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死神のカードは読み方が難しいとされるカードのひとつだ。
僕のデッキは白馬に乗った死神の騎士がまるで敵国の王を討ち取り、右側へと進もうとしているカードである。
その様子は黒騎士に制圧され、滅びた国が新たな勢力に組み込まれ、別国として生まれ変わるように僕には見える。
ちなみに、マルセイユ版だと不吉な数字の大鎌を持った者が描かれている無題のカードだ。
「……お前、ライダー版のくせに能力はマルセイユ版なんだな?」
そう言うと、鎌が光の粒子につつまれ、縮みだし…光が散ると……貴族なんかが持ってそうな木の板こと、笏になった。
服装もどことなく和服っぽい。というか、某氏頭に追加されたが、烏帽子ではないようだ。
「…閻魔?」
帽子を手に取れば、中央にはそう刺繍されていた。
「なんというか、芸達者だな死神……」
未練を断ち切れば再誕できるが、王冠にしがみついた王はそれが叶わないとされる、心機一転のカード。
日本にも死神の逸話がない訳では無いのだが、罪を償えば転生できる地獄の逸話や、あの世の代表といえば閻魔なので、僕は 死神を引くと閻魔を連想しながらリーディングすることが多かった。
今生と来世の間に経つ存在で、終わりと始まりをキッチリさせる存在としてなら。オリジナル版としてもしもデッキを作っていたら、僕は5番目を閻魔にしていたかもしれない。愚者の物語の順番狂うけど。
この形態は多分、見た目はライダー版だが、リーディングや形態は僕の知識や解釈に引っ張られることや、デッキがそれを許してくれるあらわれなのだろう。
「鎌がなんか変な棒になっちゃった?!それ、戦えるの?」
妄想に耽っていると、クリュが興味深げに笏をみていた。
「いや、武器じゃないと思うけど…何なんだろうな?これ?」
なんか昔の人が持ってるやつ!ってアバウトなイメージしか笏にはない。……ホントなんだこれ?自国文化ながら、謎の塊である。
「まぁ、死神に関しては多分……前世界はスパッと諦めて、君たちの言う勇者様とやらとして生きてくのを手伝ってくれるんじゃないか?」
どことなく、昔のデッキなんて忘れて自分を見て欲しいと主張されてるような気もするが……初めましての相手にする読みとしては自惚れすぎてるだろう。
「それがさっき聞いてた『君とどう付き合えばいい?』って問の答え?」
「そうなる。」
それを聞いて満足したのかどうなのか。死神は閻魔大王コスプレセット1式からカードに戻って剣のⅡの右隣に並んでいた。
現在の主人公
属性 カード系魔法使い(変身もあるよ!)
能力 カードに基づく物体の一時的具現化
(戦闘経験皆無だが、アシスト機能あり)
体力 標準
魔力 740/780