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 俺は今までで一番の速さで逃げた。誰に言われなくても、この島の震動は異常になりつつあった。絶対に落ちる。そう思い、赤龍を探しながら、最初に飛び移った場所へと向った。


 油断していた。というより、俺の実力が足りなかったせいだろう。


 崩れ落ちた場所を移動している時に、頭上から土砂と岩石が落ちてきた。


 しがみ付いていたアイ=ドールも反応できなかった。俺は叫び声を上げて、その場に蹲ってしまった。


 光で目が眩んだ。


 土砂と岩石は落ちてこなかった。


 上を見て、周囲を見渡すと、レスターが脇腹を抱えながら銃口を向けていた。


「アイ=ドール、悪い人が良いことをすると凄く良い人に見える法則を思い出したの」


 レスターは手でこっちに来いという身振りをした。


「大丈夫かな」


「アイ=ドールは大丈夫だと思うよ」


 俺は恐る恐るレスターに近づくと、レスターが俺の背に腕を回して、耳元に口を近づけた。抵抗しようとしたが、声が出辛いためにしたようだったので何もしなかった。


「これを頼む」


 俺はレスターの魔道銃を渡された。


「なんで俺に?」


「渡すやつがいないからだ」


 まあ、そうですね。周りに誰もいませんから。


「それに獣人なら魔法が使えないだろ? だから――」


「使えるよ。俺、練習したもん」


 レスターの眼が点になり、死にそうなのに笑った。


「そうか――お前、天才だったのか。天才に頼むのも悪いが、この銃は俺の全てなんだ。だから、ここで一緒に埋まるのは悲しい……持って行ってくれ。そして、誰かに渡してくれ」


 レスターはそういうと、喋るのをやめた。


「わかった。命を助けてもらったお礼だ。あと――助けてくれてありがとうな」


 こくん、と頷いた。


 俺はその場を後にして、何とか赤龍と合流した。


 レスターがどうなったかは、俺は知らない。

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