表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/71

第36話 琅宋の母親の話を聞いたことがない

「それじゃ。私は許夫人という人のところに行くよ」


 私はそのまま部屋を出ていこうと一歩踏み出す。

 琅宋(ろうそう)への説明は芙蓉様からして欲しかった。できれば、私はこのまま調べると出ていったまま、戻って来たくない。


「黎明。俺に言うことがあるのではないのか?」

「え? 芙蓉様の言葉を聞かないのなら、私が説明しても意味がないし」


 寵妃か誰かは知らないけど、紫焔帝の血を悪としたい人の言葉を聞くのなら、私が話しても無駄だ。


 私は扉を開けて部屋を出る。が、中に引き戻されてしまった。

 それも背後から捕獲されてしまっている。


「白。後ろにいるヤツに爪でも立てておいてよ」

「黎明。芙蓉に頼まれたのだろう?」


 ん? 足元から声が聞こえてきた。

 下を見ると、いつの間にか白は私の肩から降りている。


「だって、寵妃か誰か知らないけど、その人を信じるのなら、私の言葉は悪だ」

「ちょーひ? ……」

「寵妃ですかぁ。陛下、変な勘違いされておりますぞ」


 王離が勘違いと言っている。


 だけど、芙蓉様が『あの小娘』ということは、気に入らない妃というものだと思う。


 皇帝に意見を言える人は限られている。

 それも女性となると、女官ではなく妃の地位にいる者。


 そして、血族の姜昭儀(しょうぎ)様以外の者ということ。


 ……寵妃じゃない!

 だったら、私の言葉は意味をなさない。


 私は背後から捕獲している手を剥がそうとするも、がっしりと捕獲されているのか、離れない。


 これは術で排除するか。


 すると、体がふわりと浮き上がり、移動させられる。


「ちょっと、今から行くと言ったじゃない」

「もう、夕刻だ。ここで泊まっていくといい」

「いや、それなら家に帰るし」


 夕刻なのはわかっている。昼から行動して、芙蓉様のお時間が空くまで待っていたのだ。

 それは空が赤く染まってくるだろう。


 あと、私には白がいるからどこでも寝られるのだ。だから飛んでいけば、翌朝につく。


 そう、白の背中で爆睡できる。

 それでも、ここで泊まれというなら、雨漏りする貸家に帰るよ。


「陛下。先に太皇太后(たいこうたいごう)様がおっしゃっていた方の説明をされたほうがよろしいのでは?」


 何故か琅宋(ろうそう)に抱えられたまま、椅子に座ることになる。ということは必然的に私は琅宋(ろうそう)の膝の上に座ることになる。


 なにこれ?


 王離はこの状況に突っ込むこともせずに、芙蓉様が言った『あの小娘』の説明をするように琅宋(ろうそう)に促した。


 いや、先にこの状況に苦言を呈したほうがいいと思う。


琅宋(ろうそう)。この状況は何かな?」


 背後に王離が立ち、琅宋(ろうそう)に抱えられて座っている私。横向きにだ。

 ……意味がわからない。


「黎明が何処かに行かないようにだ」

「いや、紹介された人に会いに行くんだよ」

「お祖母様が言っていたことなんだが」


 いや、私の話を聞いて解放しろ。そのまま話をしようとしないでよ。


 それから、皇帝がいつまで私に付き合っているのかな? すでに二刻(4時間)ぐらい経っていると思うけど。


「俺の母のことだ」


 ん? そう言えば、琅宋(ろうそう)の母親の話は聞いたことがない。

 その昔、ここに来たときにいたのだろうか?


 芙蓉様がいて母から紹介された記憶はある。

 その芙蓉様から幼い琅宋(ろうそう)を紹介された記憶はある。

 だけど母親である妃を紹介された記憶がない。


 まぁ、外から来た子供に、わざわざ皇后を紹介することもないか。


「だから寵妃とかではない。というか俺に寵妃はいない。いないからな!」


 そんなに必死に否定しなくてもいいよ。一度言えばわかるから。


「それで、母親から芙蓉様の血について何と言われたの? っていうか、普通に座りたいのだけど?」


 普通に座りたいと要望を言った。それなのに、何を勘違いしたの?

 角度が変わり琅宋(ろうそう)を背もたれにする格好に……ちがーう!


 私は向かい側の席を指す。


「あっちに座るのが普通だよね!」

「誰もいないし、俺が許可するから問題ない」

「……おっさんがいるけど?」

「我は陛下の背で何も見えませぬ」


 王離! こういうときこそ、こそこそしているようで大声ではっきりと言うべきじゃないの?

『陛下は仕事に戻って、あとは自分が聞いておきます』ぐらい言ってくれても良いと思う。


「母からば紫焔帝の話を聞かされた。人々を襲い、国を混沌に陥れた恐ろしい血だと」


 琅宋(ろうそう)は淡々と説明をした。

 その血は途絶えることなく、父親の皇帝に流れ、琅宋(ろうそう)に流れていると。

 いつかはその血が目覚め、人々に牙をむき出すと。


 それはまるで幼い子供に語るような口調だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