実際凄い家庭事情、その4
「おはようにぃに、今日は早く起きたんだね」
「おはよう神奈ちゃん、本当はもっと寝てったかったんだけど、そこで格闘してる馬鹿のせいで目が覚めちゃったんだよ」
「そうなんだ。エヘヘ~」
俺の膝の上におっちゃんこしてベッタリ密着してきたこの女、名前は柚木神奈。元の本名は三葉神奈である。後ろ髪を二結びにしたツインテールの黒髪に、俺が犬なら神奈は猫のような風貌というべきだろう。違いが分かりづらいだろうとは思うが、それが俺の二番目の妹、中学二年生である。一番下のために皆からはマスコット的な存在で、神奈自身も甘えん坊で人見知りのシャイガールである。家内の中でも俺に一番懐いてくれているようでこうして今もベッタリくっついて来ているし、頻繁に俺の布団に潜り込んでくる習性がある。素直で可愛い妹である。もう一人の馬鹿とは違って。
これであらかた俺達家内のメンバーを説明し終えたので、今一度まとめておくことにする。
一番上の優しい優助。二番目のクールな自由。三番目の天然なミルティ。四番目の主人公である俺こと弥太。五番目の悪戯っ子の彩晴。六番目の甘えん坊の神奈。この六人で柚木家は成り立っているのである。
そしてここからは長ったらしい説明に入るので、細かいことを気にしない人は次の話に飛んで欲しいと進めておこう。
それではまず、俺達の関係から話しておこう。
ぶっちゃけ言ってしまうと、俺達は誰一人として血は繋がってはいない義理のきょうだい関係である。簡単に言ってしまえば俺達は皆、顔を知らぬ親に捨てられた捨て子なのである。そんな身寄りのなかった俺達を引き入れてくれていたのが、柚木源蔵というお爺さんだった。
妻であるお婆さんを早くに無くし、一人で寂しく生活を送っていた最中、とある日に道端で赤子だった優助兄を発見したことがキッカケとなった。人が良かった源蔵お爺さんは、優助兄を拾った時から、宿命か何か知らないが次々に俺達を道端で発見し、六人の子供を男手一つで育ててくれたのである。俺達にとっては命の恩人であり、最高の親であったのだ。
だが、既に気付かれているとは思うが、源蔵お爺さんは既に天国へと旅立った故人なのである。俺が中学一年生の頃だっただろうか、源蔵お爺さんは病に倒れてしまったのだ。そして天国にいるお婆さんの後を追うように旅立っていったということだ。あの時の悲しみの涙は今でも忘れてはいない。
そして、この家の大黒柱となった優助兄は、家族である俺達を支えるためにお金の問題を考えようとしたのだが、その心配は何一つ無かった。それは、源蔵お爺さんが残していった貯金通帳だった。源蔵お爺さんはもしもの時の事を考えて、困った時はそれを使いなさいと優助兄にその貯金通帳を渡しておいたのである。
優助兄はそれを今になって初めて確認すると、何とその中には別荘三つは建てられるくらいの信じられない大金が入っていたのだ。その金額を見た優助兄は泣きながら何度も、亡くなった源蔵お爺さんに感謝の言葉を言っていたのもはっきりと覚えていることだ。
そうして、俺達は今に至るのだ。皆、無事に成長している最中で、血は繋がっていなくとも、そこら辺の家族よりは団結力が強い最強の家族と言っても過言ではない。
とは言え、血は繋がっていないという現実があるので、色々と複雑な事情もあるわけだ。心の問題として。でもまぁ、今のところは"そういう事"が何一つ起こっていないので安心して生活しているわけだ。今のところは、だが。
さて、大体の説明はこのくらいにしておこう。さぁ、ここからが俺達柚木家の非日常の開幕である!




