第4話 ~ 敗北 ~
戦闘描写って結構難しいですね.....
翌朝
起きると体が筋肉痛で動くのが辛かった。
昨日調子にのって素振りをしまくったのが原因だろう。
俺は何とか体を動かして食堂で朝食をとった。
朝食後にまた同じく訓練場へ行った。
そこでまた、
「おはよー、猛君。」
「おはよー、光輝。」
光輝に声をかけられた。
「今日も俺たちと模擬戦をやらないか?」
「..........ああ、いいよ。」
俺は断らなかった。負けるのは目に見えてるのに。
それはなぜか?
それは強くなるためだ。負けても戦えば経験になるし、剣術スキルもつくかもしれないからな。
昨日と同じく、訓練場の中央で他の騎士の人との立合のもと、皆で試合をすることになった。
今日はいつもと違った。
何度か模擬戦を行うと、いつもより太刀筋が鋭くなっている。
光輝には負けてしまったが、何人かに勝てることができた。
もしかしてと思いプレートを確認すると。
名前 : 佐藤猛
レベル 1
職業 :
筋力:150
耐性:100
敏捷:100
魔力:200
魔耐:100
称号 : 異世界者
スキル : 言語理解、覚醒の卵、剣術 1
やった!剣術スキルが付いた。
これも夜に鍛練をやってるお陰だな。
「お!レベルアップしてる!」
光輝が驚きの声をあげる。
どうやら皆を試合で倒したことにより、経験値が入りレベルアップしたようだ。
しかもレベルアップしたのは光輝だけだ。
おそらく獲得経験値に補正がかかっているんだろう。
さすが勇者だ。
ちなみにレベルアップの基準は戦ったものを倒す、と言うことだ。
別に殺さなくてもいいが、殺さない場合は手に入る経験値が少なくなってしまうとのこと。
光輝はクラスの皆を倒したから経験値が手に入りレベルアップしたのだろう。
俺は今回初めて勝ったので経験値が入ったが少なすぎてレベルアップにはほど遠いだろう。
昼になり、食事をするために食堂に移動しているときに、
「今日は勝てたんだね。」
いつの間にか隣にはクラスの美女トップ3に入る、高橋由衣さんがいた。
「あ、ああ、剣術スキルが付いたお陰でね。」
なるべく緊張していない様に話した。
高橋由衣さんとはあまり話したことは無いのになぜ突然?
「そーなんだ。よかったじゃん。猛君、頑張っていたものね。」
「あれ?見ていたの?」
「え?い、いやちょっとね.....あ、勘違いしないでよ。猛君はなんか皆よりステータスがアレだからさ....ちょっと気になって。」
「そ、そーなんだ。」
ああ、そう言うことですか......
他の皆より俺が弱いから同情して様子を伺っていたと。
はぁーー。
俺は心の中で大きくため息をした。
昼食後、授業を受けに行った。
今日は一般的知識や冒険者としての知識と、スキルや魔法について教えてくれた。
日が暮れてきたので、俺はいつもと同じように中庭へ行った。
だが今日は先客がいた。
「よぉ、やっと来たか。」
こいつは、鈴木庄平だ。
クラスでは人気のある方だが、いつも何かと問題を起こしている奴だ。
「どうしてここに?」
なんか嫌な予感が.......
「いやー、今日はさぁ、ちょっと腕をあげてきた奴と手合わせをしようかと思ってさ。」
なるほど......
つまり、今日俺が試合で勝ったのはこいつの子分的存在の奴だったから倒してみようと。
しかも調子にのっているみたいだからボコボコにしようって魂胆か。
「そうか、いいよ。」
俺は受けてたつことにした。
逃げない..........何か俺もこいつには気にくわないとこがあるからだ。
「じゃあ始めようか。」
お互い木剣を構える。
鈴木庄平とは一度も戦ったことは無い。
こいつはいつも光輝のグループに交ざらず、自分のグループを作っていたからだ。
「ふぅー」
俺は大きく息を吐く。
一気に駆け出し、鈴木庄平に近づき、木剣を振り下ろす。
だがあっさり受け流されて、足をかけられて転ばされる。
「ちっ!」
すぐに起き上がろうとすると、腹に蹴りがはいる。
「ぐっ!」
「おらおら!どうした!」
さらに蹴りがはいり、吹き飛ばされる。
「ぐあ!」
なんとか起き上がるが、木剣を振り下ろしてくる。
それを防ぎ、俺も反撃にでるが、簡単にかわされてしまった。
「おいおい、こんなもんで戦闘組に参加してんのか?弱くて話しにならんな。」
くそ野郎.......
俺は鈴木庄平を睨み付ける。
「ああ、なんだその顔は?雑魚は大人しく城の隅で寝てろよ!」
鈴木庄平が一気に近づき、木剣が振り下ろされる。
それを防ごうとするが、俺の木剣ごと右肩を直撃した。
「ぐっ!」
力の差がありすぎる......
痛みで剣を離そうとするのをなんとか耐える。
ガンッ!
頭に衝撃がはしる。
今度は側頭部を木剣に直撃した。
「くっ!」
意識を何とか保ち剣を構える。
が、しかし右腕を木剣があたり痛みで剣を落としてしまう。
右腕に鈍い痛みがはしる。
たぶん折れた.....
今度は前蹴りがあたり、俺は倒れる。
「はっ!雑魚が!」
「くそ!」
俺は立とうとするが、
ドカッ!
蹴りがはいりまた倒れる。
「寝てろ!屑が!」
倒れている俺をさらに蹴り飛ばし、木剣でボコボコにされた。
俺は意識を失い中庭に倒れてしまう。
「.........るさ、だ、.......たけ、さま......」
誰かが呼んでいる。
「ん......う、ん」
目を開けると、涙を流したアイリさんがいた。
「タケル様!大丈夫ですか!」
「あ、ああ大丈夫だ。」
どうやら俺は気絶して、今はアイリさんに膝枕をしてくれているようだ。
こんな状況じゃなければ最高なのに.......
俺は立ち上がろうとしたが、痛みで顔をしかめる。
「くっ.......」
「まだ動いてはダメです。これをお飲みください。」
アイリさんが瓶に入った緑の液体をくれた。
これは回復薬だ。
俺はそれを飲むと、痛みが引いていき折れた右腕か治った。
すごいなこれ.......
「すみません。ありがとうございます。」
俺は立ち上がり、アイリさんにお礼を言った。
「いえ、いいんです。それよりもなぜこのような事に?」
「............いや、まぁ気にしないでよ。」
言えなかった.......
カッコ悪すぎて何が起こったか言えない.......
「で、ですが!......いえ、すみません。出すぎた真似を。」
アイリさんは俺を心配してくれているみたいだ。
「大丈夫ですよ。回復薬、ありがとうございました。このお礼はいつか必ず。」
「え?いや、お礼なんて.....」
アイリさんは慌てて手を振る。
「いや、俺がしたいんですよ。お礼をさせてください。」
「あ、はい.....ありがとうございます。」
アイリさんは俺を赤くしてうつむいてしまった。
だが耳はピコピコと動き、尻尾はフリフリと左右に振っている。
とても嬉しそうだ。
「それでは俺はこれで.....」
「あ、はい。お休みなさいませ。」
「うん.....お休み。」
俺はアイリさんと別れて部屋に移動した。
くそ!くそ!くそ!
俺はなんて弱いんだろう.......
ベットに横になりながらいつの間にか目から涙が落ちていた。
もっと......もっと強くならいと.......