第19話 ~ お金を稼ごう ~
金銭関係を変更しました。
マッスルボアを討伐するべく、草原の北側を歩いている。
王都の北側だ。
目の前には、頂上が見えない程の高い山がある。
ガルバ山脈だ。
このガルバ山脈は北側にある国との国境の境になっている。
その国は魔国ハーヴェル。
ガルバ山脈のおかげで両国との戦争は本格的には起きていない。
そもそもこのガルバ山脈には竜種が生息している。
しかも竜王種までいるとのこと。
前回戦った黒龍王バルバディアはこの山から来たと思われる。
そのため両国はなかなか手出しはできない状態だし、誰も竜王種が住んでいる山を越えようなんて考えない。
なので北の防備は他と比べて手薄だ。
その山を遠目に見ながら草原を歩いていると、猪を発見した。
あれがマッスルボアか........
剣を抜いて、気づかれないように近づく。
すると、向こうもこちらに気付いてしまったようだ。
「ちっ!」
マッスルボアがこっちに向かって突進してきた。
.........ん?なんか想像してたより大きい?
その体型はかなり大きく、まるで牛と同等の大きさだ。
しかもでかい牙が口からはみ出している。
これはヤバイな..........
マッスルボアの突進を避ける。
「うおっ!」
けっこう迫力あるな........
マッスルボアはこちらに向きなおして、また突進してくる。
直線的だからわかりやすいな。
突進してくるのに対して今度はカウンターで剣を横に振る。
「ぐっ!」
避けて剣撃を浴びせたが、皮膚が硬く少ししか斬れなかった。しかも衝撃で手が痺れてしまう事態に。
「くそ!」
再度突進してきたのを横っ飛びで避ける。
それならこれはどうだ!
「魔闘術、発動!」
魔力を纏い、今度もカウンターをする。
だが今度は剣にも魔力を通す。
マッスルボアがまた突進してくる。
「それしか芸がないのかよ!」
突進を紙一重で右にずれて、剣を振り下ろした。
マッスルボアの頭部が落ち、そのまま走り抜けて倒れた。
「よし!まずは1頭だな。」
それにしても硬かったな........
マッスルボアの革と牙を剥ぐ。
これも換金してもらえる。
「もう一頭探すか。」
剥いだ物を鞄に入れて、歩き出す。
「お!見つけた。」
少し小高い丘の上にマッスルボアがいた。
向こうも気付いて、突進の体勢にはいる。
そして真っ直ぐこちらに向かって突進してきた。
単純だな.......
一瞬だけ魔闘術を発動。
左にずれて、剣を振り下ろす。
今度は首ではなく、胴体を切り裂く。
だが、これでは倒しきれなかったみたいで、再度突進してきた。
剣を構えてもう一度同じ事をしようとしたとき、急に倒れた。
.........なんだ?
近づくと息絶えていた。
これは失血死か........
胴体に浴びせた斬撃が深くまで切り裂き、大量出血したみたいだ。
「さてと、剥ぎ取りますか。」
先ほどと同様に革と牙を剥ぐ。
ドドドドド!
「ん?........なんだ?」
地響きみたいな音が聞こえてきたのでそちらを向くと、マッスルボアが突進してきていた。
「やべっ!」
すぐに避けようとするが、
「ぐぇ!」
間に合わずに突進をくらってしまった。
吹き飛ばされて地面に転がる。
「くっそ!油断した!」
立ち上がり、傷を確認する。
「あれ?傷がない?」
突進をくらった場所を確認すると、なにもなかった。
この装備のおかげか.........
マッスルボアを見ると、また突進する体勢にはいっていた。
「このやろう.....やってくれたじゃねぇか。」
突進してきたのを、避けて剣を振り下ろす。
もちろん魔闘術を発動してだ。
あっさり首を落とされ、絶命した。
「ふぅー。」
実際、この装備じゃなかったらかなりヤバイ一撃だったな。
気持ちを切り替えて、今度は油断せずにいこう。
革と牙を剥ぎ終えたら、マッスルボアがいた小高い丘を登った。
すると目の前にはマッスルボアの大群。
「.....................やば。」
1頭がこちらに気付き、
「プギィィィィ!」
鳴き声をあげた。
周りのマッスルボアがそれに反応してこちらを見る。
やばすぎる!
俺は一気に駆け出した。
後ろからマッスルボアが押し寄せてくる。
「くそ!やっちまった!」
初めの1頭が接近してきた。
「くっ!」
魔闘術を発動して避ける。
その際に剣を振り、切り裂く。
だが次々と突進してくる。
次の1頭は転がって避ける。
剣を振り、切り裂く。
そしてまた避ける。
この繰り返しだ。
だが、途中で突進をくらってしまい、
「ぐはっ!」
転がるがすぐに起きる。
逃げながら戦い続ける。
「はぁ、はぁ..........くっ!」
突進を転がって避ける。
次の奴はすれ違いざまに斬る。
もう何頭倒したかわからない.........
