか……」
「最近絵里さんとはどう?」
「え?」
「夜のお相手……してもらってるの?」
「いや急に何言ってんですか!!」
「そのご様子だと…してもらえてないのかしら?」
「そんな事ないですよ。元々俺そんな溜まってないし」
「そうなの……ねぇ、もしわたしが相手するって言ったら……どうする?」
「……え?」
「わたしの部屋に来て」
そう言って工藤さんはテーブルの上に置いてあったスペアの部屋の鍵と俺の腕を引っ張った。