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趣味卜占師の異世界記  作者: 鳥飼 心裏
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とりあえず、コートで犬魔物を包み袖口を結べば、簡易ながら肩に担いで運べる風呂敷になった。


魔物避けの鈴を鳴らしながら先導してくれるクリュについて行くと、森の外の村へと到達する。


「とりあえずここが冒険者ギルドだよ!」


「やっとこいつを下ろせる……」


米を買って1人で担いで帰ってるかのような重労働は週末だけでいいのに……いや、ネット注文なら玄関まで配達員さんが持ってきてくれるのに。


人生はクソゲーとか言っててすいませんでした、異世界に比べたらイージーモードです……なんて、現代日本の有難みを実感する。


冒険者ギルドは多くのラノベよろしく、魔物の買取を行ってるらしい。


クリュが冒険者なので、今回は問題なく売ることが出来そうだ。


「こーんにーちはーっ!」


意気揚々とドアを開いてクリュが受付に行く。


「おやクリュちゃん……なんと、まぁ!勇者様とでぇとかい?!」


受付のおばちゃんが目を丸くしてこちらを見た。顔立ちは西洋人で目も青色だが、茶髪が故郷にありふれた色なせいか、ノリがその辺に居そうなおばちゃんだからか……何となく、気が抜ける。


「 ……それにしても、こちらの世界の人は、なぜそんな人目でこちらを勇者判定してくるんだ?」


クリュも一目で勇者扱いしてきた。


「え?だって、勇者様っていっつも同じ顔、同じ姿だもん。獲物は違うけど!」


「なるほど……?」


そういえば、水辺をのぞきこんだ時、水が波打ってるにしては外見が普段とかけはなれていたことを思い出す。


モテず、冴えない凡人顔がなんと!高校生くらいの瞳の大きく可愛げのある美少年に変わっているではありませんか!


あ、色は黒髪黒目でしっかり日本人してましたとも。


比較対象がないから判断しにくいが、地面の距離感覚的には身長は170台のままかと思われる。


うーん、日本人は小さいとか言われがちだけど、異世界基準だとどうなんだろうか。


ちなみにクリュは自分が170台のままだと仮定するならば、160台くらいだ。


「うーん、外国の人に祖国の人はみんな同じ顔に見えるって言われがちだけども……そもそも顔からして変わってるんだよなぁ。」


「一説には、女神様の好みだって話もあるよ」


「なるほどぉー……?」


元の世界での自分が寝てるだけなのか、体が魔改造されたのか、判断つかないのだが……異世界転移というのがそのままの自分で以外に行くことならば、見知らぬ体になって以外に降り立つ自分は異世界転生に当てはまる……のだろうか?


とりあえず、重労働後にくたびれてない異世界仕様なのは有難いと思っておこう。今後なにか倒す度に持ちかえるかもしれないし。


「おばちゃん、コワンウルフ納品するからさ!査定の間練習場貸してよ!」


「いいけど……どうするんだい?」


「せっかくだから新米勇者さまと模擬戦してくる!勇者とか様さっき来たばっかなんだって!」


「なるほど、ならその間にシャワーと仮服の用意もしておこうかねぇ。試合後の着てる服の洗濯と、その間の服も必要だろう?ああ、料金は査定額から引いておくさね。」


「さっすがおばちゃん!わかってるぅ!」


「そんなサービスまであるのか。凄いな冒険者ギルド。」


「汚れたままうろつかれたら食事に砂が入るから、上階の食事処にいくには汚れ落としと防具のクリーニングがマナーなんだよ。ギルドも掃除が大変だしね!」


「そうか……済まないが、服を借りるついでにハンカチの様なものを貸して貰えないだろうか。カードの収納ケースが服に縫い付けられているから、洗ってもらってる間持ち歩くのに不便でね。」


最悪、手に持ったままうろついてもいいが……ぶちまけそうで怖い。……いや、このデッキならその前に周囲を漂う気もするが。


「カード……?今代の勇者様は手品師かなんかなのかい?」


「ただの会社員…いや、単なる趣味の卜占師(うらないし)だよ」


占いには基本、三つ分類がある。


生年月日や名前、星座の統計などから導き出す命占(めいせん)


手相や風水など、部屋の状態など変えられるものやその場で見て取れるものから導きだす相占(そうせん)


そして、茶渋の形やたまたま出たカードなどの偶然を必然として捉え、意味を見出す卜占(ぼくせん)


自分は専ら、カードやルーン石、占い用のサイコロ(アストロダイス)振り子(ペンデュラム)によるダウジングを行う卜占(ぼくせん)を趣味としてかじっていた程度だが、先程カードが武器になったあたり、この世界での職業も会社員より卜占師師が妥当に思えた。


「え?戦士じゃなくて占い師?」


「まあ、趣味程度の端くれだけどね。」


「街中の非戦闘員職じゃない!」


「なんなら元の世界なら商人がいちばん近かったな」


「でも、魔犬狼(コレ)倒してたよね?!」


「運が良かったと思うよ。あんなことになったの初めてだし。なんなら腰抜かしてたの見ただろう?」


なんなら泣いてるとこも見られた気がする。


「初めて……え、じゃあ、あのカードの使い方は?」


「占い方しか正直よくわかってないな」


それを聞いたクリュが唖然とする。だって仕方ないだろう、どこぞのコーポレーションの社長でもあるまいし、カードは普通武器にしない。


「じゃあ戦闘訓練も必要だね!やっぱり練習場に行こう!」


魔犬狼を提出した事で不要になったコートを押し付けられ、そのままグイグイとどこぞへと連れていかれる。いや、押していかれる。


ーーまぁ、実際このカードの能力を知るのは必要なことか。


押されるがままに、僕はその場を後にし、地下へと向かった。

ワンコ狼→コワンウルフ。

ゴールデンレトリバーとかより小さい程度です。


魔物避けの鈴は熊よけの鈴程度の効力。

クリュは今回、それを目印に逆に遅いに来る魔物の討伐に来てました、

コワンウルフも討伐対象。

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