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血塗れ悪鬼事件  作者: 斜志野九星
File Group 1 血塗れの悪鬼
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File.11 秘力を持たない騎士

「うらあああああぁぁぁあああぁあああ!!」

 フィーンドが、今度は父親に狙いを付けて『秘力』の斬撃を放った。

 それを見た父親は、軽々と回避する。

 やはり、個人用の武器を持っているだけあって、凄まじい戦闘力を持っているようだ。

「ところで、騎士テイラー」

 何を思ったのか、父親が騎士テイラーを呼んだ。

「はい?」

「騎士テイラーは、当然騎士だから『秘力』を使うことはできますよね?」

 父親は、何を言っているんだ?

「そんなの当然……」

 騎士テイラーは息を吸ってから、

「使えませんよ」

 と、はっきり答えた。

「え?」

 父親が呆然とした顔をしている。

 何で、そんな風に思ったんだろう?

 秘力使いなんて、滅多なことでは生まれない。

 俺たちなんかは、ただのレアケースだ。

 騎士が全員、秘力使いだと思うのには無理がある。

 それとも、紺色の剣や鎧で武装しているからだろうか?

 だが、騎士はあくまでも、王族の権威を象徴するために、それらを着用しているに過ぎない。

 実際に騎士の中で『秘力』を持っている人は、警察とそう大差はない数しかいないだろう。

ドガァァァァァァァァァァン!!

 フィーンドが放った斬撃の画面外の建物に当たった音が響いた。

「そんな……」

 父親は、騎士テイラーの答えに絶望したかのような顔になっている。

「何でそう思っていたんですか?」

 騎士テイラーは、尤もな疑問を父親に投げかけた。

「いや、だって剣を武器にしているし……」

「これはただの正装ですよ」

 殺戮者を前にしながら、2人は喋り始めた。

 しかし、ただの正装とは、騎士から見ても剣や鎧の扱いはぞんざいなんだな……

「知らなかった……」

 何故知らなかった。

 小学生でも知っているようなことだぞ。

「まあ、その代わり、剣技については任せて下さい」

 騎士テイラーが笑いながら言った。

「しかたがない。こうなったら、私も本気を出しますか!」

 何がしかたがないだ。

 今の俺の感覚だと、俺の父親はただのポンコツだ!

「死ねええぇぇええ!! 消えろぉぉぉおおおおお!!」

 フィーンドが鉈を振り回し、血の斬撃がいくつも現れた。

「くっ!!」

 騎士テイラーは、鎧で覆われている腕で自分の顔を塞いだ。

 鎧のせいで、回避行動がとれないのだ。

 その代わり、騎士の鎧は並の秘力攻撃ならば防ぐことができるくらい頑丈にできている。

 その横で、父親は軽々と回避している。

 実は、騎士テイラーより戦闘力が高いんじゃないのか?

「このままじゃ、埒があきませんよ」

 父親が、全ての秘力攻撃を回避してから、騎士テイラーに言った。

「分かっています」

 騎士テイラーはそう言いながら、フィーンドに向かっていった。

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