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血塗れ悪鬼事件  作者: 斜志野九星
Opening Story バレットとレフシィ、そして父ケイン
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Story.2 セントラル学園虐殺事件

「バレット、お先に!」

 同僚が俺に挨拶をして、職場から出ていった。

 いいなあ……

 警察になったはいいが、予想以上に辛い日々に心が折られそうだ。

 というか俺が普通だったら、こんな辛いことにはならなかったはずなんだがなあ……


 『セントラル学園虐殺事件』。

 ライティーン王国で、その名を知らない人はいない程、有名な大事件だ。

 小中一貫校セントラル学園を3人の殺戮者が襲撃し、セントラル学園の生徒や先生を皆殺しにした、というのが事件の内容。

 ちなみに殺戮者というのは、殺人を目的に行動するテロリストのことだ。

 俺は中学生の時、その事件に遭遇した。

 そして、周りの人々が殺されていく中、俺は何故か生き残った。

 そのせいで、俺はとある力を手に入れてしまった。

 それは、ライティーン王国に住む人々に発現すると言われている『秘力』と呼ばれる力だった。

 噂によると、死に瀕した時に発現する力らしいのだが、詳しいことは分かっていない。

 だが、そのおかげで、俺は夢に近づくことができた。

 警察になるという夢にだ。

 『秘力』を持った人のことを秘力使いと呼ぶのだが、警察も軍も秘力使いを欲していた。

 1人いるだけで並の人間何十人にも及ぶ戦力を得られるからというのが、彼らの理由だった。

 純粋な兵器の力だけで強大な軍事力を誇るブレイブラッド帝国や、国民のほとんどが魔法と呼ばれる特殊な能力を使えその扱いに最も秀でているウィルヴェント共和国に、ライティーン王国が武力で拮抗するためにはどうしても秘力使いの力が必要なのだろう。

 『セントラル学園虐殺事件』からしばらく経った後、警察や軍、果てはその上位組織である騎士団からも、俺宛で推薦状が届いた。

 だが、俺は『秘力』を持っているからという理由だけで、警察になろうとは思わなかった。

 何せ、『セントラル学園虐殺事件』の犯人である殺戮者も秘力使いだったからだ。

 犯人たちと同じ力で、特に努力もせず警察になりたくはなかった。

 俺は自分のもとに来た推薦状全てを破り捨て、1から警察を目指した。

 もちろん、要所要所で『秘力』に助けてもらったりはしたが、他の研修生と同じ方法で警察になった。

 ところが、それが原因で俺は今、多忙な日々を送っている。

 俺の上司が、俺に推薦状が届いていたことを知り嫉妬して、俺に面倒臭い仕事を全て押し付けてきたのだ。

 そのせいで、俺は本来だったらやらないはずの面倒臭い仕事を、毎日毎日こなさなければならなくなった。

 子供の時に父が死に、中学生の時に通っていた学校が襲撃され、大人になったら上司に虐められる。

 全く人生どうなるか分かったものじゃない。

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