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道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


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第63話 このお肉は何の肉だろう?

「おい!」


 声と同時にお布団が引き剥がされる感覚が襲ってきた。

 私はお布団を死守するようにギュッと丸まる。


 私の惰眠を邪魔するな。


「絶対に起きているだろう! さっさと準備をしろ!」


 お布団が奪われる。そんなことは許されない!


 右手だけをお布団から出した。


「芽吹し蔦蔓よ。伸暢(しんちょう)し、かのモノを捕縛せよ。緑縛!」

「うがっ! なんだ! このツタは!」


 私はお布団を守った。

 これで安心して寝ることができる。


「これどうなっているんだ! 全然切れないぞ」

「それ黎明の気で強化されているから、普通じゃ切れない」

「何故にこんなことで力の無駄遣いするんだ」

「黎明だからな」

「段々と締まってくるのを、なんとかできないのか!」

「大人しくしておけば、それ以上締まらないな」


 うるさい。

 霍良の声がうるさい。

 隣の旦那さんの悲鳴ぐらいうるさい。


「黎明。粥ができたぞ」


 白の声が聞こえてきて、お布団ごと座らされた。


「口を開けろ」


 白に言われて口を開ければ、甘い匂いと温かくてとろりとしたものが口の中に満たされた。

 もぐもぐと口を動かす。

 爽やかな香りと青臭いものが鼻を抜けるので、なにか香草が入っているのか。


 あと、なにかのお肉が入っている。


 美味しい。

 ん? 昨日お肉なんて買ったかなぁ?


「このお肉なに?」

「食べる気があるなら自分で食べろ」


 白はそう言って私に器を持たせてきた。

 薄目を開けると粥の中に、色が薄いお肉が入っているのが見える。


 ……もしかして、そのあたりで飛んでいる鳥を狩ってきたのだろうか。まぁ、猫だからね。ネズミじゃないだけいいか。

 昨日、亀を欲しそうに見ていたものね。


 もう一口食べる。白が作るご飯は美味しい。


「おい、この状況でよく食べられるよな」


 私は口をもぐもぐとさせながら、横を見る。

 薄目を開けた視界には、緑のツタにグルグル巻にされた霍良がいた。


「朝から隣の旦那さんなみにうるさい」

「知らない奴と比べられてもわからん!」

「あと、風が入ってくるのだけど、直してよね」


 ただでさえ、隙間風が入ってくる家なのに、家の扉の部分には何もなく、外の光が大きく入り込んでいる。


 あの破壊音は玄関の扉を壊した音だったようだ。


「今の状況を見て言う言葉か! 高家に行く許可を昨日の今日で取ってきた俺にやる仕打ちか!」

「朝から押しかけてきた霍良に言われたくない」

「もう昼だ!」


 どうやら、外からの光が強いと思ったら、お昼だったらしい。


 私は粥に視線を落とす。

 うん。まずは食べよう。


 白い粥をすくい、パクリと口の中に入れる。

 美味しい。

 美味しいものは正義だ。


「どういう育て方をすれば、こんな奴になるんだ? 普通は先に俺の状況をどうにかしようとするだろう」


 霍良は白に向かって文句を言っている。

 別に私は白に育てられたわけじゃないよ。


「ほとんどの欲は持っていないが、食欲と睡眠欲を持っているからじゃないのか? まぁ、だから未だに仙界の扉が開かれないんだろうな?」

「白。今に千二百善を積んでやるんだからね」

「俺を術で縛ったやつの言うことじゃないよな」

「不法侵入者に言われたくないね」


 霍良は不法侵入して、私の睡眠を邪魔したのだ。それは罰が必要だよね。


 私はイモムシのようにウゴウゴと動いている霍良を横目にお粥を食べたのだった。



「マジで食べきるまで、あのまま放置だったとは」


 そう言っている霍良は、壊した扉を直している。おつきの人がいるのかと思えば、ここまで霍良が一人で来たようだ。


「ねぇ、ついでに屋根の雨漏りも直してよ」

「あ? それは俺のせいじゃないだろう!」

「雨が降ると上からポタポタと水が落ちてくるんだよ」


 霍良が建具の修繕ができるのなら、ついでに屋根の修理を頼んでみた。

 嵐がくる前になんとかしておきたいからね。


「だから関係ないよな」

「馬小屋じゃなくて、人が住む家なんだよ。屋根があるところで暮らせるだけで凄いことなんだよ」


 誰もが霍良のように隙間風が入ってこない家で暮らせるわけじゃない。

 いや、霍家の馬小屋のほうがもっといい建物だろうね。


「最初から起きているじゃないか!」

「女の子一人じゃ屋根の修理なんて無理なんだよ」

「そこの霊獣はなんだ!」

「猫だね」


 私は今は白猫の姿で毛づくろいしている白を抱えて霍良に見せつけた。


「ちっ!」


 舌打ちをしながら霍良は外に出ていく。

 よし、これで屋根の修理はしなくてよくなった。


 霍良は文句を言いながらでも、私に付き合ってくれることが多い。

 たぶん霍将軍が私の言うことは聞くように言いつけているのだろう。

 あのシスコンジジィの。


「これ直したら、さっさと行くぞ」


 霍良の声が上から聞こえてきたので、私は外に出るために着替えをする。

 ……仕切りがない家の中に霍良がいると、着替えることができなかったんだよね。


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