第13話 ~ スキル ~
話しの内容にズレが生じたので訂正しました。
少しの休憩の後、出発することになった。
「そろそろ行くが、動けるか?」
レイチェルさんがそう聞いてきた。
俺は少し体を動かして調子を確かめる。
少し左腕が痛いが問題ない。
魔力も回復した。
「大丈夫です。行きましょう。」
「そうか、あまり無理するなよ。」
頷いて返事をし、森の中を歩きはじめる。
日が落ちてきた頃、目の前からレッドウルフが5頭やって来た。
「む、少し多いが問題ないだろう。」
レイチェルさんがそう言った後、3人同時に駆け出した。
まず、2人がレッドウルフ3頭を瞬殺。
そのすぐに俺が2頭を相手取る。
レベルが上がったせいか、少し体のキレがいい。
余裕をもってレッドウルフの攻撃をかわせる。
1頭づつ相手をして冷静に倒していく。
少し攻撃を受けてしまったが、問題ないなく倒せた。
レベルアップって凄いな......
などと思いながら素材を剥ぎ取っていく。
ちなみにレッドウルフの素材は、牙と毛皮だ。
毛皮は防具にすれば火耐性が付くし、牙は武器にすれば火属性が付くらしい。
と言っても効果はかなり低いみたいだが。
「それじゃこの辺りで夜営の準備でもするか。」
「え?帰るんじゃないんですか?」
「おっと、説明していなかったな。今回のクエストは野宿の体験をしてもらうためってのもあるんだ。」
「そうだったんですか。」
その後俺達は夜営準備をした。
準備と言ってもやることは単純だ。
ただテントを張って、薪を集めて、火を起こす。それだけだ。
火はグレンさんが火魔法で起こしてくれた。
火魔法が使えない人は火打石を使うらしい。
完全に日が暮れて月が昇ってきた。
この森の夜は夜行性が少なく、他と比べて比較的安全とのこと。
テントの側で焚き火をしてご飯を食べる。
なんかキャンプみたい.......
と思っていた。
ちなみにご飯は事前に支給された携行食だ。
これがかなり不味い......
なんと言うか......しょっぱいんだか、甘いんだか、辛いんだかよくわからん。
そんな携行食を食べているとき、気になっていた事を聞いてみた。
「2人ってレベルはどれぐらいなんですか?」
「ん?レベルか?そうだな......ステータス見てみるか?」
と言って、あっさりステータスを見せてくれた。
これって大丈夫なのか?
と思っていると、
「大丈夫、大丈夫。ちょっとした指標として見ておいたらいいよ。」
と言ってグレンさんも見せてくれた。
2人がいいんだったらいいか........
まずレイチェルさんのステータスがこれだ。
名前 : レイチェル・マットン
レベル 68
職業 : 剣士
筋力:1940
耐性:1850
敏捷:2060
魔力:1840
魔耐:1470
称号 : 強さを求める者、放浪者、一騎当千、魔物狩り、苦労人、剣王
スキル : 剣術 10(Max)、獅子閃剣、双剣術 5、格闘術 6、槍術 2、投擲術 4、縮地 5、魔力感知 5、危機察知 7、見切り 7、覇気、火魔法 3、風魔法 2
「............」
なんじゃこりゃ!
レベルもステータスおかしすぎだろ!
称号とかスキルとか気になるの多すぎ!
そして、これがグレンさんのステータス.....
名前 : グレン・マットン
レベル 61
職業 : 魔法剣士
筋力:1840
耐性:1690
敏捷:1860
魔力:2540
魔耐:2670
称号 : 強さを求める者、放浪者、魔物狩り、死線を超えし者、アンデットハンター
スキル : 剣術 7、魔闘術 8、格闘術 4、投擲術 5、魔力感知 8、危機察知 6、見切り 7、隠密 2、覇気、火魔法 5、風魔法 4、水魔法 5、土魔法 3、光魔法 6、闇魔法 4
「...................................」
グレンさんもすげぇ!
てかスキル多すぎ!
