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血塗れ悪鬼事件  作者: 斜志野九星
File Group 3 刃の獣
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File.37 父親と騎士

 耳がイカレるんじゃないかと思うほどの爆発音が響いた。

 いったい、父親はどんな弾薬を使っていたんだ……

 爆発によって発生した煙が、辺りを包み全く何も見えない。

 凄まじい爆発だったから、当然か……

 しばらくして、煙がだんだんと晴れてきた。

 『刃の獣』は、もう……いない。

 あんなに大きかった巨体がいつの間にか姿を消していた。

 爆発で吹っ飛んでしまったのだろうか?

 とてもそんな怪物ではなかった気がしたが……

 まあ、退治できたのなら、それでいいのだろう。

 だが、そこに立って居てほしい人は残念ながらいなかった。

 父親はどうなったんだろうか?

 更に煙が晴れていき、父親の倒れている姿が見えてきた。

 全身から血を流して倒れている。

「た……倒した……」

 父親は、さっきまでの奮闘はどこへやら、見事に倒れ伏している。

 このままでは、死んでしまうぞ?

「ケインさん!!」

 というところで、騎士テイラーの声が聞こえてきた。

 画面の中に騎士テイラーが入ってくる。

 ルークアーマーのおかげか、『刃の獣』による傷はそれほど深くなかったみたいだ。

 結構、ピンピンしている。

 同時に画面が揺れ動いた。

 ビデオカメラ持ちがビデオカメラを回収したようだ。

「ああ……騎士テイラー……」

 父親は、手で虚空を掴みながら呟いた。

 もはや、あまり元気はないみたいだ。

「ケインさん! 喋らないでください! すぐに、あなたの部下を呼んできますから!!」

 騎士テイラーは、父親の無残な姿に狼狽えている。

 騎士テイラーの状態も大概だが……

「騎士テイラー、お願いがあります……」

 父親は騎士テイラーの言うことを無視して、喋り続ける。

「私の家族にこのことは教えないでください……」

「ケインさん!!」

「息子たちの悲しむ姿を見たくないんです……」

 騎士テイラーの呼びかけにも応じない。

 父親には、もう何も聞こえていないみたいだ。

 俺たちを悲しませたくないだって……

「ケインさん……」

 騎士テイラーは、そんな父親を涙目で見ている。

 もう、先が長くないことを察したのだろうか。

「それと、ヴィールのことをよろしくお願いします」

 突然、父親はヴィールのことを挙げた。

 何で、この場で?

「彼にはもう住む家がありません。彼を立派な騎士にしてください……」

「分かりました。分かりましたから……」

 父親は、死ぬ間際になって、息子以外のことを心配しているみたいだ。

 何て野郎だ……

「騎士テイラー……よろしくお願いし……ま……す……」

 だんだん、口が動くのが減っていく。

「ああ、バレットとレフシィが大きくなった姿を見たかったなあ……」

 そう言って、父親は喋るのをやめた。

 お父さん……

 今、お父さんの見ている先に大きくなった俺たちがいるよ……

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