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半強制的な入部から数日、
他のメンバーとの顔合わせの日になった。
部室じゃ人が多すぎるとの事で場所はカラオケだ。
そこなら多少騒いでても怒られないから、らしい。
なんだ、騒がしくなる予定でもあるのか。
「ごめん、ギリギリになった…って、誰もいないじゃん。」
一応時間にはなんとか間に合うように来たつもりだが集合場所のはずのここには誰もいなかった。
もしかして集合場所間違えた?いやでもちゃんと聞き返したし…しばらくその場を右往左往してると少し向こうから見覚えのあるシルエットとその後ろにピッタリついてくる見知らぬ人がいた。
「ハル、遅刻ですけど?」
自分がギリギリだったことは棚に上げておこう。
「ごめんごめん!ちょっと寝坊しちゃってさ〜」
「はぁ…」
先程の見知らぬ人がチラチラとこちらを見ている。
「…あ、えっと、初めまして。」
「…こちらこそどうも初めまして…」
お互いに次の一言が出てこなくて沈黙の時間が訪れる。
「あ!この人は東田海成。ベースやってもらうことになってるよ〜」
ハルが何となく察したのか互いを軽く紹介してくれてる。
「こっちは湯原和葉!ギターボーカルの予定です!」
「ギターはやらないしボーカルは正式メンバーが見つかるまでの話だからね。」
「え〜、お菓子奢るからさ〜!」
「今度は釣られないからね。」
「そこをなんとか〜…」
俺達はいつものペースで会話を進めてしまう。
東田海成さんがこちらを見ていることに気づいた。
「あっ、ごめんごめん〜!じゃあカラオケ行こっか〜!」
「本当にお前は忙しないな…」
この一言しか交わしてない会話で2人はそこそこ仲の良い関係であることが伺えた。
ハルに仲のいい男子がいたなんてびっくりだが、
友達といえど所詮は他人。
言ってないことの一つや二つくらいあるだろう。
自分の中でそう済ませてカラオケへと向かうのだった。
1時間後-カラオケ
「そういえばハルは何やるの?」
さっきの紹介で言われなかったので聞いてみた。
「私はドラム!姉ちゃんやってたの見てたしスティックも借りれるし!」
理由がそれでいいのか。
心の中で思わずツッコミをいれてしまった。
「理由そんなんでいいのかよ」
おっと、ここで俺の思ってたことを東田海成さんがつっこんでくれた。
「いーの!なんかドラムってかっこいいし!カイちゃんこそベース始めた理由人のこと言えないじゃん」
「人の前でカイちゃん呼びやめろ!」
2人のやり取りを見てここでやって行けるだろうかと思ってしまった。
いや、俺には関係ないだろう。
きっと正式なメンバーは早く見つけるだろうし数ヶ月もここにいないんだ。
そう考えるとこの先の不安がちょっと減った気がした。




