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隣に推しのアイドルが引っ越してきた

作者: たこす

こちらは読み切り版となっております。

少し中途半端で終わってますが、ご了承ください。

 やべー。

 やべーなんてもんじゃねー。


 チャイムを鳴らされて出てみたら、もえたんがいた。

 もえたんが私服姿で立っていた。


 やべーを通り越して普通に死にそうになった。



 もえたんはアイドルグループ・NAROナロー48の一人で、清楚で可愛い妹タイプの女の子だ。

 分け隔てなく誰にでも優しい彼女は、人気投票で常に上位をキープ。

 妹にしたいアイドルナンバーワンの称号も持つ。

 もちろん、オレの推しでもある。



 そんなもえたんが、ドアの前に立っている。

 地球がビッグバンに飲まれたのかと思った(意味不明)



 もえたんはオレの顔を見るなりニコッと笑った。


「はじめまして。隣に引っ越してきた百田ももたです。よろしくお願いしますー」


 その瞬間、オレの魂はビッグバンの彼方に吹き飛ばされた(意味不明)


 ちょっと待て、今なんて言った?


 隣に引っ越してきた?

 となりに ひっこして きた?


 と な り に ひ っ こ し て き た ?


「でええええーーー!?」


 思わずすっとんきょうな声をあげてしまった。


 もえたんは「え!? え!?」と驚いている。


「ど、どうされました!?」


 どうされましたじゃないよ!

 千年に一人の超スーパーウルトラハイパーミラクルアイドルが、オレの隣に引っ越してきたんだよ!?

 驚かないほうがどうかしてるぜ!


「も、もしかして、もえたん?」


 オレは心を落ち着かせて尋ねてみた。

 するともえたんはハッとして、メガネと帽子を装着し「人違いですぅ~」と手を振った。



 いやいやいやいや。

 バレバレなんだが!?



 いや、でもそっか、アイドルは素性を知られちゃまずいもんな。

「そうです」なんて言えるわけないもんな。


 事情を察したオレは、もえたんの気持ちを汲み取って

「あ、すいません。似てたものでつい」

 と謝った。


 そんなもえたんは、ホッと胸をなでおろし(いや、もうその仕草でもろバレなんだけど!?)オレに大きな紙袋を渡してきた。


「……?」


 なんだこれ、と思ってるともえたんが笑った。


「引っ越しのご挨拶です」



 引っ越しのご挨拶キターーーーーー!!!!



 推しからの引っ越しのご挨拶キターーーーー!!!!



 え、どうしよう。

 神棚に祀って毎日拝みたいんだけど。(ちなみにオレの部屋に神棚はない)


「ど、どうもありがとうございます……」


 精一杯のかすれた声でもえたんから紙袋を受け取る。

 ああ、もうこの紙袋ですら神々しく見える。


「生ものですので、お早めにお召し上がりください」

「生もの?」


 中を見ると、綺麗にパッケージされた高級そうなスフレケーキが入っていた。

 あ、これ知ってる。

 銀座の名店で売られてる超人気のスフレケーキだ。

 毎日長蛇の列ですぐに売り切れると言う幻の一品。

 ご挨拶にこんな高級なものをくれるなんて。

 やっぱり芸能人って一般人と感覚が違うのかな?

 オレ、ここに引っ越してきた時、逆隣の人に「粗品」って書かれたタオル渡しちゃったんだけど。


「お口に合うかわかりませんけど」

「ありがとうございます、スフレ大好きです。少しずつ味わいながらいただこうと思います」


 そう言うと、もえたんは「うふふ。よかった」と笑った。



 ああ、神よ。

 あなたはまだ我に試練を与えようと言うのか。

 我、もう、気絶寸前。



「あ、そうだ!」


 もえたんは思い出したように手を叩いた。


「え!? なんですか!?」


 ビビるオレ。


「私、引っ越しって初めてなんですよ!」

「あ、そうなんですか」


 かく言うオレも、このアパートで初めて一人暮らしをしている。

 っていうか、それを初対面の男に言っちゃうんだ。

 NARO48の中でも天然キャラだったけど、意外とガチだったのかな?


「だから地域のルールとかよくわからなくて……」

「ああ、わかりますわかります。その土地独特のルールとかマナーってありますよね」

「だから、えーと……」


 もえたんがもじもじしながら恥ずかしそうに言った。


「ゴミの出し方とか地域の行事とかいろいろ教えていただけると助かります」


 推しのもじもじした仕草の可愛さと、頼りにされた喜びで叫びたい気持ちはわんさかあるが、これだけは言いたい。




 もえたんの家からゴミなんて出るわけない!!!!

(※そんなことありません)




「わ、わかりました! オレにわかることならなんでも聞いてください!」

「うふふ、ありがとうございます」


 もえたんは笑って「それじゃあ、また」と言って帰って行った。



 玄関のドアを閉めた直後、その場で倒れ伏したのは言うまでもない。



 くふう!

その後、もえたんとオレはいい仲となるのだが、それは別の話。


お読みいただきありがとうございました。

※現在、連載版を書いてる途中です。

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