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女海賊

 助けてください。


 連れがエロ過ぎて辛いです。


 船の操縦に集中しなければいけないから身を護ることができない、ミオには四六時中体を触られ、いたる所に唇をつけられて、理性を抑えるために隙を見て太ももを抓って自分を抑えています。


 血豆が五個ぐらい出来ました。


 自分の理性を信じすぎていた。


 傾国、傾城の美貌を少しでも抑えつけられると思った自分がアホでした。


 煩悩ごと受水自殺でもして、新しく生まれ変わりたい心境です。


「うーん。顎の味は中々だね」


 舌の感触が顎から、耳まで上がり、耳朶を噛まれた。


「唇はどんなのだったかなー」


 気付いた時には海に飛び込んでいた。


「はあはあ……溺れるところだった」


 ミオが帆船を操って俺のところまで来ようとしたが、なかなか戻って来れずに、本気で死に掛けた。


 とくに、フカに襲われるとは思わなかったので意外と危なかった。


「そんなに私が嫌いなの?」


 ミオが半泣きになっていた。まさか俺が海に飛び込むとは思わなかったのだろう。


「嫌いじゃないけど、ミオは俺から見たらカレラの娘なんだよ。だから、触れて欲しくない」


「……そうか。分かった」


 うわー、分かりやすいほど落ち込んだよ。


 これが、数々の国を滅ぼしてきた悪霊かよ。


 いや、こういう面も合わせて悪霊たる由縁なのか。


 恐ろしい女だ。


 俺は襲ってきたフカを一匹引き上げて、さばいた。


 ビックリするくらいに落ち込んでいるミオに刺身を渡すと、生魚は初めてのようで、口にしようとしなかった。


「食えなくは無いぞ」


 ぱくっと食ってみると、なかなか美味だった。


 ミオも口を開いて食べると、美味しいと呟いた。


「すぐにアンモニア臭くなるから早めに食べないとな」


 一度食べ始めると、どんどん食べ始めて、俺の倍以上食べていた。


「いやー。美味しかったー。腹いっぱいだ」


「もっと刺身にしたら美味いものを釣ろうかな」


「宮廷料理って原形を保たないように作られるから、こういうのって久し振りだ」


「へー、そうなんだ。どうしてそうなるの」


「野蛮だからだよ」


「んな、アホな」


「本当だよ。食事用のナイフが切れ味悪くされているのも、切れ味があると危険だ。つまり野蛮だってことになったからなのよ。肉が切れ辛くて本末転倒だよね。本当におかしい世界だよ」


 雑談を交わしながら、徐々にミオが大人しくなった。


 船足が速くなって、隣町の港が見えた。


 ああっと、珍しい連中がいるな。


「海賊がいるな」


「停泊しているあの船ですか」


「昔色々あって、良く思われていないんだよな」


「怪盗だったから一緒に仕事をしていたとか」


「あの海賊の頭は女なんだけど……色々あって」


「それって……色恋沙汰?」


 し、しまった。


 悪霊の顔が、悪霊らしく歪んでいる。


「いや、なんでもないですよー」


「そうかそうか。あそこにお前の愛した女がいるのか、どーれ、殺してくるかな」


「止めてください。ミオ様」


「嫌だ。私は急には止まらない」


「何でもしますから、許してください」


「何でも! 本当に何でもか!」


 やばい、滅茶苦茶喜んでいる。


 口は災いの元だと、刺青でも彫って教訓にしたくなる……。


「なんでもかー。だったら耳掃除してくれ……舌で」


 へ、変態だ……こいつ変態だよ。


 だれか警察呼んでー!


「やりかたが分からないなら、先にしてやろうか。たっぷり、ねっとりしてあげるぞ」


 耳に向けて口を近づけてきたので、思わず頭突きをしてしまった。


「な、なにを! なんでもするっていっただろ」


「いい」


「えっ」


「海賊……やっちゃっていい」


「やったぁ。恋敵を潰すは女の喜び」


 港に着いた途端にミオは海賊の船へ向けて突撃していった。


 だが、甘いぞ。


 停泊しているなら、陸上で休んでいるほうが可能性は高い。


 俺は海賊たちの溜まり場である食堂へ走って行き、海賊の女頭を見つけた。


 運が良かった。


「おっ、オズじゃないか。久し振りだな」


「逃げてー!」


「はあ?」


 食堂の扉が蹴り開けられる音が響いた。女頭の配下たちが色に狂って、ミオの手下になったようだ。ミオがせせら笑いながら入ってきて、俺が女頭の肩に手をかけているのを見て、高笑いをした。


「やはり、まだ男女関係は続いているんだな」


「そんなの十年以上前の話だぞ。なあ?」


「駄目なんだ。アイツにはそれは通じない」


 ミオは食堂中の男たちを魅了で篭絡した。女頭は眼を白黒とさせていたが、事態の異常さに気付いて剣を手に取った。

「く、く、く。狂い死ねー!」


 もう、最後の手段だ。


 村にいるときも、悪霊が暴走する時はこうして止めていた。


 俺はミオを抱きとめて、唇を交わした。


「ん……」

 頬が赤らみ、ミオは骨砕きになった。


「とうとうやってしまった」


 初恋の娘に口づけをした。


 罪悪感でいっぱいだった。

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