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Amour éternel  作者: masaki
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第24話 帰り道



帰り道は、今日のイタリアンがおいしかったという話から、

ほとんど食べ物の話をした。


私のオススメのカフェを紹介したり、

彼の行きつけのレストランを教えてもらったり…。



「恭哉さんは、色々お店を知っているんですね。」

「そう?仕事で使ったりもするからね。」



俗に言う“接待”だろうか。

相手の好みに合わせて、いろんなジャンルの店を知っておく必要があるのかも。



「また、誘ったら一緒に行ってくれる?」

「…はい。」



断る理由もないし、彼のチョイスした店なら間違いないだろう。



「次は自分の分はちゃんと払いますので…。」



いつも彼におごってもらうなんて、あつかましい。

高級店なら厳しいが、普通の店なら自分のぶんぐらい払える。



「何言ってんの。僕が払うから大丈夫だよ。」

「でも…。」

「僕が払いたいんだから、気にしなくていい。

おいしそうに食べてる君を見ると、こっちも払いがいがあるしさ。」



そんなにがっついて食べているんだろうか…。

もっと上品にしなければ…!



「でも、朝・昼・晩と毎日100万ぐらい使われると、

さすがに僕も金欠になるかも。」



クスクスと笑うので、私もつられて笑ってしまった。

彼でも“こんな冗談を言ったりするんだ”と思うと、

余計におかしかった。



「まぁ、とにかく気にしないで。

僕に付き合ってもらうお礼だと思って。」

「はい。ありがとうございます。」





話していると、あっという間に私の家まで着いた。

「家まで送らせて」と言われたので、

その言葉に甘えて、家の前まで送ってもらった。



もう家に着いて、後は車を降りるだけなのだが、

なぜか…すぐに降りる気になれなかった。



「えっと、メール何回か送らせてもらったんですけど、

迷惑じゃなかったですか?」



とりあえず、何か会話をしようと口に出してみたが、

この内容はかなり今更な気がする…。

それに、聞かなくてもなんとなく答えがわかる…。



「全然。最初の返事の通り、すごくうれしかった。」



ほら、やっぱり…。

この人ならきっとこう返すだろうと思った。

それでも、そう言ってもらえるとこっちもうれしくなる。



「仕事の邪魔とかになってないかなって…ずっと思っていたんです。」

「邪魔なんかじゃないよ。むしろ助かってるんだ。」



私のあの超くだらないメールが?

自分で送っておいてなんだが、

わざわざメールにするまでもないような内容だと思う…。



「疲れたときに、君のメールを見ると元気になるんだ。

すごく息抜きできる。」

「あんなメールでも…ですか?」

「うん。」



そんな風に思われていたんだ…。

もっと、マシなこと送ろうかな…。



「だから、これからも君の感じたことや思ったこと、

内容はなんでもいいから、送ってほしい…。

もっと、美緒のこと…教えて?」






私が座っている助手席の後ろに腕をまわし、

目を細めて怪しく笑う…。



「美緒も、僕の知りたいことがあったら、言って?

知りたいことは何でも教えてあげる…。」



………。



全身が赤くなってる気がした。

今日、何度目の赤面だろう…。

いちいち数なんて数えてない。





絶対、私が赤くなるのをわかっていて、そんな笑い方をしてきたに違いない…。

確信犯だ。





今のは、絶対計算したことだろうと思う。




彼の計算通り、私はまんまと彼の罠にはまってしまった…。

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