顔合わせ
「取り敢えず、顔合わせだな!」
朝早くからカンナさんに起こされ、私は地下1階に位置する会議室に向かっていた。
ちなみに私は、このチームの略式制服とゆう、黒字に金のラインが刺繍されているジャケットとスカートに着替え、
ジャケットの襟には、カンナさんが一晩のうちに用意した識別信号発信機を付けた格好である。
カンナさんはと言うと、いつもこの格好なのか、昨日と同じ格好であり、違うとこはと言うと、
白衣の下は略式制服のブラウスであることくらいてある。
そうそう、この識別信号発信機とは、本来チューナーに搭載されているものであり、
主にセキュリティーインターフェースが個人を識別するのに使うものなんだとか。
地下1階。
ここには、会議室や作戦司令室、食堂などがあるらしい。
そして、その会議室の前。
『おはようございます、ユウナギ様、カンナ様。既にマキナ様を除く、現在施設内にいる全てのメンバーが揃っております。どうぞ中へ』
ぉお……なんか緊張してきた………。
「ま、そんな固くならなくて良いから。
正直貴女の素性は、もぅほぼ私達には全部バレてるようなもんだから!あ、そうそう、そのカラコンも外しちゃいなさい」
見透かされたのか、カンナさんが声をかけてくれた…けど、
「え?でも…このチームって日本の……」
「だぁいじょうぶ。言いたい事は分かってるわ。
日本の為のチームに外国人の血が混じっててどうなのかってのでしょぉ?会議室に入りゃ分かるわよ。
ここがどんなチームなのか」
ガチャ…ピー
会議室のロックが開き、カンナさんが扉を開けた。
ドッゴァーーーーンン!!!
「ぁ………」
「…なんも分からないんですけど」
まぁなんとゆうか……会議室って戦場になるものだっけ?
会議の部屋じゃないっけ?
多分原型としては、大学なんかの講義室みたいな部屋だったのだろうが、完全に瓦礫の山である。
「テメェだろぉが!ウチの ちんすこう食ったのぉぁ!!!」
「そこらへんに置いてるのが悪いんであろう!このスカポンタン!!」
「んだとゴラァ!!」
なんか、腕に凄くゴツいグローブ?を付けた紅い長髪をポニーテールにした子と、
ブカブカのパーカーに短パンを履き、身長に合わない大剣を振るう子が、激しい戦いを繰り広げていた。
ここ…会議室なんだよね?ほんとに。
よく見ると、壊滅状態の室内ではあるが、隅の方に椅子を置きスズネが座って本を読んでいた。
凄く冷静だな、あいつ。
その横に、微笑みながら戦いを見守る、ストレートのセミロングヘアにスーツ姿の女性が立ち、
ピンクの髪をツインテールにした可愛らしい女の子が、腰を抜かしているのか、ペタンと座り、スズネの足にすがりついていた。
「はぁ……まぁたユフィとタンヤンか……!!」
「え?」
カンナさんを見ると、瞳が赤く光っており、眉間にはシワを寄せ、眉間には血管を浮かべていた。
そして、口は完全に笑っている。
あ、これヤバイやつだ。
カンナさんが白衣を脱いだ。
ビリビリビリ!ガシャン!!ジャキン!!
カンナさんが履いていたスキニーの黒ズボン。
その両太もも部分が展開したのだ。
「え?!」
てかそれ、太もも自体が開いてるよね!?
……あ、この人、身体のいろんなとこが機械なんだったっけ?
中には自動小銃が入っており、カンナさんは躊躇うことなく二つの銃を握りしめ構えた。
「貴女達、ホントにいい加減にしなさいよぉ!!!」
ガゥン!ガゥン!ガゥン!ガゥン!ガゥン!
「うぁ!!??」
そして躊躇うことなく発砲した!
音がかなり重いため、見た目以上の威力があるのは、すぐに分かった。
私はとっさに頭を抱えしゃがみこんでいた。
キン!ガキキン!!カァン!
「あっぶねぇな!カンナ姐ぇ!!」
「当たったらどうするのじゃ!!」
戦闘していた2人は、グローブや大剣で弾を防いでおり、無傷だった。
「当てようとしてんだよ!!」
ガゥン!ガゥン!
