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アカシアの記9:ギラの誕生

メル・ソウテン・リドゥはエルデンテⅡ世に出会った当初は愛人ではなかった。

メルとエルデンテⅡ世の出会いはエルデンテⅡ世が王を継承してすぐのことだった。

王を継承した後、奴隷というものに興味を持ったエルデンテⅡ世は闇市場といわれる場所に行った。

そこで売られていたのがメルであった。

メルは飢餓で死にそうになっていた。

エルデンテⅡ世はすぐにメルに目をつけ、買い取った。

メルを買った後、エルデンテⅡ世は彼女を秘密の実験室に監禁し、様々な実験を行っていた。

主に種族合成実験を行っていた。

エルデンテⅡ世は今まで動物を人間に変える魔術を行ってきたが、人間を動物に変えることはできなかった。

エルデンテⅡ世はそのことに不満を持ち、どうにかしてメルを何かしらの動物に変えようと実験を繰り返した。

実験の途中ではメルが怪物のような見た目になったこともあった。

そんな実験を続けていると、エルデンテⅡ世はいつしかメルに好意を持つようになっていった。

そしてある時、事件が起こる。

一時的にメルの心肺が停止したのだ。

その際、死にそうになったメルを助けるためにエルデンテⅡ世はクレア・フェニックスの血を調合して、メルに投与した。

なんとか命を取り留めたメルだが、意識が朦朧としていてかつ号泣していた。

メルが助かったことに安堵したエルデンテⅡ世は彼女の頭を抱え込んだ。

メルのことが好きだと気付いたエルデンテⅡ世はすぐに彼女を実験室から出して、彼女の部屋を用意してそこで休ませた。

その後、彼らは愛し合い、エルデンテⅡ世にとって第3子目となるリズ・リドゥが生まれるのであった。

リズが大人になるまでは何事もなく、エルデンテⅡ世とメルの関係は良好に見えていた。

子供たちが親離れをした後、エルデンテⅡ世は欲求を求め始めた。

人間を動物に変えるという種族合成実験、未完に終わった実験を再開しようとしていたのだ。

エルデンテⅡ世は愛にも枯渇していたため、メルの実験を利用して、あの時の快感と愛を得ようとしていた。

メルはもちろん拒否した。

だがそれも拒否できないことにメルは薄々感づいていた。

生まれ持ったサイコパスな性格はどれだけ時間が経っても変わらないものであった。

エルデンテⅡ世から言い迫られ、メルはアルバニア城の最上階にまで逃げた。

だが、とうとう城のてっぺんにまで登ってしまい、遂にはメルは城から身を投げ出してしまうのであった。

エルデンテⅡ世はただ茫然とその瞬間を目の当たりにしただけであった。

ちょうど4人の子供たちが城にやってきていた。

落下したメルの周りに子供たちと執事たちが集まり、城の最上階を見上げた。

そこには茫然と立ち尽くすエルデンテⅡ世の姿があったのであった。

エルデンテⅡ世があそこで一体何を考えていたのか。誰にもわからなかった。


メルはアルヴァニア城近くにある墓地に埋葬された。

その後、時は過ぎエルデンテⅡ世はソフィアライギによって封印された。

ソフィアライギの儀式の勝者はフラー・ヴェートとそのパートナーであった。

他の3人の魔女たちは皆パートナーを失ってしまった。

ヴィヒ・フェニックスは悲しみに暮れる娘レイリーンの代わりにレイリーンのパートナーの埋葬をしに墓地へ向かった。

ヴィヒは埋葬をし、帰ろうした。

すると、ふと何かが動いてることに気が付く。

それはメル・ソウテン・リドゥの墓の埋まってる土だった。

土から徐々に手が出て腕が出て、遂に体を現した。

ヴィヒは驚き腰を抜かす。

出てきたのは幼い少女であった。

ヴィヒはその少女を土から救出して、ヴィヒが持ってる別荘まで連れて行った。

別荘のベッドに少女を寝かせて休ませた。

ヴィヒは少女を一目見たときから正体がメル・ソウテン・リドゥだということに気づいていた。

だがなぜ一度死んだのに生き返っているのか疑問に思っていた。

