第9話 ~ 赤と隊長 ~
誤字・脱字を訂正しました。
体が重たい.......
うまく動かせない........
朝起きると、全身筋肉痛だった。
いくらレベルが上がって身体能力が向上しても体力は増えないという事みたいだ。
普通は基礎体力を付けながら剣術などを学ぶらしい。
それを怠っていたのを見抜いて、シルバさんは初心者講習の内容をこれにしたみたいだ。
ちなみにこの話は朝食の時に誰か聞いてた内容だ。
それから俺達は初心者講習残りの2日間を終えた。
内容は初日のほとんど変わらず、体力強化メインの内容だった。
かなり辛かったが、なんとか3日間を乗り越えた。
体力も前に比べて上がった気がする。
そして現在のステータスがこれだ。
名前 : 佐藤猛
レベル 2
職業 : 見習い魔法剣士
筋力:200
耐性:150
敏捷:150
魔力:240
魔耐:140
称号 : 異世界者、強さを求める者
スキル : 言語理解、覚醒の卵、剣術 2、魔闘術 1、魔力感知 1
少し上がっていた。
いくら訓練しても上がらなかったのに講習を終えたら上がった。
これはそれほどの内容だったのだろう。
初心者講習が終わった次の日、俺達は外の訓練場に集められていた。
「これから皆には討伐クエストを受けてもらう。事前に作ってあったグループに分かれてくれ。」
アールさんがそう言うとみんな動き出してグループごとに分かれた。
まぁ、知ってのとおり俺は一人だ。他の冒険者と組むことになっている。
「タケル君、こっちへ。君と組むことになる人を紹介しよう。」
アールさんにそう言われて着いていく。
案内されて居たのは女性1人の男性1人で2人だけだった。
「紹介しよう。こちらの女性はレイチェル・マットンだ。」
「よろしく。」
手を差し出されたので握手をして、
「よろしくお願いします。」
と返した。
女性は長い金髪を1つに纏めてポニーテールにしていて、俺よりも背が高くとても綺麗な人だ。
「こっちの奴はもう知っているだろう。」
アールさんにそう言われ、男性の方を見ると確かに知っている顔だった。
「アールさん、自分の時だけ扱い雑じゃないですか?久し振りだね、タケル君。」
紹介されたのは前回模擬戦を挑まれた、魔法剣士のグレン・マットンさんだった。
「その節はお世話になりました。グレンさん。」
俺達は互いに握手をした。
「いやいや、あれはアールさんの指示だったからね。」
「アールさんの?」
アールさんの方を見るとばつが悪るそうな顔をしていた。
「いやー、ちょっとな。君が魔法剣士と聞いて、指導するよう頼んどいたのだよ。」
「そうだったんですか。」
何気にアールさんは俺の事を気にかけてくれてたみたいだ。
「さあ、立ち話はこのくらいして他の皆が待ってるよ。」
「おっと、そうだな。」
そうレイチェルさんに促され、アールさんは皆の前に立った。
「それではこれから皆には討伐クエストに出発してもらう。念のため我々騎士団を2名着けて行動してもらう。細かい指示はその騎士達に聞いてくれ。」
そう言うと騎士達がそれぞれのグループに着いた。
「それでは我々も行こうか。」
「はい。でも俺達はこの3人だけなんですね。」
レイチェルさんに言われて歩きながら聞いてみた。
「なぁに、赤ランクの姉さんが居れば問題ないさ。」
「赤ランク?!てか、やっぱり姉弟だったんですね!」
「赤ランクなんてそんなにたいした事はないぞ。私よりも騎士団第3部隊長の弟方がよっぽど凄いと思うがな。」
「部隊長?!グレンさんって隊長だったの?!」
「なんだ?話してなかったのか?」
「まぁ、隠しておいた方が面白いと思ってね。」
赤ランクの冒険者に騎士団隊長......
通りで2人だけで充分な訳だ。てかこの2人って最強なんじゃね?!
「ところでグレンさん、隊長なのにこんなところに居て大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。俺が居なくても騎士団は機能するからね。」
「そうなんですか。」
まぁ、今は戦争してる訳じゃないから特に問題はないんだろう。
「討伐クエストの内容は何なんですか?」
レイチェルさんにクエストの内容を聞いてみた。
「クエスト内容はレッドウルフの討伐だ。」
「レッドウルフ?!たしか青ランクのモンスターじゃ?」
「ん?そうだが?」
「いや、俺白ランク何ですが......」
「なーに、大丈夫だよ。私達がついてるからね。」
「まぁ、そうなんですが.....」
そうこうしている内に街に出たみたいだ。
町並みはさすが王都といったところか。
いろいろな店が並び、人々が行き交う。かなりの賑わいをみせている。
「凄いですね。」
「そうか君は城を出たのは初めてだったな。」
「はい。時間があれば観光したいですね。」
「お!そうか、その時は俺のお薦めの店を紹介しよう。」
「変な店に連れてくんじゃないよ。」
「な?!人聞きの悪い!俺のセンスは結構いい方だぞ。」
なんて話している内に門に着いた。ここは王都の東側にあたる。
「さて、ここから草原に出て、森を目指すぞ。目的のレッドウルフはフルカナ森に居るが、その途中の草原にも別のモンスターがいるから気を抜くなよ。」
「っ!は、はい!」
レイチェルさんにそう言われ、緊張感が出てきた。
この先はモンスターが出てくる。いくらステータスが高いといっても油断すればすぐにやられる。
気を引き締めよう。
俺達は門を抜けて王都の東側に位置するフルカナ森を目指して、草原を歩いていた。
そして、遂に俺の初の実戦が始まった。