↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
89/95

蹂躙の園

 結論を言うと、エボンの街は半壊した。


 樹の精霊は、エボンの街に封じられていた命の精霊を蘇らせた。黄昏の精霊たちは根源から流れてくる魔法を独占して、魔女も弱体化したそうだ。


 復活しているのは、雷、樹、命。


 解明されているもので残るのは、火・水・石・風・音・鋼の計6つだ。


「これでダグーの狙いが分かった。各地の精霊をドッペルゲンガーに模倣させることで復活させて、力を得ようとしている。ついでに魔女の私も封じられると言うことだ」


 魔女は辛そうだった。今まで無限に得られていた力が断たれているからだ。


「俺たちも三つの魔法が使えなくなっている。最悪なことに、命の魔法が使えないって言うのが、一番の痛手だ……死刑宣告をされたも同じだ」


 二クラスは雷の精霊が実の父親だったと言うのを聞かされて最初は戸惑っていたけど、表情には何も出していなかった。魔女と心を通わせることで人間性を取り戻したが、それまでは魔王の息子と言うことで壮絶な嫌がらせを受けていた。いや、それは俺たちの知らないところでいまだに続いているのだろう。強固な精神力は負の感情の落とし子だった。


「精霊の復活を阻止しないと」

 エマが言うと、

「……いや、それは止めよう。それは遠回りだ」

「ダグーを探して、殺すのが一番だ」

 エマは殺すという単語に無言になった。

「まずひとつ、相手がどれだけドッペルゲンガーを所有しているか分からない。次に、精霊を探すことは後手に回ることになる。次に、これはオズの問題になるが……ミオを助けなくてはいけない」

「僕はそれを主軸にすえるのは問題だと思うけど」

 二クラスは冷めた目でオズを見た。

「分かっている。俺は――」

「まあ、待て」魔女が会話に割り込んだ。「私はオズと一緒に行く。だいたい、どういうことか分かったしね。ミオは優秀なドッペルゲンガーとして、オズを使って実験をされていたんだろうね。おそらくは精霊よりも、もっと上等なものに変身させるつもりだ。だが、それが相手を崩す取っ掛かりになる。ミオのミオだったときの人格を私が掴めば、相手の切り札を封じることができる」

「ミオの人格を?」

「人格を定着することはできるよ。ダグーにできて、私にできないことは無い。ただ……私の召喚獣ではないから、けっこう力がいるから、私は戦闘に参加できないと思うよ」

「僕は反対だね。相手の切り札封じに、魔女が戦闘に参加できないなんて本末転倒だろ」

「ニクラス……私は私がやりたいことをやる。それ以外に望むものは無い」

 また……そういうことを言って……。

 魔女が言いたいのは、自分たちの時代くらい自分たちで守れと言う事だ。

 それが、すじだ――と。

「わかったよ。僕たちが、ダグーたちを倒せばいいんだろ」

「当然、こっちが暇になったら助けるけど、期待しないでね」


 俺は二クラスとエマと3人になった。

「魔女には困ったな……。前もこんな感じなことをしたって、クーも言っていた」

「でも、ダグーってヤツを倒すのは」さっき殺すと言ったときにエマが怯えたので別の言葉にした。「見つけることができれば、出来ないことは無いと思うけど、どうやって見つける気だろう」

「魔女が簡単に精霊を逃がしたから、何か臭いでもつけているんだと思うよ」

 あの巨体だ。どこかに変なものがついてもそう簡単には気付かないだろう。

「二クラスはともかく、エマは行くか?」

 正直なことを言うと、エマを帰らせて、クーと交換したかった。クーがいれば得意の鋼で相手が精霊といえども引けを取らないだろう。それに、魔物と魔族とは違う。魔族は人型なので、殺すのにはためらいがある。エマはためらう方だった。

「行くよ。二クラスも行くんでしょ」

「父親もいるみたいだからね。僕は行くよ」

 さて、俺は行くしかないな。

 冒険者ギルドで俺を飯に誘った男は大怪我をしたようだし、借りを返してやろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。