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そんなこんなで、あやしげな少女と対面。

程なくして長老のいう通り、ご隠居がやってきた。ご隠居は禿げ頭を隠すため青いバンダナを巻いている。

「おっ!ルザ、見張り、ごくろーさん。俺が代わってやるから、祭り、楽しんで来い!」

「ご隠居、ぎっくり腰のほうは大丈夫なんですか?あまり無理しないほうが…」

「人をジジイ扱いするな!俺は、まだ長老のような年じゃねーや」

「本人を目の前に、儂を老いぼれジジイ呼ばわりか…」

「ルザ!おめーのせいで長老が拗ねちまったじゃねーか。とっとここからに降りろ。早くしねーと突き落とすぞ。はっはっは!」

「また無茶なことを。言われなくとも降りますって」

 そう言うとルザは物見櫓の隅にある梯子から降りていった。


「大丈夫かな。ご隠居。何かやらかしそうだな」

 そんなこと呟きながらルザは村の通り歩いていた。いつもの村と比べ人通りが多く、賑わっている。

「それにしても、今年は屋台が多いな。さては長老、何か企んでるな。これは裏金がたんまりあるな、きっと」

 先ほど屋台で買った大きなウィンナーを齧りながらルザは自分に銀貨をくれた長老のことを疑っていた。

 人の流れに身を任せ適当に歩いていると、先ほど望遠鏡で覗いていた雑貨屋の近くに来た。

「まだ人だかりあるってことは、さっきの女の子はまだここにいるのか?あれからだいぶ経ったけど休憩なしか。」

 道化師の少女を一目見ようと、ルザは人ごみを掻き分け奥へ進んで行った。

「なんか客の様子がさっきと違うぞ。ざわついている。何があったんだ」

 なんとかルザは最前列までたどり着いた。

「本当に、ごめんなさーい。わたし、玉乗りとか苦手で、というかやったことなくてできませーん。この樽の上に立って転がすなんて無理でーす」

 怯えた表情で道化師の少女は酔っ払った雑貨屋の店主に謝っていた。

「いつも来ている道化師の親父の十八番だぜ。弟子のお前がなぜできないんだ。まあ、いっぺんやってみろって。意外とうまくいくかもしれないぜ。軒先を貸してるこっちの言い分をきいてくれてもいいだろうが」

「そんな困りまーす。失敗したら観客の皆さんに大怪我させてしまいまーす。責任取れませーん」

「それじゃ、見ているほうがほうがつまらん。樽のりがないと祭りの気がしない。できないというのなら他になんかやれ。そうだ、踊れ、服を脱ぎながら踊れ。これで許してやる」

「えー公序良俗的に無理でーす」

「今日は祭りだ。無礼講だ。問題ない。やれ!気持ちいいぞ!」

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