第2話 ~ 能力 ~
元の世界に戻れるかどうかの話を忘れていました。
そのため第2話を改稿しました。
未熟ですいません。
王様に魔王を倒してくれと頼まれてから、時間がたち今は個室にいる。
1人づつ部屋が与えられているのだ。
俺たちのクラスは30人いたので、先生で31人は異世界に来たことになる。
そんな人数の部屋を与えているのだから、この城はかなり大きいと言えるだろう。
謁見の間の時の話をまとめると.......
この世界の名は、イルニスと言う。
イルニスには大きな4つの国があり、その1つに魔王がいる国が、魔国ハーヴェルといい、最近に魔王が復活したらしい。
それを倒すべく、勇者召喚の儀式を行い俺たちが召喚されたということだ。
それを聞いて、
「ふざけるな!この世界の事なんか俺たちには関係ない!」
「そうだ!帰してくれ!」
などのブーイングが起こったが、
「すまない!私たちでは力がなく、魔王を倒せないのだ。どうか頼む!この通りだ.......」
と、王様が泣きながら頭を下げたので皆が黙ってしまった。
まさか王様の泣き落としが効くとは......
「まあ、ああして王様も頼んでることだしさ。できるだけ協力しよう。」
と、学級委員長が言い出したので俺たちはこの世界を救うことになった。
説明では、あと1回しか魔法は使えないらしく、魔王を倒したら戻してくれるとのこと。
それならいいかな..........
と思ったいた。
そして日が暮れてきたので、これからの事は明日説明することになり、各自の部屋へ案内された。
案内してくれたのはメイドさん達で中には猫耳やウサミミなどの獣人がおり、それを見た男子達の顔は言わなくてもわかるだろう。
そしてその光景を女子達が冷たい目で見ていた.......
部屋は豪華でベット、タンス、机があり、まるで貴族の部屋みたいな感じだ。
俺はベットに横になりながら窓の外を見ていた。
この世界の月は2つあるため前より外は明るい。
今日その月を見ながら寝ることにした。
翌朝
俺はメイドに起こされた。
メイドに起こされたのは初めてだから驚いた。
朝食を食べるため大広間にセッティングされた机に座った。朝食はパンにスープだ。パンは食べ放題だったため遠慮なく食べさせてもらった。
その後、そのままの席でいると、鎧を着た人達が何人か入ってくる。
「私はこの国の騎士長を務めている、アール・カルカスという。これから君たちの指導にあたる。よろしく。」
この騎士長のアールさんは顔の左に大きく縦に傷が入っていた。だがかなりのイケメンで、ダンディーな感じを出している。
「それではまず、君たちにこのプレートを与える。このプレートは能力を現す様になっているため無くさないように。」
皆に銀色のプレートが2枚渡された。大きさはドックタグぐらいの大きさだ。
「まず、プレートに血を一滴垂らしてくれ。そうすれば現在の能力がプレートに出てくる。」
俺たちは言われた通りにプレートに血を垂らした。
名前 : 佐藤猛
レベル 1
職業 :
筋力:150
耐性:100
敏捷:100
魔力:200
魔耐:100
称号 : 異世界者
スキル : 言語理解、覚醒の卵
と出てきた。1枚目に名前や能力値が、2枚目に称号やスキルが表示された。
「よし、それでは自己紹介を兼ねて、プレートに書いてある職業を言ってくれ。まずは君から。」
学級委員長がまず最初に自己紹介だ。
「えー、名前は成宮光輝と言います。職業は勇者です。」
「おおー!」
皆から驚きの声があがる。
やはり、学級委員長が勇者だったか.......
この後も次々と自己紹介がされていった。
ここで最悪な事がわかった。
皆、職業があった。
今のところ俺だけが職業がない.....
何か嫌な予感が......
そしてとうとう俺の番だ。
「佐藤猛と言います。職業はありません。」
「は?.......」
「あははは!お前職業無いのかよ!」
「うそ!マジ?!なんか可愛そう。」
やはりこうなったか.......
「笑うな!いいか、職業は普通は無い方が多いんだ。だから無くても何の問題もない。」
騎士長のアールさんの一喝で場が静まる。
さすがアールさん!
その後も自己紹介が終わったが、結局無かったのは俺だけだ。
アールさん曰く、職業は後から付くもので、能力値の補整をしてくれるものらしい。
てことは、俺の能力値は皆より低いことになる。
なんかますます可愛そうな存在に.......
