桃太郎アドベンチャー、その2
「アッヒャッヒャッヒャ!!」
「歌えや飲めや~♪ 踊れや飲めや~♪」
弥太郎がお爺さんの家に住み着いて1ヶ月程経過したある日のことでした。
弥太郎がこの家に住み着き始めたあの日、お爺さんはお婆さんを失ったショックにより気が動転してしまい、正気を失った飲んだくれオヤジと化してしまっていました。そして今日も家に飲み仲間を連れてわいわいガヤガヤと酒を飲み交わしています。
「おいクソジジィ、仕事しろ仕事。いい加減にしねぇと細切りに切り刻むぞ」
「ガッハッハッハッ!! 望むところダッツの!!」
「この野郎・・・」
お爺さんは一度だけでなく何度も弥太郎の手によりボコボコにされていました。それが蓄積して溜まりに溜まった結果なのか、お爺さんはどんな痛みをも快楽に変えてしまうドMに目覚めてしまったのです。そのため、最近は弥太郎もお爺さんには愛想が既に尽きてしまっていて、ここに住んでいる意味すら無くなってしまっていました。
「くそっ・・・俺の刀を発揮できる日は来ないのか・・・」
「それなんだがな弥太郎、最近巷で化物が好き勝手暴れていると言う噂があってだな、それを退治すれば報酬金が貰えるらしい」
「で?」
「お前行って報酬貰って来い。そして儂を楽させてくれ」
「何様だてめぇ? 何が楽させてくれだコノヤロー」
「なんじゃ嫌なのか、ならアレだ。お前この家から出てけ。居候を飲み食いさせる予算なんてもう残っとらんのでな」
その時、弥太郎の頭の中でブチッと言う音が鳴りました。恐らくお爺さんの有りように完全に愛想が尽きてしまったのでしょう。これは相当怒っているご様子です。
「もういいわかった!! ご希望通りここから出てってやるよクソジジィ!! 俺は化物退治して報酬金を手に行きてやらぁ!!」
「あぁ、それとこいつも連れていけ」
「あぁ!?」
すると、お爺さんはとある床の部分をパッカリと開きました。そしたらなんてことでしょう。中から猫耳生やした女の子が出てきたではありませんか。
「どもども~♪ 隠し子の彩・・・」
バンッ!!
あらあらなんてことでしょう。弥太郎は話を全て聞き終える前に足でその床を押し潰してしまいました。これでは女の子が出てくることができません。
「うぐっ、うぐぐぐぐっ・・・」
「うっ!? 何だコイツ力強くね!?」
「あぁ、そいつは隠し子でも拾ってきた子供でな。何でも金太郎の親戚の親戚の親戚の従姉の妹の夫の親戚だとかなんとか」
「ほぼ赤の他人じゃねーか!! ややこしいわ!!」
そうこう言っている間に女の子の凄まじい力で床の扉はメキメキ音をたてながら開いていきます。なので弥太郎は、
ヒョイッ
ドゴォォン!!
頃合いを見て突然力を入れていた足を離してしまいました。すると勢い付いていた女の子はロケット花火のように天井に向かって飛び上がってしまい、頭から思いきり激突してしまいました。
「むぐぐ~!! むぐぐ~!!」
バタバタと足を動かして天井に両手をつけながらググッと女の子は顔を抜くため力を入れます。それでも女の子は抜けません。
「しょうがないのう、儂が手伝ってやろう」
お爺さんは酒瓶を置いて立ち上がると、女の子の足首を掴んで引っ張ります。
うんとこしょ、どっこいしょ。それでも女の子は抜けません。
「しゃーないアルな、アルも手伝おうアル」
飲み仲間の中国人が酒瓶を置いて立ち上がると、お爺さんの背中を掴んで引っ張ります。
うんとこしょ、どっこいしょ。それでも女の子は抜けません。
「ナニヲシテイル、モタモタスルナ」
飲み仲間の殺人兵器サイボーグがオイル瓶を置いて変形して立ち上がり、中国人の背中を掴んで引っ張ります。
うんとこしょ、どっこい・・・・・
メキメキメキ・・・
「うぎゃあああああ!!! 力入れすぎアルゥゥゥゥ!!!」
それでも女の子は抜けません。中国人の腰が砕け散っただけです。
「ガルォォォォ、ガルォォォォ」
飲み仲間の地獄の番犬ケルベロスが原型留められていない人肉を置いて立ち上がり、殺人兵器サイボーグの背中に噛みついて引っ張ります。
うんとこしょ、どっこい・・・・・
ピーガカガガッドガンッ!!
「システム損傷システム損傷・・・・・再起不能・・・・・」
「あっ、抜けた」
そしてようやく女の子が抜けました。でも死人が一人、いや一体出てしまいました。その光景を弥太郎は軽蔑の視線で見つめます。ゴミを見るような酷い目です。そしてそのまま黙って家を出て行こうとします。
「待って待って弥太兄・・・じゃねーや、弥太郎様! 私をお供に連れてってください・・・ニャン♪」
「取って付けたような語尾がウザいキモいサヨナラ」
「酷っ! 好きで人獣に生まれたわけじゃないのにニャン♪ お願いしますからお供に連れてってニャン♪」
「ごめん、ホントウザすぎて殺したくなってくるから語尾を取れ。そしたら連れてってやるよ」
「あ、ありがたき幸・・・」
「非常食として」
「えぇ!?」
「やれやれ、準備が出来たならとっととデテケーデテケー。よーし皆! 酒の宴再開だ!」
「アル・・・アル・・・」
「システムダウン・・・シュゥゥゥ」
「ガルォォォォ、ガルォォォォ」
「勝手にやってろボケ共!! 二度とその面見せんじゃねぇ!!」
最後にそう言い残した弥太郎は、非常食の彩猫を引き連れてお爺さんの家を出て自立することを決め、お金のために化物退治へと向かうのでした。
「とっとと行くぞ非常食!」
「は~い♪」
弥太郎の言った通り、彩猫は語尾を取っていたのでした。誰かと違って素直な良い子のようです。誰かと違っ・・・
「うっせぇ!!」




