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趣味卜占師の異世界記  作者: 鳥飼 心裏
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「わぁ!勇者様だぁ!」


「……は?」


森から鈴の音とともに現れたのは、金髪をバンダナで纏めた少女であり、こちらを見て何故か嬉しそうに勇者認定してきた。


「ねぇねぇ、そんな魔物で腰を抜かしてるんだもん!まだ新米だよね!!君こっちに来てどれぐらい経つ?!」


「えー…と…?」


どうしよう、わかる言葉で単純なことしか聞かれてないんだけど、話と状況にさっぱりついていけない。


とりあえず前に突き出していた両手を引っ込めようとしたところで、手中の双剣の感触がきえた。


驚いて双剣のあった所に目を向ければ、光が収縮して剣のⅡ(ソードの2)になった。


「……ありがとう、助かった。」


そう告げればカードはぺこりとお辞儀をするように傾いてから、太腿のホルダーへと吸い寄せられるかのように帰って行った。


ちらりとみえたホルダーの中には、いつの間にやらカードがしっかり収められていたので、他のカードも多分帰ってるのだろう。


「今のが勇者様の能力?!え?!何?!カード?!触ってもいい?!」


「ダメだ!」


タロットカードに触れると聞いて、ツイ反射的に断ってしまった。


占い道具というのは術者以外が触れるのは、誰かが占いを受ける時くらいである。触れられるほど穢れがたまったり、拗ねられやすいのだ。


「あ、ご、ごめんなさい!そうだよね、剣士も自分の獲物触れられるの嫌がるのに勇者様の武器とかダメだよね!!」


素直に謝る彼女に悪気は本当に無いのだろう。


「いや、こちらこそすまない……急に大声なんて出したりして。」


しおらしい彼女の態度に落ち着くと共に、なんだか申し訳なくなる。


「え?いや、全然!……ところで勇者様、その魔物はどうする気?」


「え?…あー……どうしよう……とりあえず、可哀想だから埋めておく、とか?」


犬的なものには正当防衛な気がするが、申し訳ないことをしたし……やはりお墓でも作るべきだろうか?


「ええ?!素材になったり食べれるのに勿体ない!!」


「……そうなのか?」


現代人は20年以上やってるが、異世界零日目。何も常識が分からない。


「……もしかして〜、勇者様こっちに来たばかり?」


「勇者かどうかは知らんが、家で寝たはずがここにいたのは先程の事だな。」


「やった!じゃあ私第1発見者だ!報奨金貰えるかも!」


報奨金とはなんだか穏やかではない。


「……国かなんかに売り飛ばされるのか?」


ラノベとか小説投稿サイトで見受けられる、主人公じゃない勇者とか、国に見つかったら死ぬまでこき使われる勇者とか、なんかこう、かませ犬ポジションにいる気がしてきた。


凡人が付け上がって破滅するタイプが多いよな、ああいうの。健気に生きてれば真の主人公とかが助けて仲間にしてくれるポジションとかに収まれないだろうか。


「いやいや売り飛ばすなんて!こっちに来たての勇者様って弱っちがったりしてすぐ代替わりしちゃうからむしろ保護対象だよ!」


「それはありがたい!保護してください!右も左も分かりません!」


犬魔物が邪魔で華麗な土下座は決められなかったが、心の底から誠心誠意お願いした。


「ははっいーよいーよー!その代わり大成したら伝記の最初の話に私を登場させてね!私、クリュって言うの!」


差し出された手に、ああこちらにも握手ってあるんだな、なんて頭の片隅で思いながら応じて握り返した。

クリュのイメージはF⚫Xのリ⚫ック

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