鬼灯花鈴、その8
ふわふわした雰囲気で終わらせるはずが、ギャグで終わってしまった・・・・・期待していた皆様申し訳ございません・・・・・
~~~弥太side~~~
気まずいから、だったのだろう。花鈴はきっと気を紛らわすために話題を模索していたに違いない。長年の付き合いの勘と言うやつのおかげで何となくそれは分かった。
だが、だがだ。まさか花鈴の口からそんなことを言われるハメになるとは思いもしなかった。「今、好きな人いる?」だとさ、何だかんだで花鈴も年頃の女の子だったんですねやっぱり。まぁ、中学辺りに花鈴自身が好きな人がいるとか自分でカミングアウトしてたこともあったし、こんなことを言い出しても何らおかしいことじゃないだろう。
しかし、俺にとってその質問は禁句ワードに近い。なので俺は上手いこと言ってお茶を濁すことにする。ただでさえ今は極限近い状況にあるって言うのに冗談ではない。花鈴には悪いが、はぐらかせてもらうとしよう。
「俺のことなんかどうだっていいだろ。それより花鈴の方こそどうなんだよ」
「わ、私!?」
「そーだよお前、中学の頃に好きな人いるゆーてたやんか。それって今でも続いてんの? そこんとこどうなの? んん?」
「あ~、いや~、その~・・・つ、続いてるけど・・・」
「告白とかしたのか?」
「できるわけないでしょ!!」
「おぅおぅお暑いねぇ、大丈夫だって今のお前ならオトせない奴何ていねーって可愛いんだから」
「ぶっ!!」
最後の言葉は初心なこいつには刺激が強すぎたのだろう。花鈴は“可愛い”という言葉に極端に反応して布団から起き上がって吹き出した。ゴホッゴホッと噎せたかのように咳をたてて、目尻に小さな涙粒もにじみ出ていた。どんだけ初心なんだこいつは・・・大げさ過ぎるだろう・・・
~~~花鈴side~~~
まさかの奇襲でした・・・弥太君から“可愛い”と言われました。えぇ、はっきりと言われちゃいました、しかも軽~くですよ。今の私の頭の中はパニック状態に陥っています。はっきり言って他の男の人達に何を言われても愛想笑いくらいしか浮かばずに流してしまうんだろうけど、好きな人本人からそんな言葉を頂いたらどうなってしまうだろう?・・・いやこうなってしまうんだろう。
赤面状態でまともに相手の顔が見れなくなる。それが今の私だ。
「かわっかわっかわっ、アァッ、アハハァ」
「うん、とりあえず落ち着け花鈴、ハイ深呼吸して深呼吸」
「スゥゥゥゥ・・・・・ゴッフゴフッ!!」
「あぁ駄目だこりゃ・・・完全に我失ってらぁ・・・」
弥太君は呆れ顔になって私を横から見つめると、緊張感がなくなってしまったかのように欠伸を漏らし、コテンと再びベッドに横になってスースー寝息を立て始めた。
「や、弥太く~ん?」
「・・・・・」
「え、ちょ、ちょっと弥太君? ホントに寝ちゃってるの? え? ホントのホン・・・」
「うるせぇよ! 寝なさいもう! 今のお前彩晴並にウザくなってるよ!」
ボギィッ!!
「・・・はぃ?」
アメとムチの使い方を弥太君は完全にマスターしてるんだね・・・釈放寸前の囚人が理由もなく懲役時期伸ばされて「Oh! なんてこった!」みたいな感じと同じくらいに、今の私の心は完全に折れてしまった・・・“ウザい”というワード、それは私の理性すらも粉々に打ち砕き、完全戦意喪失状態となってしまった。今の私は白目から涙をだだ流しにして天井を仰いでいる感じだ。
「花鈴ちゃん? いや違うって、今のは言葉のアヤだって、いやマジで。ほらぁ、学校の先生に向かって『母上!』とか言っちゃう時とかあるじゃん? それと同じだって、いやホントに」
「・・・・・」
「いや・・・あの・・・ウザくない、ウザくないよ? 花鈴をウザいだなんて一度も思ったことないってば。今のだって冗談で言った“ウェスタンジョーク”(ネイティブ風)だってば。ねぇ? 花鈴ちゃん? そろそろオチの時間だよ? いいのこれ? こんな中途半端に終わっていいの? ねぇ? ねぇってば、おーーーい!!」
この後も、私はずっと弥太君に呼びかけられたまま結局朝を迎えてしまい。学校の授業中に一緒に居眠りをしてしまい、先生に怒られてしまったのは余談である。
―――――弥太君に私の気持ちを伝えるのはまだ先のようです。




