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閑話休題 残された四人

 コロネと魔女がエボンの街へ向かったため、残ったのは四人であった。そう、クー、ジニー、エマ、二クラスだった。将来の婿が夫婦の前にいた。


クー「で? うちの娘とはどこまでいっとんのや。おお?」


二クラス「あのー、そのー」


クー「ほー、そこまでしとんのか。そこに手だしな。嫁入り前の娘に手を出したその悪い悪い手を、これ以上悪さをしないように、そうあるべき姿にしてやるから」


 話が成立していなかった。


ジニー「止めなさい! 娘が生まれたときに、こういう日が来るって……いやー! うちの娘が汚された! 嫁入り前なのに! 嫁入り前なのに!」


 狂犬と化したクーとジニーには話が通じなかった。


アイ「アイ=ドールは分かっているよ。絶対やっているよ」


 アイ=ドールが火にダイナマイトを放り投げた。


クー「お前が魔王の息子なのはどうでもいいが、お前の息子が暴れん坊過ぎるんじゃあ! そこにお前の息子を出せ、一ミリごとに切り刻んで、酢漬けにして、赤龍のえさにしてくれらああ!」


 赤龍がとばっちりを受けそうだった。


エマ「お父さん、お母さん、私は不純異性交際をしておりません」


ジニー「あー、やっぱりー」


クー「だよなー」


 ふざけていた夫婦だった。



二クラス「あのー、結婚を前提にお付き合いしたいのですが」


クー「うんうん。で、籍は入れたのか?」


ジニー「んなわけないでしょ!」


クー「冗談だよ……まあ、僕はかまわねーぜ」


ジニー「私も反対はしないなぁ。娘に誇れるような結婚の仕方してないし。挨拶しただけマシかなあ」


 クーとジニーは悠々と逃げた後、逃亡生活を続けていた。世界各国を巡っており、その時に生まれたのがエマだ。


クー「僕はいいけどさ。魔女には言ったのか?」


二クラス「魔女ですか……まあ、そういう関係なのは分かっているみたいですが」


クー「絶対言っておけよ。はぶられたって泣くから。最近老けたからか、すぐに泣くんだもんなー。昔は泣きの演出が入ると、唾を吐きかけて、足蹴にして砂まみれにしてやりたいって言っていたぐらいに荒ぶっていたのに。優しくなりすぎたんだよ。今ではただの親戚のおばさんポジション、便利屋おばさんだよ。歳からいったらババアか」


 空間を破って魔女の手が現れた。


クー「な、なにー! 馬鹿なー!」


魔女「死あるのみ」


 ぐきっ。


 首を折られた。


 享年三十七歳、クー=デュラン。結婚を前提にした挨拶の場にて死す。

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