File.30 幼稚園バス
「ケインさん! 大丈夫ですか!」
しばらくして、騎士テイラーがやってきた。
傷は大丈夫なのだろうか?
「それが……」
父親は残念そうな顔をしている。
まあ、無理もないだろう。
「何かあったんですか?」
騎士テイラーは、来たばかりで状況を細かく把握できていない。
こんな質問をした。
まあ、何せ……
「フィーンドが幼稚園バスに立て籠もってしまいました……」
「何ですって!!」
騎士テイラーが驚く。
まさか、殺戮者が立て籠もりをするなんて、思わないだろう。
「お前らあああああ、こいつら殺されたくなったら俺を殺すなああああああ!!!」
幼稚園バスの方から、フィーンドの声が聞こえる。
言っていることの意味がもはや分からない。
「これはまずいですね……」
騎士テイラーが顎に手をあてながら言った。
殺戮者関連の事件でこんなことは滅多に起こらない。
だから、父親も騎士テイラーも困ってしまっている。
さて、どうするのやら……
「どうしますか?」
「とりあえず、フィーンド氏を外に誘き出さなければなりませんね……」
「どうやってやるんですか?」
「うーん……」
2人は打開案を話し合ったが、良い方法は見つからないようだ。
「いや、イヤアアアアアアアアアアアア!!」
「うわっうわああああああああああ!!」
子供の泣き声が響き渡った。
幼稚園バスに乗っている子供たちのものだろう。
「静かにしろおおおおおお!!! 殺すぞおおおおおおおお!!」
それが癪に障ったのか、フィーンドが叫んだ。
「ウワアアアアアアアアアアアアアアン!!!!」
「キャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
それに恐怖した子供たちが更に泣く。
これでは悪循環だ。
早く何とかしないと大変なことになるぞ……
「まずいですよ、ケインさん……」
だが、騎士テイラーはオロオロするだけで、動けない。
動けば、フィーンドが子供たちを殺してしまうかもしれないからだ。
いったい、どうするんだ?
ガシャン!!!
ガシャン!!!
突然、妙な音が響いた。
鉄を砕くような音だ。
何だこの音は?
「うわ、何だお前はああああああああああああ!!!」
そして、次に大人の男の悲鳴が聞こえてきた。
これはフィーンドの声だ……
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
次の瞬間、フィーンドの悲鳴が辺りに響いた。
何故、殺戮者のフィーンドが悲鳴を上げているんだ?
ガシャン!!
ガシャン!!
ガガガガガガガガガガガガガ……
そんなことを考えているうちに、幼稚園バスの屋根が何かによって貫かれた。
灰色の物体が幼稚園バスの上から出てくる。
いったい、あれは何なんだ?