「これで全員終わったな。これから君たちの訓練を行う。」
アールさんに皆が着いていくと、体育館以上の広さがある建物に来た。
ここが訓練場になるみたいだ。
使う武器ごとに分かれて訓練を行うらしい。
俺は武器系の職業もスキルも無いので無難な剣にした。
「剣を教えるのは私がやる。とりあえず君たちの実力を見たいので、一人一人私と試合を行ってもらう。」
剣の講師はアールさんらしい。
訓練に使う剣は刃引きされた剣と、木を削り出した木剣がある。今回は木剣を使うらしい。
まず初めに勇者である光輝がやることになった。
「それでは、はじめ!」
「でぇやぁぁ!」
光輝は真っ直ぐ突っ込んで行き、剣を振り下ろす。
アールさんはそれを受け流し、胴体に一閃。
「ぐっ!」
光輝は痛みに膝をつく。
「そこまで!太刀筋は悪くないが、直線的すぎるぞ。」
その後も試合は行われていき、最後に俺の番だ。
「それでは、はじめ!」
俺は木剣を右下に構える。
普通にやっても能力差で絶対に勝てない。
なら、別の方法だ。
アールさんに向かって走りだし、下から斬り上げる。
それをアールさんは剣で受けようとする。
だが途中で剣を止めて、右手でアッパーを放つ。
「む......」
アールさんは少し驚いたが、難なくかわされた。
そこは、折り込み済みだ。
かわされたと同時に前蹴りを放つ。
だがそれもガードされてしまった。
次に剣を振り下ろすが、それに合わされてカウンターの一撃をもらい膝をつく。
「くっ!」
「そこまで!いい戦法だぞ、戦闘のセンスがあるな。」
やった!初めて誉められた。
その後は基礎訓練で素振りや筋トレなどを行っていき、昼食後はこの世界についての授業がある。
異世界に来ても授業とは......
授業でわかったことは、種族が人間、エルフ、獣人、魔人など、多くの種族があるらしい。ちなみにドワーフは獣人に入るとか。
そして俺たちは後日、冒険者のギルドに登録される事になるらしく、そのための必要な知識を教えられた。
それにこの世界の金銭面について教えてくれた。
銅貨100枚→銀貨1枚
銀貨100枚→金貨1枚
金貨1000枚→白金貨1枚
となっている。ちなみに、銅貨1枚あたり100円ぐらいというみたいだ。
日が暮れて、夕食後各自の部屋へ行った。
俺は部屋には行かずに、中庭へ移動した。
中庭は綺麗な花が咲いている花壇や、白いベンチがあった。
そこで俺は素振りをする。
なぜ、素振りをする必要があると言うと、俺にはまだ剣術スキルが無いからだ。
職業も無ければスキルも無い、なら努力するしかない。
という事だ。
まぁ一応スキルは持ってるんだけどな......
言語理解と覚醒の卵
言語理解についてはわかる。この世界の言葉が普通に理解できるのはこのお陰だろう。
だが覚醒の卵とは?
騎士長のアールさんに聞いてみたが、聞いたこともないスキルらしくわからないそうだ。
一応鑑定スキル持ちに見てもらったが結果は、
???
としか表示されなかった。
鑑定スキルとは、そのまま鑑定ができるらしく、人や物、スキル、職業などを鑑定できるスキルの事だ。
ちなみに鑑定スキルにもレベルがあり、レベル10(Max)の人に見てもらったのに表示されないとは......
謎が多いスキルだ。
素振りを300やったところで一旦休憩をとり、ベンチに座った。
するといつの間に猫耳メイドさんが近くにいたのだ。
危うく驚きの声をあげるとこだった。
「どうしましたか?」
俺が声をかけると、メイドさんは顔を赤くして、
「あ、あのこれどうぞ!」
と言い、タオルを差し出した。
「あ、ありがとう。」
女性にタオルを差し出されるとは.......
どこぞのイケメンスポーツマンじゃないと経験できない事だな。
タオルで汗を拭くといい匂いがした。
「君の名前は?」
俺はメイドさんと少し話すことにした。
「あ、はい。私はアイリと言います。」
「俺はタケル・サトウ。よろしく。」
この世界は外国みたく、名が先で名字が後だからそれに習って自己紹介した。
「あ、あの......サトウ様、一つ伺ってもよろしいですか?」
「ああ、いいよ。それにサトウ様じゃなくて、タケルでいいよ。」
「はい、タケル様はなぜ鍛練を?勇者の方たちは鍛練をしなくても十分に強いと聞いたのですが。」
呼び捨てでよかったのだが、気にしないことにした。
「それは俺が皆より弱いからさ。俺は目立った職業も無ければ、戦闘系のスキルも無いから皆より努力するしかないのさ。」
「立派な事ですね。」
「ん?いや、そんなんじゃないよ.....たぶんだが、この世界にいるといつかきっと弱い自分が嫌になるときが来ると思うんだ。だからかな?まぁわかりずらかったよね?」
自分でも何言ってるかわからないんだ。ただ、何となくそう感じる。
「あ、あの.....が、頑張ってください!」
アイリさんは顔を赤くして走り去ってしまった。
な、なんだ今のは........可愛すぎる!
しかも今の反応はもしかして......
いや、そんなことは無いと思う!だって俺だから!
まぁいいや、とりあえず素振りやろう。
その後も素振りを300回やっと後に部屋に戻って寝ることにした。
あ、タオル返し忘れた......
まぁ後で返そう。