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2回目のエピローグ

「ひぃっ……」


 口から出た血に驚きながら、ダグーは樹に手をついて休んだ。


「あと少しだったのに、あと少しで、あの女の命を取れたのに」


「もう……終わりだ」


 ダグーが振り向く、僕を見た。


「魔王様の落とし子」


「ニクラスだ。親父と同じ名だよ」


 僕はエマと一緒にダグーを追っていた。


 残りの皆は終わるのを待っている。


「夢はここまでだよ」


 僕の魔銃にはディエス・イレが入っている。


 ダグーに向けて撃てばそれで終わりだ。


「投降すれば、命は助ける」


「投降? 馬鹿な事を、これ以上生き恥をさらす必要は無い――もう命も長くない」


 銃口を向けた。


「そして、大人しく死ぬことも無い」


 ダグーが飛び上がる前に、エマの鞭がダグーの足を掴んで、引き摺り倒した。


「ありがとう。親父を助けてくれて」


 ディエス・イレが銃口から発射されて、光がダグーを消滅させた。


 光は木々を薙ぎ倒し、山に吸込まれていった。


 最後はあっけないものだった。


「終わったね」


「ああ、魔王の残り香は――もう、僕しかいない」


「うん」


「善人になれるかな」


「分からないよ」


「そうだね」


 僕たちはみんなのところへ戻ろうとした。すると火山が呻き始めた。


「あれ? もしかして噴火?」


「ディエス・イレのせいだ……」


 溶岩を刺激してしまったようだ。


「召喚術――翼竜ワイバーン!」


 エマが召喚して、僕たちは乗って飛び上がった。


「アイ=ドールは思うの。二クラスはお馬鹿ちゃん」


「あー、うるさい!」


 火口付近の皆が慌てふためいていた。


「こらー! 親父を焼く気か!」


 特にエマのお父さんが憤っていた。


 魔女はそこらへんの枝を箒に見立てて、飛ぼうとしている。


「おいこらー! 早く翼竜を呼べ!」


 翼竜ワイバーンの集団が来るまで数時間かかった。僕たちは安全地帯まで1体の翼竜を使って往復して、燃え上がる火山一帯を眺めていた。翼竜ワイバーンを連れてきたのは、エマのお母さんだった。


「もー! せっかくのステーキが冷めちゃったでしょ!」


 エマのお父さんが怒られていて、反論もできないようだった。


 おそらく魔女に召喚されたはずなのだが、魔女のせいにしないあたりはさすが魔女の騎士と言ったところだろうか。


 腕を首に絡めて締めるフリをしながら、じゃれ付いていた。


 本当に仲の良い夫婦だった。


 魔女はそっぽを向いていたけど。


 僕とエマ、エマの両親、オズとミオば翼竜に乗り、魔女は箒に乗って空に舞い上がった。


「本当にありがとうございます」


 オズとミオは深くお辞儀をした。


「これからどうするんだ?」


「故郷の村に戻って、一からやり直します」


「そうか……頑張れよ」


「いつか、来てください」


 後年、エマの母――僕の義母が2人を尋ねた。


 向日葵ひまわりが咲き誇る美しい村だった。


 村には他に誰もおらず、2人は仲良く暮らしていたそうだ。


 オズの初恋だったカレラ――その娘ミオは後年女王陛下となったそうだ。


 女王陛下に良く似た少女がその村にはいた。


 いつまでも若く、美しい少女の傍らには一人の男がいた。


 2人には子どもができなかったが、本当に幸せそうだった。


 ここに、もう一人の女王陛下の騎士の物語があった。


 誰にも知られることのない、静かな愛だった。

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