「...........なんかもう、やる気なくしますね。」
「ん?そうなのか?」
「だって2人とも強すぎですよ!」
「なぁにタケル君もこれぐらいになれば、こんなもんさ。」
「なんか........そんな気がしないんですが。」
「まぁまぁ、頑張れよってことよ!」
「............はい。」
グレンさんとのやりとりで、一気に疲れた気がする。
夜は夜行性が少ないと言っても居ないわけではない。
そのため見張りが必要だ。
今回は俺とレイチェルさんが先に休んで、その後に2人で見張りをすることになった。
その際にグレンさんがいろいろと文句を言ってきたがレイチェルさんに黙らされた。
寝ていると、交代の時間になったのでレイチェルさんに起こされて交代した。
「意外だね。」
焚き火を見ながらボーっとしていると、突然レイチェルさんが聞いてきた。
「なにがです?」
「大抵の新人は慣れない夜営で寝ることなんかできないのに、あんたは熟睡だったね。」
「ははは、まぁかなり疲れてましたから。そのせいでしょう。」
「ふーん、疲れはとれたかい?」
「まぁまぁですかね。」
俺は気になっていた事をレイチェルさんに聞いてみた。
「あの、ちょっと聞きたいことがあるんですが。」
「ん?なんだい?」
「レイチェルさんのスキルや称号についてです。」
「あー、その事かい。いいよ、答えられるところは答えてあげるよ。」
「じゃあ、あの獅子閃剣ってスキルはなんです?」
「あれは私の固有スキルみたいなもんだ。」
「固有スキル?」
レイチェルさん曰く、固有スキルとはその人特有のスキルでこの世界に1つしかなく、人によってスキルの種別が違う。
攻撃系だったり支援系だったりする。その固有スキルは大抵は持って生まれてくる先天性だ。だが時に、己の努力で手に入れる、後天的なものがある。所謂ユニークスキルだ。
レイチェルさんは剣術スキルをマスターしたときに手に入れたらしい。
まぁあれだ。
簡単に言うとチートだ。
そのスキルの内容は、全方位に斬撃を飛ばせるらしい。
多対一の戦闘においては無敵とのこと。
「凄まじいですね........」
「まぁいつの間にか付いていたスキルだからね。あのときは何で私に?って不思議だったよ。」
「それじゃあ、称号の"剣王"というのは?」
「あれは剣を使う人の階級みたいなものさ。」
この世界には攻撃系スキルを使う人に、ある程度の熟練者に与える階級みたいなものがある。それが称号として表れるらしい。
例えば剣術使う人は、剣士、剣客、剣王、剣帝、剣聖、剣神、となる。
そしてその称号は自分より階級が上の人に付けてもらえるらしい。
レイチェルさんは剣王になるとき、剣帝の人に許可をもらいこの称号がついたそうだ。
ちなみに今は剣神はおらず、剣聖がトップらしい。
レイチェルさんで剣王........
と言うことは、剣聖や剣神ってどれぐらい強いんだ?
「なるほど......じゃあグレンさんのあのスキルの多さはもともとなんですか?」
「あれは半分もともとで半分は努力でかな。」
グレンさんは魔法の適性がかなり高く、7属性の内、6属性を使える才能があったそうだ。
だが、魔法使いにならずに剣術を磨きあげ、無理やり魔法剣士の職業についたそうだ。
なんて無茶苦茶な.....
「あの、スキルに詳しいですか?」
「ん?どうした?急に。」
俺はずっと気になっていた事を聞いてみた。
「俺のスキルに"覚醒の卵"っていうのがあるんですが、これって何かわかります?」
「"覚醒の卵"?いや、聞いたことはないな。」
「そうですか......」
やっぱりか......そんな気がしたよ。
「鑑定はしてもらったか?」
「はい......それでも詳細はわかりませんでした。」
「うーむ、この世界にはまだまだ知られていないスキルがある。わからなくても仕方ないさ。」
「........はい。」
今は考えても仕方ないか。
「そういえばレイチェルさんで赤ランクなんですよね?」
「ああ、そうだが。」
「じゃあ銀や金ランクの冒険者ってどれぐらい強いんですか?」
「そうだな.......一言で言うなら"人外"」
レイチェルさん曰く、金ランクの冒険者はこの世界に3人いて、その内の1人は剣聖の称号を持っている。
その人に会ったことがあるレイチェルさんはその当時の事を話してくれた。
なんでも、モンスターの大群が王都に押し寄せたとき、一撃で全滅させたらしい。
その数は約1万........
その人はただ通るのに邪魔だったとのこと。
その強さはまさに"人外"らしい。
レイチェルさんといろいろ話をしていると、夜が明けてきた。
「そろそろ朝だな。グレンを起こして行くぞ。」
「はい。」
さあ、クエストの再開だ。