アカシアの記7:相棒 a.k.a. パートナー
クレイシア・ハーンはソフィアライギでの負けを嘆いていた。
「どおじでなのよぉおおおお!なんでわだじがまげるのぉおお」
クレイシアは自暴自棄になり、ジャングルの中で様々な木々の枝を切り取り、自分の服や髪に飾り着けていった。
着けたからといって魔力に特に変化はない。
そんなクレイシアのところにザナ・ヴェートが現れた。
「まあ大丈夫よ。また私が助けてあげる。」
「あぁ、ザナァァ、やっぱりあなたは心の友よ。」
「でもいい?毎度毎度言ってるけど、ソフィアライギの時はあなたの敵になるからね。他のバカ魔女にバレたらヤダからね。」
「ええ、そうね。バカ魔女wバカ魔女w」
クレイシアはさっきまでとはうって変わり、笑みを浮かべていた。
「今度はどうするの?私どうしたらいいかわかんない!」
クレイシアは嘆きと怒りの感情で混沌としていた。
「大丈夫。ソフィアライギは20年周期。20年もあれば何だって出来るわ。早速の報告だけど、あんたの老ぼれ生きてるわよ。」
「え!!!!」
クレイシアは驚きに口を隠せない。
「ってことは儀式が完了してないってことじゃない?」
「んー、まあ死んだには死んだんだけど、彼不死なのよね。」
「あ、なるほどね〜」
「あんた知らなかったの?」
「えへへ、まあいいじゃない。ってことは一度は死んだ扱いになってて儀式は成功したってことね。」
「そうよ。」
「まあそれはよかったわ。もし儀式が完了してなかった黄昏ちゃんが復活しちゃうものね。」
「それはありえないわよ。あくまで魔女のプロフェッショナルよ。復活を阻止できないなんてミスは論外中の論外よ。」
「アウトオブ眼中ねw」
「そうそう、アウトオブ眼中w」
ザナは早速そのハーンの老ぼれの元へクレイシアを連れて行った。
場所は古いバー。
野球帽を被った老ぼれがちびちびビールを飲んでいた。
ドガッ「おい!じじい!」
クレイシアがバーの扉を蹴破り入ってきた。
「おめぇのせいで、十字架のマーク入ったじゃねえか。どうしてくれんだおめぇ。あぁん?20年分働いてもらうかんな。」
クレイシアも酒が入っているのだろうか、喋り方がおっさん臭くなっている。
ザナは落ち着いた態度で老ぼれことルミナスに命令を下す。
「お前、老ぼれの癖に多少は魔力があるみたいだな。次のソフィアライギもお前がハーンを代表して行ってやってもいいんだぞ。まあここで別の選択肢を提案してやってもいいんだが聞くか?」
ルミナスは首を縦に振った。
「私が目につけてるガキが二人いる。二人とも兄弟だ。そいつらを私たちの元へを持って来い。」
「え、ちょっと、私の老いぼれよ。あんたの相棒探しに使わないでよ。」
クレイシアは嫌そうな顔をしてザナを睨む。
「わかった。私の分はいいわ。クレイシアの相棒になる子を一人連れてきなさい。」
「そうよ。わかった?ルミナス。」
ルミナスは渋々、
「承知いたしました。ハーン様。」
と答えた。
時は流れ、チュータイン炎上の日。
ルミナスは魔鏡でザナに連絡した。
「ああ、ザナ様。ハーン様の相棒の件だが、約束では一人を街に残していくとのことだったが、どうやらそれは無理なようだ。今街は炎に包まれておる。一人のガキのおかげでな。」
「そうか。わかった。ならその残りの子供、ルイ?だったか。そいつをアッセラルのパードという老人に預けてくれ。パードはルイの事を知ってるはずだ。名前を伝えれば滅多な理由でもないかぎり、そのガキを預かってくれる。」
「わかりました。」
ルミナスは黒い翼を広げ、ガキを抱え近くのコスモ山に飛び立った。
そしてまた時は流れ、ハーンのガラスピラミッド内部。
内部では、ハーン・キングに関する実験が行われていた。
クレイシアは実験用のゴーグルを額に白い布を体に巻きつけ実験をしていた。
ハーン・キングことジャックは電流を体に流され、筋肉の増長実験をさせられていた。
クレイシアは叫ぶ。
「あはははは、最高のパートナーよぉ!サンキュー、ザナ・ヴェートォォ!!!」