桃太郎アドベンチャー、その7
テレポートに成功した弥太郎、神凪、ミルキラーの三人は化物が住むと言われている病島と言う場所へやって来ていました。
「よしよし、ナレーションが穏やかになったぞ」
病島はその名前の通り、島に住む生き物が全て何らかの病に掛かっているという不健康な島なのです。現に、今弥太郎達が島の奥へと進んでいる途中では様々な生き物がいました。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・そこの女の子、僕と○○○○しようよぉ~!!」
ミルキラーに向かって来ながら走ってくる性病に掛かっている者。彼は弥太郎が確実に斬り殺しました。
「殺したい殺したい殺したい殺したい・・・ナメクジに塩ぶっかけて殺したいぃぃぃ!!」
気味の悪い触手を身体中から生やしてヌメヌメ依存症に掛かっている者。彼は神凪が確実に魔法で燃やし殺しました。
「飴を・・・飴を受け取れ・・・飴を受け取るんだ!!さぁさぁさぁ!!!」
両手にカゴ一杯の御菓子袋を持っている御菓子お兄さん症候群に掛かっている者。彼は御菓子ごとミルキラーが美味しくいただきました。そしてミルキラーは弥太郎に飛び蹴りをくらっていました。
そうして色々面倒臭い者達を退けなからも、弥太郎達はようやく化物が住むと言われている洞穴の入口へと辿り着いたのでした。
「あ~、やっと終盤まで来たか。よし、とっとと行って全部終わらせんぞ」
「・・・あ、あの、弥太郎さん。本当にここ入るんですか?」
「あん? 当たり前だろ。何怖じ気づいてんだ腹黒いくせに」
「周り見れば怖じ気づくのも無理ないですよこれぇ!!」
洞穴自体は至って普通の洞穴なのですが、入口付近から見えているそれを見て神凪は顔に青筋を立てて顔色を悪くしました。何故なら、鉈包丁や普通の包丁が血だらけで何本も突き刺さっていて、これまた血だらけで原型が留められていない死体がそこら辺に転がっているからです。
「ヤバいですよこれ、絶対化物殺人病に掛かってる人ですよこれ。駄目ですこれ帰りましょうこれ、無理無理不可能ですこれ」
「なら勝手に帰れ。行くぞミルちゃ・・・ミルキラー」
「はーい♪」
「待ってぇぇぇ!! 置いていかないでぇぇぇ!!」
恐れるものはこの世になど無いと言うように、弥太郎はいつもの調子でミルキラーと共に洞穴の奥へと入っていき、泣きじゃくりながらも神凪は鼻水を垂らしながら二人の後を追うのでした。
そして少し進んだところでそれは聞こえて来ました。
シャリ・・・シャリ・・・シャリ・・・
それはまさに包丁を研ぐ時に聞こえる音でした。
「弥太郎帰りましょうマジで、いやホント駄目ですよこれ無理無理不可能絶対領域yer~♪」
「うん、少し黙れお前。もしくは帰れ、それか死ね」
「だって怖いんですもん!!」
「大丈夫だよ~、もしもの時はヤー君が・・・」
「やり直し」
「ヤ、弥太郎様が化物さんを倒してくれるからね」
「その前にお前を犠牲にするがな。俺は一人でも生き残ってやる」
「ヤー君酷いよ!! そんなこ・・・」
「何だって?」
「ヤー・・・太郎様酷いよ!! そんなこと言わないで何とか・・・・・」
そこで、ミルキラーは石化したかのようにあるものを見て固まってしまいました。いやミルキラーだけではなく、神凪も同じでした。二人はそれを見続けると白目を剥いてガクガクと震えだし、白目からポロポロ涙を溢しています。
「なんだよお前ら、一体どうし・・・」
弥太郎はミルキラー達から視線を離して、同じ方向を見ました。するとそこには一人の女の子が立っていました。見た目からして弥太郎と同い年くらいでしょう。そして女の子は弥太郎を真っ直ぐに見つめます。
「・・・男・・・男の子・・・ヘヘッ、ヘへヘッ」
「・・・・・」
「私は男の子とずっと一緒にいたい。どんな時も離れないでずっと私と一緒にいてほしい。どんな時も片時も私から離れないでほしい。永久に永遠に一生ずっとずっと私と一緒にいてほしい。私だけを見て。私だけを考えて。私だけを想って。親よりも兄弟よりも姉妹よりも私だけを強く想ってそして・・・・・」
両手に血まみれの包丁を持ち、身体中血まみれでぷるぷると震えながら興奮して息を荒ら上げて、ゆらりゆらりと弥太郎に向かって歩いていき、光の無い死に目で弥太郎一人を真っ直ぐに見つめ、そして彼女・・・化物は言う。
「私だけを・・・愛して・・・・・」
「ぎぃやあぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
その後・・・弥太郎の姿を見たものはいない・・・




