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道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


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第40話 トラウマ同盟!

「高美人はその場で白い蝶を生み出したのじゃよ」


 生み出した? 幻術じゃなくて?


「そのとき芙蓉と目があってのぅ。高美人の危険性を訴えてきたのじゃ。まぁそれが、後宮に多くのものを送り込んだきっかけじゃったのぅ」


 やはり、あの部屋の周りをウロウロしている者の中に霍家の影がいたようだ。


 しかし、危険性?

 この言葉に私は首を傾げてしまう。

 道士となれば、術の知識もそうだが、薬学にも精通している……はず、後宮内で重宝したはずだ。


 だって女性の医者は見たことがないからだ。

 だから、後宮に女性の医者がいるとも思えない。


「その高美人に子供が出来たのではという噂が流れてきた」


 ん? それは後宮の外に噂が出てきたということ?

 誰かに、外に漏らされたということかな?


「それから、数日後皇后から緊急の連絡がきた。皇太子の妃が体調を崩したと、このままだと皇子の身の安全も確かではなくなると。だからわしは姉上に助けを求めたのじゃ」


 あれ? これはもしかして……


「皇子の妃候補を決めるという建前を強引に通して、姉上に後宮に行ってもらったのじゃ」

「ムシトラウマ事件!」


 さっきから皇子って言っていたのは、琅宋(ろうそう)の父親の当時皇太子ではなくて、5歳になる琅宋(ろうそう)のことだった。

 ややこしい。


「ぷっ! なんだそれ。阿蘭と同じことを言っているな」


 私の言葉に吹き出している霍良に問いかける。蘭ちゃんって誰のこと?


「阿蘭?」

「ああ、姜昭儀(しょうぎ)と今は呼ばれている従兄妹な」

「やはり姜昭儀(しょうぎ)はトラウマ同盟!」


 霍良と姜昭儀(しょうぎ)は仲がいいらしい。トラウマの話をするほどには。


「うむ。ムシの件は聞いておる。陛下もよかれと思ったことじゃ。許してやってもらえんかのぅ」

「理由は聞いたけど、箱ギュウギュウは駄目だと思う」

「お祖父様。それを阿蘭に言って、火箸で掴んだ幼虫を頭に向かって投げられたじゃないですか」

「はははははは。それぐらい可愛いものじゃ」


 おお! 姜昭儀(しょうぎ)強し。

 たぶん、私が投げた箱から飛び出たムシの雨に降られてしまったのだろう。

 ごめんよ。


「話を戻すが、姉上に頼んで皇子に掛けられた術の対処をしてもらったのじゃ。その時に事を穏便に済ますように術を返すのと、本人を排除する方法のどちらがよいかと問われたのじゃ」


 ……母よ。呪詛返しのどこが穏便なのか聞きたいね。

 いや、術者に返るか、依代に返るか。

 だから、事をなそうとした本人ではないか。


 ん? でも高美人が術者なら、本人に返ることになるのか。


「皇后が、事を荒立てることを厭い、穏便に済ます方を選んだ。わしとしては結果的に同じになるであろうと思い、どちらでも良かったのじゃが」


 うーん? 母がそう言ったということは、結果的に違うから聞いたのだと思う。

 恐らく後者は社会的に排除するということなのだろう。


「結果、永寿宮に火の手が上がり、高美人の子は流れたのじゃ」

「子供に呪詛返しが!」


 どういうこと! お腹の子に影響が出るってあるの? でも、妊娠している術者が呪詛返しを受けた話は聞かない。

 そもそも人を呪うことで術を使う道士は限られているだろう。絶対にいないとは言わない。


 もしかして、弱い方に影響がでて、母体には影響が出ないということなのかもしれない。

 すると、結果的には高美人は何も変わらず後宮に居続け、妊娠をする前に戻っただけだ。


 これが母のいう事を荒立てずにということだったのだろう。


 あと、何故に火の手が上がったのか。いや、私はちらりと壁際を見る。


 夜は暗いので明かりが必要になる。だから何か事が起こると誰かが火を持つ必要があるのだ。

 そう油灯をだ。

 蜜蝋の明かりもあるらしいが、量が取れないので、使えるなら皇帝ぐらいだろう。


 なので、呪詛返しにあった高美人の様子を見るのに油灯を掲げていた。その油から火が燃え移った可能性がある。そして、火事となり子が流れた。


「まぁ、辻褄は合うか」

「うむ。それで、子を亡くした高美人は冬の堀に身を投じて死んだのじゃ」

「冬。それも、琅宋(ろうそう)が言っていたことと合っている。生きることを諦めたのに、未練が残っている? 私にはよくわからないな。それで、まだ続きがあるんだよね?」


 この話が、ここで終わりではないはず。


「冬の堀であったから、その死体は綺麗なものだったと、聞いておる。そして建設中であった陵墓の近くに埋葬された」


 ああ、今から行くところの先々代の王の墓ね。当時はまだ作られている途中だったのか。


「その後おかしな噂が流れた。高美人をその近くの町で見かけたというものだ。あの宴に出ていたものなら高美人を知っていてもおかしくはない」


 うーん。貴族の墓も周辺にあるので、東可に皇帝の宴に出るような人がいてもおかしくはない。

 だけど、なぜ高美人と特定できたのか。他人の空似とは思うのが普通だ。

 誰も死人が生き返るという認識はないのだから。


「それが回り回って永寿宮に高美人の幽霊が出たという話になるのだから、人の噂とはおかしなものじゃのぅ」

「途中まではわかるけど、最後の方が理解できない。高美人と断定する理由があったということ?」

「まぁ、わしが見たのではないが、白い蝶を身の回りにまとわせておったらしい。雪が降る季節にだ」


 この話も冬ということは、埋葬されてすぐか、一年後の冬か。

 まだ高美人が人々の記憶から消されていない時期となると、埋葬されてすぐ?


 で、墓荒らしの話をして、霍良を連れて行けとジジイが言うということは、高美人の墓を開けて真偽を確かめてこいということか。


 え? 私に墓荒らしをしろと……あ、棺に骨の残骸があるか確認しろってことだね。

 それはやだよ。


 そう言えば、琅宋(ろうそう)の母親がどうなったのか話になかったのだけど……琅宋(ろうそう)の話からも、子供に話しかける内容だったのが気になっていた。


 あれ? 芙蓉様が嫌っている様子から、琅宋(ろうそう)だけが助かった可能性が……霍家怖いよ。




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