実際凄い家庭事情、その1
ゆっくりゆっくりと気分で書いていく予定ですので、気軽にお読みください。更新時間は適当です。
カチッ、カチッ、カチッ、カチッ・・・
部屋内に響く目覚まし時計の音。これだけ静かだと余計に針の音がうるさく聞こえて不愉快だ。でも目覚まし時計の本領発揮は次の瞬間からだ。
カチッ、カチッ、カチッ、ガチッ! にぃに起きて!! にぃに起きて!! にぃに起きて!! にぃに起きて!!
「うるっせぇ!!」
ボイスレコーダーに録音された妹ボイスの再生が繰り返され、朝に弱い俺は苛立ちを抑えられずにその目覚まし時計に鉄拳を放った。目覚まし時計は鋭きブーメランの如く部屋のドア方向に勢い良く飛んで行き・・・
「弥太く~ん、朝・・・」
バギャッ!!
「だっはっ・・・・・」
タイミング悪く入ってきた俺の兄ちゃんの顔面にクリティカルヒット。目覚まし時計が粉砕すると同時に兄ちゃんの顔面も粉砕された。
「しまった!! 大丈夫か兄ちゃん!! アイルビーバック!!」
俺は兄ちゃんを抱え起こすが、兄ちゃんは頭の上に雛を数匹浮かべて気を失ってしまっていた。さらに無駄なことを言えば、兄ちゃんの頭上を飛んでいる雛は鶏→鶴→鳳凰、という順で成長を遂げていた。
「あの野郎また妙な目覚まし時計作りやがって!! プー○んの作れって何度言ったら理解してくれんのかなぁ!?」
俺は兄ちゃんを背に抱えると、部屋を出て階段を降り、皆がリビングへと足を運んだ。そして案の定、俺の家族達は全員揃っていた。
白くて長いソファーに寝そべってのんびりしている女が一人。テーブルで向かい合って座って楽しくお喋りをしている女が二人。テレビを使って朝っぱらからミュートマイクを使用して熱唱している女が一人。そして俺と兄ちゃんの男二人。これが俺の家族達。全員血の繋がりのない兄弟×兄妹×姉妹×姉弟の奇跡的ファミリーである。