23
残り――九日。と言っても、出来る限り早く国王に会わなければならないので、ほとんど時間がないと言ってもいい。
いざ出発だが、都市を出たら、追跡者が確実に追ってくる。
問題になるのは――やはり。
「俺もついて行くよ」
コロネだった。僕はコロネと山賊たちの意趣返しをみて、根性があるし連れて行っても良い気分にはなった。
だが少女だ。
ここ数日は、ジニーが身だしなみを整えているので、良い所のお嬢様のように見える。そして、ジニーも都市で身だしなみを整えやすいのか、いつにも増して高貴な雰囲気を身に纏っている。
なにかあったのだろうか? まあ、いいか……。
「まだ魔法も出来ていない」
意地でもついてくる顔をしている。
「それに脱出だって俺の力が必要なはずだ」
たしかに、それはそうだが……。
「……赤龍の洞窟までなら良いですよ」
ジニーが言って、返事を待っているようだ。
「赤龍の洞窟だって一緒に行くよ」
「なら、連れて行かない。私たちコロネが傷付くのを見たくないわ」
コロネは色々言ったが、ジニーは平然と聞き流していた。
「わかったよ。赤龍の洞窟まで行ったら引き返すよ……俺を連れて行けば百人力なのにさ!」コロネは怒りをあらわに、部屋から出て行ってしまった。
「ふー、非情だったかな?」
息苦しかったように、ジニーは息を深く吸った。
「いえ、言っていただき助かりました」
「責任者っぽかったかな?」
「はい」
色々調達した結果――。
クー=デュラン
武器:勇者の剣=ヘルメス(鋼・星)
盾:なし
服:魔法の軽鎧
兜:悪魔の鳥打帽
足:疾風の靴(風)
装飾品:なし。
ヴァージニア=ドラクロワ
武器:黒曜石の短刀(石)
盾:革の盾
服:魔法使いの服
兜:悪魔の鳥打帽
足:革靴
装飾品:アイ=ドール(石)
コロネ
武器:骨の剣
盾:なし
服:冒険者のツナギ
兜:なし
足:魔法で護符された布を巻いている
装飾品:守護者の頭飾り
等々、あとは各魔法のスレイブを一通り入手した。
ちなみに僕の鎧は、僕が最初に手伝った鎧を譲ってくれたものだ。
ギルは良いドワーフだった。魔女のことも知っているのだから、もしかしたら高名な錬成士なのかもしれない。
僕たちは商業都市ノイルに入ってきたように、出て行った。
今回は太陽が昇っていたので脱出するのに随分と時間がかかった。
そして、歩く、歩く、歩く……夕方までもう少しと言う時間で、後ろから馬の音が聞こえた。
出来る限りの完全装備だ。念のために金は銅貨に変えて、持てる限り持って来ていた。『鋼』を使ったときに、操作して戦うためである。僕はヘルメスを構えて馬を待った。
来い――追跡者……。
と思ったら、山賊たちだった。
「はっはっは! 犯罪者め!」
髭男と禿頭の二人だけだった。
いまさら雑魚に構っている暇ないんですけど……。
「……犯罪者?」
「これを見ろ!」
二つの『生死問わず』――賞金首の手配書――僕とコロネのだった。
五分後――。
「ふひはへんふひふぁ(すみませんでした)」
三人でも僕とジニーに凸凹にされたくせに、二人で勝てると思ったのか?
「どういうこと! どういうこと!」
コロネが自分の顔の絵を見て慌てていた。
「しかも絵か――迂闊だった。二人が直接手は出してこなかったが、別の手をとっていたんだな。あーあ、僕の顔もばっちり似ているよ……」
コロネは手配書を見てわなわなと震えだした。
特徴:犬臭い。
「……」コロネの攻撃力がアップした。
僕のところにも特徴が書いてあった。
特徴:特になし。
「……誰だよ。これ書いたやつ」
これを書いたやつは殺すことにした。
「うがうがうが」コロネは手配書を飲み込んだ。
「……私のは無いんですね」
ジニーが言った。当然といえば当然だろう。
「それより、コロネが帰れなくなりましたね」
「あっ、本当だ」コロネはにやけていた。
「……仕方ないですね。一緒に行きましょうか」
僕たちは山賊から馬を奪い、馬に乗って急いで洞窟へと向った。