カンナさん。参戦。
なんなのよコレ。
「おい。」
「へ?」
見ると、いつの間にかスズネが私の元まで来ていた。
「お前、チームに入ったんだな。
サラウンダーでは無かったと聞いたが」
「あ、あぁまぁカンナさんに気に入って貰えたみたいで……って、この状況でよくそんな冷静ね!」
「いつもだからな。
紹介しよう。あの赤髪がユフィ。私と同じ歳だ」
「冷静!!」
「それで、あのブカブカパーカーがリ・タンヤン。帝華出身だが、マキナさんが連れてきた信頼出来る仲間だ。」
続けるんだ。
「まぁ、詳しい事は後で説明あるだろうけど、取り敢えず今はあっちに行こう。」
そう言ってスズネは、荒れ狂う戦闘の合間を、何もないかのようにすたすたと歩いて行ってしまった。
いや、私には無理なんですけど………。
♪♪♪♪♪
なんとか……ほんと、なんとかスズネの元に辿り着けた………。
死ぬかと思った……特にカンナさんの銃弾がヤバイ……何度目の前に着弾したか………!!!
「よく辿り着けたわね〜えらいわ〜」
スズネの横に立っている女の人が頭を撫でてきた。
「私もそう思います…」
苦笑いしかできねぇ……。
「初めまして。わたしはヤマト・ミカサよ」
「どっちが苗字ですか…?」
「ミカサよ。ヤマトが名前」
「男!?」
「違うわぁ、よく言われるけれど女よ?見る?」
私は首を激しく横に振った。
何を見せる気だこの人!
「父が、戦艦好きだったの。母も元海上自衛隊だったし…不運よねぇ」
「なんか…苦労なさってるんですね」
「そうでもないわぁ、楽しいわよ〜」
ほんとに楽しそうに微笑んでいる…。
「あ…あの!初めまして!サキ・ツクヨミです!よろしくお願いします!!」
ピンクの髪の子が急に声をあげた。
普通にびっくりしたわ。
「あ、よろしくお願いします。
あの………大丈夫ですか?」
なんか凄く震えてるんですけど…。
「サキはビビリだからな。」
「ビビリじゃないもん!!」
スズネの横槍にすごい剣幕で反応する。
あ、可愛らしい。
とゆうか……この戦場でビビるのは普通だよね。
ヤマトさんとスズネがおかしいんだよね…?
「安心してサキちゃん。あなたも。
わたしから2m離れなければ安全よ」
「なんでですか?」
「私の武器のおかげ」
そう言い、ヤマトさんは指差した。
その方向を見ると、空中に六角形の何かが8つ浮かんでいた。
「あの、アレは?」
「私の武器で「トータス」と言ってね、チューナーを介して私の指示通りに動いてくれるの。
磁力とホバーによって空中に浮遊する事も出来るから凄く便利なのよ」
いや、武器の説明とか良いんだけど…。
名前の由来と言い…この人説明好き?
と、思っていたら六角形…「トータス」の1つが物凄い速さで移動した。
カン!
移動の直後、トータスに弾が当たる音がした。
「ね?」
…なるほど、つまり流れ弾を全てヤマトさんが防いでくれてるのか。
「でもコレ欠点があって、わたし じゃチューナー使っても同時に8個までしか操れないし、わたし自身移動できないから、完璧ってわけじゃないのよぉ」
いや、それも聞いてないんだけど。
てゆうかさ……この戦闘はいつまで続くのさ!!??
「止まれ!!!」
会議室中に物凄い大きな声が響いた。
あ、サキちゃん、びっくりして泣いちゃった。
あまりに大きな声に、カンナさんをはじめ、ユフィ、タンヤンも動きを止めた。
「はぁ……まったく………目を離すとすぐにコレだ。
で、今回はどっちから仕掛けた?」
声の主は、会議室の入口に立っていた。
濃紺のツンツン頭で、着崩してはいるが、軍服のような物を着ている男性だった。
初めて見た人に失礼だとは思うが……人相が悪い。てか目つきが悪い。
こんなヤンキー、学校にいたな……。
「あれ、リーダーのマキナ」
スズネが教えてくれた。
「タンヤンだよ!苦労して手に入れた琉球国のちんすこう!あれを食ったんだよ!無断で!」
「まるで食べて下さいと言わんばかりの放っておきかただったであろう!!」
「んだとぉ!!」
「やめろって!お前ら!
で、カンナ。お前はなんだ?」
「あ、いや、入って来たら2人が戦ってたからつい…」
「ついってなんだよお前……
今日はチームの新しいメンバーを紹介するって言っただろうが!バカなのか!いつもいつも下らん事で喧嘩して!
喧嘩くらいなら良いけどな、特殊兵装持ち出してまでやるんじゃねぇよ!
