基本ライフスタイルはこれ、その8
慶次の元にずっと滞在していようと思ったのだが、まさかの自由姉の登場によりその計画はおじゃんとなった。それに慶次も少なからず暇なわけではないので、迷惑をかけないためにも少し話をした後にチュータンから退出していった。そして今は自由姉を横に適当にぶらついている最中である。
「つーか何でこっそり逃げたはずが絶対誰か一人にバレるわけ? 何なんアンタら? もしかして千里眼でも使えんの?」
「他の皆は知らんが、少なくとも私は弥太眼が使えるぞ。半径5km以内であれば何処に行こうともすぐに分かる」
「宇宙人か何かかアンタは!?」
「いやいやそうじゃない。これだこれ」
そう言うと自由姉はポケットからスマホを取り出して画面を俺に見せてきた。その画面はマップが開かれていて、中心辺りがピコーンピコーンと黄色の点印が点滅している。
「・・・何これ?」
「彩晴との何時ぞやの勝負に勝った時の報酬『弥太坊発信機システム』だ」
「くっだらねぇことに才能使いやがって!! つーか俺の何処に発信機付けやがったあの野郎!?」
「弥太坊が昼寝している最中に、弥太坊の腹を麻酔の注射さしてメスで腹をカッさばいてだなぁ・・・」
「マジでっ!? 大丈夫なの俺の身体!?」
「まぁ冗談だが」
「うおぉぉい!!」
楽しそうにからからと笑う自由姉に突っ込みの平手打ちを放ち、「ぐはぁ~」と自由姉もノリ良くやられた演技を見せ付ける。ホント、この人といると全然飽きないものだ。ちなみに発信機は俺のスマホに取り付けられているとのこと。さらに言うなら彩晴も『弥太坊発信機システム』を自分のスマホに取り付けているらしい。タチの悪い天才発明家である。
しばらくすると人通りの多い町へと出て、色々な店がそこら辺一帯に見えてくる。その中で俺は一つの建物に目を付けた。若き少年少女が愛用するゲームセンターである。先に言っておくとここは治安が凄い良い場所なので、ガラの悪い不良とかはまずいない。だから安心して利用できるゲーセンである。
「よーし、馬にでも乗って暴れようかな今日は」
「弥、弥太坊・・・お前まさか馬に乗って鞭で叩かれるというプレイに目覚めてしま・・・」
「三角木馬じゃねーよ!! 機械仕掛けの馬だよ!!」
「いやぁ~、ここに来るとゲーセンよりも"あれ"が目に入ってしまうから、ついな」
「あぁ・・・つーか何でこんな町中で目立つゲーセンの横に"あれ"が建ってるんだろうね・・・」
「難しい大人の年頃は"ああいう店"を利用したくなるんだ弥太坊。お前も何かストレス溜まったからって手を出しちゃいけんぞ?」
「人を欲求不満みたいな言い方しないでくれません? 充分満たされてっから問題ないです」
「え・・・満たされ・・・?」
「そういう意味じゃねぇよ!!」
「え?そういう意味?ちょっと何言っているのか良くわからないからそこのところ詳しく教えてくれなぁ~い?」
「帰れよアンタもう!!」
どこまで俺を弄り倒したら気が済むのだろうかこの姉御肌は。それにからからと愉快に笑っているから、その笑顔を崩すように、強引に押し帰らせることもできないことがあるし、この人も充分タチが悪い。まぁ本音を言ってしまうとぶっちゃけ楽しいからいいのだけれど、それを言ってしまえばこの姉御肌はさらに弄り倒してくるから絶対に口には出さない。
「そうかそうか私といて楽しいのか。キャワイイ弟だなぁ~」
「人の思考文勝手に読まないでくれない!? つーかどうやって読んでんだよ!!」
「そんなことはいいから、ほらほらゲーセン行くぞ~」
「やっぱ帰れアンタ!!」
一番知りたいことを言ってもお茶を濁すかのように俺の背中を押してゲーセンへと入っていく。この人といると飽きはしない、飽きはしないのだが・・・非情に疲れるのもまた事実なのである。




