閑話休題 ☆ゆるまお☆
「まおーさま、褐色娘をつかまえました!」
魔道銃使い――銃士のレスターは『音』属性の黒電話を使って魔王に報告してきた。
「よくやったぜ。素晴らしいホウレンソウだ! らりるれろ! 分給60分ぶんのボーナスをやろう」
「まおーさま、俺の名前「らりるれろ」じゃないんですけど。あと何気に、分給にしないでください」
「ところで、この後どうするんですか? 殺すんですか?」
「はあ? お前そんなことも忘れているの?」
「いや説明されていないんですけど」
「国王のところへ運べ」
「えっ? せっかくの人質なのに」
「あー、もういい、説明するのがめんどい。じゃあね」
「あーちょっと! 説明を」
がちゃ! つーつー。
魔王「ったくよ。魔王軍の会議を妨げた上に作戦を理解していねー愚か者め。おい……始めるぞー。第5435回、魔王会議―」
わー、ぱちぱち。
魔王「今日の議題は三つ。優先順位として――1番は『最近の魔王はもてない』ということに関してだ。誰か意見はあるか?」
A「……服ですね。ブランド物の服を着るのがいいでしょう」
魔王「却下。男と女のブランドはかぶっていないのが多いから、男が好きなブランドを着ても、女が知らない場合が多いから、自己満足にしかならねーんだよ! はい、死ね!」
Aは死んだ。
B「前からもてていません」
Bは死んだ。
魔王「どいつもこいつもゴミどもめ。じゃあ次、2番は『軍師が逃げた件』」
ざわざわざわ。
C「に、逃げたんですか。魔女を倒しに行ったんじゃあ……」
魔王「おう、新しく雇用契約書を結ぼうとしたら、分給になっているのが気に入らなくて逃げていきやがった。くそめ。恩知らずが。本当だったら直々に俺が殺しに行ってやりたいんだが、怒りのあまり木っ端微塵にしてしまう恐れがあるので却下。ムカつくから、あいつを剥製にして、ボーリングのピンとして再生利用してくれよう」
D「環境に優しいんですね」
Dは死んだ。
魔王「魔王に優しさなどいらぬ!」
Cは死んだ。
魔王「この通りだ。何をやっていなくても殺す! これが魔王スタイル! まあ、あいつはいつでも打ち殺せるから放っておくか」
がくがくぶるぶる!
魔王「ういーと、3番『パフパフについて』」
E「レスターの報告によると」
Eは死んだ。
魔王「あいつの名前は今日から、らりるれろだって言っただろうが!」
G「らりるれろの報告によると、貧民街にパフパフ店があるそうです。経費で行っていいですかと聞かれています」
Fは恐怖で喋れなかったので、死んだ。
魔王「あそこマッサージ店だぞ?」
G「魔王様行ったことが……」
Gは死んだ。
会議のメンバーは魔王以外死んでしまった。
「第5435回、魔王会議終える! 全員持ち場に戻れ」
返事が無い、ただの屍のようだ。
外伝 完




