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道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


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第44話 それ都で使っていたら解決していたんじゃねぇ?

「あー。私は何故にこんなところにいるんだろう」


 愚痴をこぼしてしまうほど、虫が多い。

 そう私の頭にはクモの巣がまとわりつき、足にワシャワシャと虫が這っていき、上からよくわからない虫が落ちてきて悲鳴をあげる。


「少しは静かにできないのか!」


 と私を怒鳴る霍良。

 霍良の声の方が大きいと思う。


「あの、隠密に行動をしていることをお忘れなく」


 松明を持ったお付の者がたしなめてくる。

 いや、私は外の寝殿というところで、祈っている風に偽装する役をしていてもよかったのではないのか。

 そう今から戻って霍良に任せればいいのではないのか。


「ちょっと、そこ崩れているけど大丈夫なの?」


 私は壁が崩れているところを見つけてしまい。この陵墓の中は本当に大丈夫なのかと確認する。

 よく見ると壁になにやら壁画のような物が描かれているけど、一部壁が崩れていて途切れているところがあったのだ。


 しかし、よくもまぁ、ここまで手の込んだ陵墓を造れるものかと関心してしまう。

 権力の象徴と言えばそうなのだけど、どれだけの月日と人とお金を注ぎ込んだのかと。


「いや、これは人の手で削られているな」


 私が指摘した壁を近くで確認した霍良の言葉だ。それでは絵が失敗したから削ってしまった?


「崩れた堆積物がない。それに横にまっすぐ穴が伸びているから侵入者がいたようだ」

「墓守の意味がない!」

「馬鹿か。墓守と言っても広大な陵墓全域を守れるはずないだろう。警備は寝殿が中心だ。で、問題は黎明が放ったよくわからん術……」

剪紙成兵術(せんしへいせいじゅつ)」「……がこっちに入った形跡があるのだが?どう見ても失敗しているだろう」


 ……あ!しまった。高美人の棺というイメージではなくて、高美人本人を見つけるイメージをしてしまっていた。

 そうすると私が放った剪紙成兵術(せんしへいせいじゅつ)の鳥は殭屍(キョンシー)の高美人のところに行ってしまったのかもしれない。

 まぁ、適当に作ったから都まで行かずに途中で消えているだろうけど。


「目的を間違えてしまったかも。高美人本人の居場所を指し示すようにしてしまった。棺ってイメージすればよかったね」

「……おい。それを都で使っていれば、本人の死体かどうかわかったんじゃないのか?」

「はっ!」


 確かに、ここまでくる必要はなかったかも。でもでも、その高美人を殭屍(キョンシー)化させた人物がいるはずだから、その痕跡を見つける必要があるはず。


 そう絶対にあるはず。


「取り敢えず、棺を探すようにもう一度術を使うよ」

「使う意味あるのか?」

「中身が空かどうか確認する必要があるよね」



 そうして、新たに放った剪紙成兵術(せんしへいせいじゅつ)の鳥は、一つの小部屋に私たちを案内して消えた。


「これは、なんとも言えませんね」


 松明持ちとしてついてきてくれた人の言葉である。

 そう言いたくなるのも、わからないでもない。


 小部屋の中は一緒に埋葬された副葬品が散乱し、お金が入っていたであろう壺が割れて地面にお金がばら撒かれている。

 棺の蓋もズレており、死体につけられた装飾品も取られたのだろうという室内だった。


「これはまるで墓泥棒をしようとして、誰かが近づいてきたので慌てて逃げた風だな」


 霍良はそう言いながら、重そうな石棺の蓋を地面に落とした。


「おい、見ろ」


 石棺の中を松明の灯りだよりで覗き見ると、特に何もなかった。

 衣服の切れ端も、副葬品も見当たらなかった。

 そう、骨すら残っていなかったのだ。


「霍良様。外に繋がるような横穴からほど近いので、墓泥棒の仕業と考えたほうが妥当だと」

「それだと骨は残っているだろう」

「これだけ床に物が散乱していますと、そこに混じっていてわからなくなっている可能性があります」

「あ? 装飾品を盗むのに死者を動かすのか? 俺だったら触るのも嫌だね」


 霍良とお付の人が話している中。私は棺の中を確認しているけど、灯りが足りない。


「ちょっと松明を……」


 私は松明の灯りが欲しいと振り返れば、あるものが目に入ってしまった。

 それは霍良が地面に置いた石棺の蓋だ。


 近づいて蓋の表面を撫でる。

 特に指につくものはない。


 ということはだ。


「これ、生きたまま石棺に入れられていない?」


 私は石棺の蓋の裏側についている赤黒いいくつもの筋を指しながら言う。

 これはまるで、石棺の中から何かが出てこようとしたみたいだ。


「うわぁ……」

「うげ!流石にこれは引くな」


 先程まで墓泥棒かそうでないか言い合っていた男二人が、松明の灯りの下で引きつった顔を浮かべていたのだった。



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