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道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


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第45話 逆転している

 おかしい。おかしすぎる。

 これだと聞いていた話とここで見たものが合ってこない。


「白。何かおかしな痕跡とかない?」


 私は肩にくっついている白の意見を聞く。


 そもそもだ。水死体で水から上がってきた高美人の死は、多くの者の目で確認されたはずだ。


 そして建設中の陵墓の近くに埋葬され、完成すれば陵墓の中に運ばれた。


 だが、死んだ冬に高美人らしき人物を見たという証言が出てきている。

 ということは、近くに埋葬された時点で生きたまま石棺の中に入れられたことになり、そこから出てきたなら、陵墓に入れられた時点では石棺の中は空だったはず。


 本当に誰も中を開けなかったのか?

 高美人が生きているのではという噂が出たのであれば、確認しようと思う者はいなかったのか。


 いや。最初の時点からおかしいのだ。

 何故に高美人は既に皇太子としていた琅宋(ろうそう)の父親ではなく、母親を狙ったのか。


 お腹の子を皇帝にしたいのであれば、母親ではなく父親と琅宋(ろうそう)を狙うべきだ。


 その母親に何か排除しなければならない理由があった?


「黎明。血のように見えるが、これは鉱物だ。それも呪が込められているな」


 白に言われ、蓋に引っかき傷のようになっている赤い線を見る。だけど暗すぎて白の言っている意味がわからない。


 私はお付の者から松明を奪い、石棺の蓋に近づける。


 乱雑に線が引かれ、ところどころ途切れたりして意味をなさないように思えるが、角度を90度変えてみる。


「八卦にも見えなくもない」


 見えなくもないけど、ここに記す必要がないものだ。


 八卦は伏儀が作ったとされている。元は河図(かと)と呼ばれるものを編み出して、八卦になったと言われている。


 が、あれは占いなどに使うものなので、呪に使うものではない。


 だけど、これは八卦というには微妙におかしい。


「これは先天図? にしてはこれだと逆周りになる」


 先天図というと、普通は陽から陰を増やしていき陰の北に帰っていくという自然摂理を現す。


 これは石棺の位置からすれば南が書かれている側が北だ。


 間違えた?


「設置を間違えた?」


 石棺の向きを間違えたのであればわかる。


「それはないだろう。日が昇る方角に向けて石棺は置かれるはずだ」


 霍良の言葉を信じるのであれば、そうなのだろう。


「人の血を意味する珠砂で、反転する先天図を描く理由。ここである理由ってなんだろう? そもそもこれは陵墓に埋葬される前からあったのかな?」


 謎が謎を呼びだした。

 頭の整理ができなくなってきている。


「お祖父様から聞いた話では、地下には龍脈が通っているから、この地に陵墓を作ろうとなったらしいぞ」

「は?」


 霍良の言葉に思わず固まってしまった。

 龍脈? どこに龍脈があるわけ?


 ……まさか!


「龍脈の反転! え? その龍脈をどこに流したわけ?」


 私の感覚では龍脈がこの地にあるのをまったく感じられない。

 龍脈といってもそこまで大きなものではないことはわかっている。


 だが、仮にも道士を名乗っているのだ。大地の膨大な力である龍脈が地に流れていたら、それぐらい感じ取れる。


 ということはだ。

 あの陵墓の横に掘られた穴は盗掘ではなく、龍脈を乱すために侵入してきたと。


 私は松明の灯りで小さな小部屋と言っていい室内を照らし出す。


 描かれていたであろう壁画の絵は壁ごと崩れており、お金が入っていたであろう壺は逆さ向きになり中身が地面に散乱している。

 それ以外の副葬品も全て逆さを向いて下に落ちていた。


 これは慌てて墓荒らしが逃げていった風に見えなくもないが、改めて見ると異様な光景だった。


「はぁ、これは思っていた以上に厄介なことかも。龍脈関連だと、私一人ではどうこうできないよ」


 自然の摂理をぶち壊そうとする者がいるとわかった時点で、この件から手を引きたい。絶対にヤバいって。


「はぁ。もう出ようか」


 あまりにも予想外のことがわかったので、ため息が耐えない。


「もういいのか?」

「いいよ。あまり長居もできないし、居たいところでもないし、虫が多いし」

「最後はどうでもいいだろう」


 私は松明をお付の人に返しながらいう。

 虫が多いのは嫌だよ。上から降ってくるなんて最悪すぎる。


 そうして私は重い足取りで外に出たのだった。




 ああ、上から虫が降ってこないって素晴らしい。

 青い空を見上げながら伸びをする。


「早く進め」


 霍良に頭を小突かれてしまった。

 まだやることがあるのはわかっている。


 寝殿に戻って、何事もなかった風を装うのだ。そして、世話人の許夫人に袖の下を渡しながら、高美人の話を聞き出さないといけないのだから。


 しかし、しかしだ。

 少し頭を休めたい。

 これ絶対に私では荷が重いと思う。


「早く進めと言っているだろうが! そこで立ち止まったら俺が出られないだろう!」


 霍良。声が大きいよ。



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