周りが異質に見える時間、その6
~~~弥太side~~~
―――事情説明と慰め作業後―――
「ハァ・・・そっか、宝くじを当ててしまったということなんだね? そしてお金に変えに行く道のりが不安で仕方ないから私に付き添い人として"付き合って"もらいたいわけね・・・ハァ・・・」
「う、うん・・・そうなんだけど・・・青鬼子になってるんですかね? 俺、何か悪いこと言いました?」
「・・・・・ハァ」
「何かごめんなさい!! 訳がわからないけど何かごめんなさい!!」
「ううん、弥太君は悪くないんだよ。全面的に悪いのは私だから・・・ハァ・・・グスッ・・・」
「今少し泣かなかった!? ねぇ!? 俺のこと殴っていいんだぞ!?」
「弥太君相手にそれはできないよ・・・逆に私を殴ってもいいくらいだよ・・・」
「それやったら完全下衆野郎になるから俺っ!!」
訳は分からないものの、俺は結果的に花鈴のテンションをガタ落ちにさせた挙句に少し泣かせてしまうという愚行を犯してしまい、胸の中が罪悪感でいっぱいになっていた。これでも何とか慰めた方なのだ。さっきまでは白い目をして死人のようになっていたのだから。一番信用している奴を陥れて何をやっているのだろうか俺は? 馬鹿か? うん、馬鹿か。
「と、とにか・・・」
「うん・・・良いよ弥太君、付いて行くよ私・・・」
「あ・・・うっ・・・」
もしここで俺がこのまま無償で花鈴に頼み事を受けてもらえば、恐らく罪悪感と後味の悪さで精神が押し潰されて当然の結果となること間違いなしだ。それだけは絶対に嫌だ。本気で嫌だ。俺は必死に脳内を乱回転させて活性化させ、そして簡単な結論が出た。
「だ、だったらさ花鈴! 付き合ってくれるお礼に花鈴の言うこと一つだけ何でも聞いてやるよ!」
ピクッと身体を一瞬震わせ反応する。上手く食いついてくれたようだ。自然に目に光が宿って・・・というか凄い光り輝き出している。
「本当!? 何でもなの!? 本当に何でも一つだけ聞いてくれるの!?」
「で、でも俺にできることだぞ? 『ただ単純にここで死ね』とか『私と共に心中しろ』とか無理だからな?」
「いやそんなこと頼むのはヤンデレの人くらいだよ?」
「マジで!? ヤンデレって怖ぇ!」
何だか話がこのままだと逸れてしまいそうだ。でも俺が戻そうとする前に花鈴がモジモジと顔を少し赤くして恥じらうように動きながら俺をチラッチラッと横目で見つめて来る。こいつも可愛いとこが良くあるもんだ。というか学園NO.1のモテ女だったか。自慢の幼馴染ってこういう奴のことを言うのだろう。
「それでその・・・できることなら何でもいいん・・・だよね?」
「うん、でも性行為とか勘弁してくれよ」
「そそそそんなこと考えてないよぉ!? 弥太君と○○○したり○○○○したりしたいだなんて微塵にも考・・・」
「お邪魔しました」
「ごめんなさいごめんなさい!! 自由さんの影響受けたみたいでごめんなさい弥太君!!」
少々・・・いや中々にこれはがっかりした。花鈴は俺の女関係者でまともな人物のカテゴリに入っていたのに、まさかムッツリスケベなところがあったなんて・・・俺と似通った思考の持ち主とはいえがっかりした。自然と花鈴を見る目がジト目へと変わる。さっきまでの罪悪感も何もなくなってしまった証である。
「コホン・・・まぁ花鈴が変態だったことは置いといてだ」
「置いておかないで!! 撤回させて!!」
無視。
「とにかく今から宝くじをお金に換えに行きたいと思います。でも今の俺の運気は皆無どころか悪化タイム中、つまり絶対道行く先で何かしら危うい目に合うのは必然な事だ。そんなわけで花鈴、お前には俺の一日ボディーガードガールになってほしい。報酬は俺に一度だけ好きなことを命令できる権限、しかも俺はその命令に対する拒否権は無効となる。この依頼受けてもらえるだろうか?」
「う、うん! その依頼引き受けました!」
「よーしそれじゃ行くぜ! 俺の夢と希望と天空の勇者の使命を果たしに!! ウヘヘヘヘ・・・・・」
「弥太君、涎出てるってば」
こうして、俺はパーティーにボディーガードガール花鈴を加え、いざ目的地へと出発するのだった。