振り向くと、残り3頭だった。
よし!もう少し!
その場に立ち止まって迎え撃つ。
「うおぉらぁ!」
突進してきた3頭をジャンプして避ける。
空中で回転してその勢いで切りつけた。
1頭は首を斬られて血が吹き出す。
もう1頭は胴体をわずかに斬られた。
3頭目は当たらなかった。
くそ!たが、あと2頭........
2頭同時に突進してきた。
1頭目は避けて足を切り落とす。
2頭目は正面から振り下ろす。
「ぐぇ!」
剣は当たったものの、突進はくらい吹き飛ばされる。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
立ち上がり、周りを確認する。
周りはマッスルボアの死体だらけだ。
足を切り落とされた奴はまだ生きていた。
俺は剣を拾い上げ、そのマッスルボアに止めをさした。
「やっと...........終った........」
その場に座ろうとしたが、日暮れになろうとしていた。
「やば!」
早く戻らないと!
アールさんから日暮れまでに戻るように言われていた。
手早くマッスルボアの死体から革と牙を剥ぎ取っていく。
だが、その数が多い。
剥ぎ取り続けてようやく終った頃には完全に日暮れだった。
こりゃ、怒られるな.........
そう思いながら王都に戻った。
倒した数は、30頭だった。
前倒したのと合わせて33頭倒した事になる。
この防具と魔闘術のおかけで少しの擦り傷で済んだ。
助かった..........次からはもっと気を付けよう。
王都に戻ると、まずギルドに向かい、完了手続きと換金をしてもらった。
倒した数と持ち込んだ量に驚かれたが、俺として早くしてほしかった。
何しろ時間がない。
まぁ、自業自得なんだけどね。
追加報酬も貰い、換金したのと合わせて全部で銀貨50枚になった。
よし!苦労したかいがあった!
俺はそのお金を受けとると、急いで城に戻った。
ギルドを出た時には完全に夜だった。
城に戻ると、アールさんが待ち構えたおり、
「どこに行ってたんだ!この馬鹿者!」
拳骨を脳天に一発。
気絶するかと思った.........
そこから1時間の説教タイム。
開放されたときには、食堂には誰もいなかった。
まぁ、いつも一人で食べていたからいいんだけどね。
食べ終わると、部屋のベッドに倒れこむ。
「はぁ~、疲れた........」
寝ながらだらだらと装備を外し、ステータスプレートを見る。
名前 : 佐藤猛
レベル 5
職業 : 見習い魔法剣士
筋力:490
耐性:440
敏捷:440
魔力:530
魔耐:430
称号 : 異世界者、強さを求める者
スキル : 言語理解、覚醒の卵(ひび割れ)、剣術 2、魔闘術 2、魔力感知 3、生魔変換 1
レベルが上がってる。
それでも5か.........
まぁ、上がってるだけ.........ましか..........
「...............ん?」
起きると、外はまだ暗かった。
ベッドの周りには、外した装備が散らばっている。
しまった..........あのまま寝てしまったか。
あ!風呂入ってない........
ベッドの周りを片付けて、風呂場へ向かう。
城の風呂は大きくていいんだよなー。
まだ、開いているといいんだけどな。
風呂場に着くと"男湯"の方へと入った。
おお!貸しきりだ。
遅い時間もあってか誰もいなかった。
入ると、洗い場が幾つかあり、大きい浴槽がある。
サイズはプール並だ。
体を洗い、風呂に入る。
「はぁ~~。」
ゆっくりと浸かっていると、前から誰かが来た。
湯気がたちこめているので、姿が見えない。
誰だ?
バチャバチャと水音をさせながら、現れたのは女性だった。
「え?」
「へ?」
目の前の女性はかなりの美人だ。
金髪を腰まで伸ばしており、蒼い目をしている。
胸はかなり大きく張りがある。出るところはでて、引っ込むところは引っ込んでいる。
まさに絶世の美女といっても過言ではない。
なぜここまでわかるかというと、現在俺の目の前に全裸で立っているからだ。
その時、俺の頭に浮かんだのは、
あれ?ここ男湯だよね?
だった。
「き、き、キキ......」
「ん?」
急に顔を赤らめて、
「キアアアァァァァァァァァァァァ!」
悲鳴をあげて右手をつきだしてきた。
しかも拳を握りこんで。
「へ?」
俺は凄まじい早さで迫り来る、渾身の右ストレートを反応することができず、モロに顔面に受けた。
「ぐぼらぁ!」
俺は吹き飛ばされて、風呂場の壁に激突。
ドシャ!
そのまま床に落下。
........なに..........この威力...........
そのまま気を失った。