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Amour éternel  作者: masaki
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第47話 初めての訪問



一通り驚いて、現在に至る…。




「飲み物を用意するから、適当に座っておいて」

と彼に言われたものの、私はどこに座ればいいのだろうか…?


取りあえず超大型のテレビが置いてある、リビングのソファに座ってみた。



“ふかふかだ…”



私は、とてつもなくすごい家に来てしまったようだ…。

芸能人のお宅訪問のレベルなんかじゃない。

まさに、彼はセレブだった。

自分が“社長令嬢”という肩書を持っているのが、恥ずかしいぐらい…。



“こんな人と私が婚約してるなんて…”



やはりドッキリか何かではないのかと、疑ってしまう。

根が庶民の私にとって、彼は手が届く存在ではない。


ますます、彼が私などと結婚をしたがる理由がわからなくなった。






「お待たせ。」



頭を抱えて悩んでいると、彼が紅茶を運んでテーブルの上に置く。

非常に良い香りがする。



“どこに座るのかな…”



今私が座っているソファーは2人掛けだ。

その他に2人掛けがもう一つと、4人掛けのものがある。


適当に座って良いとは言われたが、

客の分際で4人掛けに座るのはさすがに失礼だろうと思い、

2人掛けに座った。



“やっぱり4人掛けかな…”



否。

2人掛けに座った。

それも、空いているもう一つのものではなく…、

私が今座っているその真横へ……。



“なんで…?他空いてるよね…??

もしかして、私が座ってるこのソファーは彼の指定席なのかも”



それなら、私が移動する必要がある。

他の席に移るために席を立ちあがったら…。


手を引かれた。



「あの…私、あっちの席に行きます…。」

「なんで?」

「恭哉さんがここに座るのなら、席を変えた方がいいかと…。」



だから、その手を離してほしい…!!

目でそう訴える。

しかし…。



「移動しなくていいから。

話をするんなら、近くに座ったほうがいいだろう?」



それはそうだが…、無理に同じソファーに座らなくてもいいでは…。



「座って。」



手を下から引っ張られて、私は元の位置にすとんと戻る。

反論する雰囲気でもなさそうだったので、

仕方なくそのまま座ることにする…。


車なら、まだシートとシートの間に一応くぎりがあるが、

今はそんなものはないので、足を広げようものなら、

すぐに彼の長い足に当たるだろう。



“この態勢でちゃんと話せるのかな…”



私は不安になった…。






彼が「冷めないうちにどうぞ」と、紅茶を勧めてきたので、

「すみません。いただきます。」と言って飲んでみると、

とても美味しかった。



“これも高いんだろうな…”



いけない…、さっきから見る物全ての値段を考えてしまっている…。

何か気の利いた会話をしなければ…。



「広くて素敵なお宅で、驚きました。

これならたくさん友達呼べますね。」



これが果たして気の利いた会話かどうかはわからないが、

感じたことを言ってみた。



「友達なんて呼んだことない。」

「え…?」

「この家に僕の家族以外で来たのは、君が初めてだよ。」



思わずうっとりしてしまうような笑顔だ。

私が彼に招かれた初めての訪問者ということか…。



“…?初めて??”






「…最近こちらに引越してこられたんですか?」



それなら、納得できる。



「いや、もう2年は住んでるけど?」



………。

2年も住んでいて、家族と私以外の訪問がないって…冗談?



「どうして他の人を呼ばないんですか…?」



気になる。ぜひとも確かめたい。





「自分の家に誰かを呼ぶのって好きじゃないんだ。

なんか落ち着かないっていうか…。」





さらっと重大なことを言って、彼は紅茶を飲む。


ちょっと待って。

じゃあ、何で私を呼んだんだろうか??


今、彼が言ったことは…つまり……。





“私は特別ってこと…?”





これは自惚れではないはずだ…。



“どうしよう…!?かなり嬉しいんだけど…”







もう、これ以上私の心臓に負担を掛けさせないでほしい。

心臓がいくつあっても足りない…。

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