三角関係
「お前……加瀬なのか!?」
「……そうなんですか?工藤さん」
「……………」
工藤さんはしばらく黙っていた。
「……ふふふ、あはは。」
「工藤さん!?」
「何が可笑しい!!」
「お2人とも気が付くのが遅いわ。いや、むしろ気付かないようにしてたんだけどね……」
「どうして!?どうしてそんなことするの!?」
「わたしよりも絵里さんを選んだことが凄く悔しかったの。オマケに絵里さんとの間に子供まで作って。わたしなんて抱いてもくれない。」
「それは……!」
「だから変わって見返してやろうと思ったの。将ちゃんこの間のはとても良かったわ。ふふっ。」
加瀬さんは寝室へと歩いて行った。
「将ちゃん見て。ここはわたしのやすらぎの場」
言われた先を見ると、将哉くんの写真がたくさん貼られていた。高校時代のものから、引っ越してきた時のものまで。
「将ちゃん、わたしは絵里さんより貴方を愛しているの。」
「やめてよ加瀬さん!!!」
「わたしはね、学校を辞めてから変わったの。辞めたと同時に両親が離婚。そこから働いて自立して、ここに来て。メガネもやめてコンタクトにして髪も短くして化粧して。もうあの頃の"加瀬良子"はいないのよ!」
返す言葉など見つからず、無言になった。
「いや、あの時の加瀬はいるよ。まだ。」
「……え?」
「俺に強く求めてきた加瀬は昔のまま。柚葉と入れ替わって俺んちに来た時の加瀬は今も残ってる。」
「そ、れは……」
加瀬さんは無言になった。そして窓の方へ向かった。
「ねぇ、絵里さん。柚子ちゃんどうする?」
「どうするって……!?」
加瀬さんはタオルに包まれた愛犬、柚子を見せてきた。
「美味しかったでしょう?」
そう言ってベランダから柚子の死体を落とした。
「柚子っ!!!」
「もうとっくに死んでいるわ。あははは!!!」
加瀬さんは今も昔も何を考えているのか分からない。
「ねぇ、絵里さんは柚子の後を追わないの?」
「……えっ?」
「だーいすきな柚子のあと、追わないの?」
「……なによそれ……」
「死ねって言ってるのよ。」