また彼女は記憶を失っているようであったためそれも不思議に感じていた。

死から復活できるのはフェニックス族以外にありえない為、ヴィヒはメル・ソウテン・リドゥの記録を調べ始めた。

記録はエルデンテⅡ世が人体実験の際に記載していたものであった。

そこには最後の実験の記録にメルに対してクレア・フェニックスの血を調合し投与したことが記載されていた。

ヴィヒはこの記録を見てとても驚愕した様子であった。

フェニックスの血を普通の人間が体に投与したとしても不死になることはないのだ。

実験を繰り返しているうちにメルの体に何らかの化学反応が起こり、フェニックスの血を適用することができたのだとヴィヒは推測した。

最初ヴィヒは別荘にメルを運んだが、メルの記憶が戻ったら他の家族に知らせようと考えていた。

メルの記憶回復の為、ヴィヒはメルと記憶や記録について会話をしだした。

徐々に記憶が戻ってきているようだが、なんだかメルは記憶を思い出したくないような様子をしていた。

ある時、メルは遂に記憶を思い出したくないとヴィヒに拒否しだした。

ヴィヒは困った様子ではあったが、それを承諾し、やめにすることにした。

記憶回復はあとでもいいと考えたヴィヒは彼女を家族に合わせることにしようとした。

そしてヴィヒが別荘の玄関で靴ひもを結んでいるところに、いきなりメルが後ろからヴィヒを鈍器で殴ったのだ。

その後、メルはヴィヒの脳みそがぐちゃぐちゃになるまでヴィヒを殴った。

翌日、その別荘に男の子が復活した。

ヴィヒが死んで復活したのだ。

ヴィヒは記憶を失っており、メルがヴィヒをサポートした。

メルは自分の名前のことを「リリア」と名乗り、記憶を失ったヴィヒに「トーマス」と名付けた。



リリアはメルとしての過去を全て否定した。

そして新しくリリアとして記憶も生まれ変わることにしたのだ。

リリアはトーマスをパートナーにして二人だけで助け合って生きていこうと考えていた。

リリアは姿を変える能力を身につけ、怪物のような見た目の大男の姿に変身した。

大男の姿であれば国をまたいで、少年トーマスと移住することができると考えたからだ。

リリアとトーマスはアルヴァニアを離れ、トライベルトという国に移った。

トライベルトは他の国に比べて、先進国であるといわれていた。

リリアとトーマスが訪れた際、ちょうどトライベルトの都市レインタウンでは世界初の貨物列車のお披露目会が行われていた。

レインタウンの街の雰囲気が好きになったリリアはトーマスと一緒にその街に住むことにした。

時が進み、若者に成長した二人はいつしか愛し合うようになっていった。

そしてついには二人の間に子供ができたのであった。

子供の名はギラ。男の子だ。


ギラは元気な男の子として生まれたが、生まれつき右手が赤く、右手の爪も鋭くなっていた。

歯もサメのようにギザギザしていた。

おそらく合成種族のリリアの遺伝が大きいとされる。

彼女は怪物に変身する能力を備えていることから、怪物要素の一部が遺伝したのであろう。

トーマスとリリアはレインタウンの研究所で共働きしながら、子育てもしていた。

リリアは実験をして働いていた。

かつて人体実験をされる立場にいたことが、少なからず影響しているのであろう。

今では実験をする立場になっており、サディスト級サイコパス研究員となっている。

研究内容はまさかの人体実験。

過去を捨てたはずであったのに、エルデンテⅡ世の後を追うように実験に夢中になってしまっていたのであった。

リリアを尊敬していたトーマスも研究に協力的であった。

見知らぬ人を拉致するのがトーマスの仕事だ。

やがてトーマスとリリアの悪行はレインタウン、はたまたトライベルト中に知れ渡り、彼らは国から出ることを余儀なくされてしまう。

トライベルトから亡命した際、ギラはまだ幼い少年だった。

それからしばらくトーマス、リリア、ギラの三人は逃避行をしていた。

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