見ろ!会議室グチャグチャだろうが!」
うわ、同年代の子と歳上の人がちゃんと怒られてる…。
いつの間にか当の3人は並んで正座していた。
「ユフィ!」
「はい!」
「ちんすこう だったか?また取り寄せてやるから今日は我慢しろ!」
「よっしゃぁ!!!」
揺れるポニーテールが、まるで犬の尻尾の様に見える…。
「タンヤン!」
「なんじゃ」
「自分の物じゃないなら勝手に食べるな。誰かに聞け!欲しいものがありゃ俺に言え!できるだけ取り寄せてやるから!」
「なら、我にも ちんすこう を。アレは美味しかった」
「分かった」
なんだこの人たち。
てか、ちんすこうってなにさ。
「カンナ!」
「はい…」
「後で手合わせしてやるから、我慢しろ。
ぶっ飛ばしてやるから」
「ホントか!!言ったからな!!」
………カンナさんって戦闘狂かなんかですか?
とゆうか…マキナさん、人相悪いけど優しいな、オイ。、
♪♪♪♪♪
取り敢えず会議室はグチャグチャになったものの、無事だった椅子を持ち合わせ、私達はそれに座った。
ちなみにカンナさんとマキナさんは前に立っている。
「あぁ、なんか面倒なことになっちまってスマンな、ユウナギ。
俺はリーダーのマキナだ。
カンナと一緒にこのチームを再建したんだが…まぁクセ者揃いのチームになっちまってな…」
「あ、いえ大丈夫です」
とは言ったものの、大丈夫さは皆無である。
「んじゃ、ユウナギ、自己紹介を」
「あ、はい!」
私は席を離れ、取り敢えずマキナさんの横に立ち、みんなを向いた。
「えっと…結城 夕凪です。あと……」
そして、カンナさんに言われた通りカラコンを外した。
「北欧の血を引いたハーフです」
「お!緑眼!」
赤髪がなにを言う。
「それ自前か!?」
自前って言うのか?コレは?
「まぁ生まれつきだけど…」
「良いな!なんか良いな!」
いやだから赤髪がなにを言う。
「ユフィ、まず自己紹介だろう」
「あ!そうだよな!」
ため息混じりのマキナさんに、ユフィはタメ口だった。
リーダーって……。
「ウチはユフィーリア・ガーネット。
17だ!スズネと同い年!」
「あ、じゃぁ私とも同い年?」
「マジか!いいねぇ!気に入った!!!」
ユフィさん。
ほんとにポニーテールが犬の尻尾みたいです。
「もぅ、ユフィが勝手に始めたから、みんな自己紹介しな」
マキナさんが言った。
すると次に口を開いたのは、ブカブカのパーカーをきた人、タンヤンだった。
「我はリ・タンヤン。歳はお主の1つ上じゃ」
ここでマキナさんが口を挟んできた。
「彼女は帝華出身だが、2歳の頃から俺が育ててるから、ほぼ日本人だ。それにここは国籍問わず、信頼出来るヤツだけを、俺とカンナで集めてるチームだから、差別はすんなよ」
「そうゆうことじゃ」
「はい。でも正直、帝華の出身までいるなんて、驚きました」
「なんじゃ、不服か?」
「不服じゃないんで、その大剣しまってもらってもよろしいですか?」
怖いんだけど、この先輩。
「わたし達はさっき自己紹介したわぁ」
ヤマトさんは先ほど同様微笑んで言った。
「なんだそうか。じゃ自己紹介はこれで終わりだな。
ったく…会議室片付けねぇといけないし、結構早いんだが….…よし。
カンナとスズネは用事が有るからちょっと残れ。それ以外は別命あるまで各自解散。
あ、そうだサキ。
ユウナギに施設を案内してやれ」
「了解です!」
サキちゃんは勢いよく立ち上がり敬礼した。
なんかいちいち可愛らしいなこの子。
立っても身長ちっちゃいし。140くらいかな?
「んじゃ解散!」
マキナさんの命により、各々がバラバラに会議室を後にした。
「それじゃ行きましょうかユウナギさん!」
マキナさんに案内を頼まれたのが嬉しかったのか、サキちゃんはなんか凄くはりきっていた。
ただの案内だよね…?
お読みいただきありがとうございます。
文才の無さに辟易してます…。
油断すると全てセリフになってしまい、情景の説明などが疎かになっちゃうんですよ…全く…。
さてと…まだデカイ事件は起こりません。
もう少しチーム拠点での日常をお送りする事になるんですが、
ぶっちゃけると、実は既に後ろでいろいろ動き始めてるんですよ………。
では、引き続きお読みくださる皆様、応援よろしくお願いいたします!
ご意見ご感想ご指摘、お待ちしております。
次回、お会いしましょう。