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【書籍化】ナイチンゲールは夜明けを歌う

少年の懺悔、少女の願い~ハッピーエンド追加版~

作者: 干野ワニ

以前投稿した短編の後日談ですが、単体で分かりにくいので前作もセットにしています。悲恋からハッピーエンドになりました。前作部分に変更はないため、既読の方はお手数ですがスクロールしてください。

  一、「大人」になれなかった少年の懺悔



「だから、大丈夫だって! 怖くないから早くこっちに来なよ!」


 歩くたびゴトゴトと揺れる石橋の向こうで、『親友』が手招きしている。


「だ、だから怖いんじゃないって言ってるだろ! 今行くって!!」


 僕は震えそうになる足をなんとか励ますと、ようやく向こう岸にたどり着いた。


「あはは、やっと来た!」


 声を上げて笑う『親友』に、僕は恨みをこめた眼を向ける。


「ロズ、おまえってホント、女らしくないよな! ホントは男なんじゃないか!?」


「うるさい! フェルが弱虫なだけでしょ!?」


「うわ、男女(オトコオンナ)が怒ったー!」


 僕が走って逃げ出すと、すぐに『親友』も後に続いた。やがて到着したのは、伯爵城のすぐ近所にある村である。村の敷地に入るなり僕たちの姿に気付いた村人が、急いで走り寄って来た。


「若様! ありがとうございます!」


「斧でケガしたってやつはどこだ!?」


「どうぞ、こちらへ!」


 僕の生家は、代々王家の侍医長も輩出する治療術師の名門だ。そしてこの地を治める、モンベリエ伯爵位を賜った家でもある。だが僕は上級貴族の嫡男ながら、とてもおおらかに育てられていた。治療呪文は実践の中でこそ育つ――それが現場主義である父の、教育方針だったからだ。


 僕が大怪我をした村人の傷をふさいでやっているうちに、ロズは集まってきた村人たちの小さなケガを次々と治してやっていた。


 治療呪文を使うためには、『法力(ほうりき)』が必要だ。だがその法力を持っているのは、貴族だけである。当家(うち)の家臣である男爵家に生まれたロズは、傍系ながら上級貴族にも匹敵する法力を持っていた。もっとも、僕ほどではないけどね。


「若様、お迎えが参りました」


「ああ、分かった。ロズ、帰るぞ」


「うん!」


 いつも黙ってついてきている護衛騎士に声をかけられて、僕たちはようやく村人の家を出る。


 帰りの馬車に揺られて眠くなってきた僕は、隣に座る『親友』の肩に頭を預けた。


 一日中一緒に遊んで、学んで、ケンカして、かと思ったらすぐに忘れて仲良くお菓子を分けあった。


 この頃が、一番幸せだったのかもしれない。



 *****



 父から隣領を治める伯爵家のご令嬢との縁談を持ち出されて、僕は言った。


「顔も知らないご令嬢と婚約……? それならまだ、ロズとでも結婚した方がマシです」


 どこぞの気取ったご令嬢の相手を一生させられるなんて、想像しただけでもうんざりだ。それに比べて『親友』であるロズとの方が、ずっと楽しくやっていけるだろう。


「ロズ? ああ、ブエノワ男爵家のロズリーヌか。そうだな、彼女は治療術師として高い才を見せているから、当家に嫁ぐ素質は充分だろう」


 幸いなことに、当家は代々実力主義の家系である。うなずきながら言う父に、僕は上機嫌で言いつのった。


「ええ、ロズで充分です。あいつなら気心も知れてるし、なにより根性があります。この地の領主の妻として、しっかりやってくれるかと」


 本当はとても嬉しかったのに、僕はそう、意地を張って(うそぶ)いた。


 だが伯爵夫人ともなれば、社交界へ出る必要がある。もうすぐ十二になるロズは、婚約が内定した直後に王都へと送り出されてしまった。行儀見習いに行くためである。


 共に遊ぶ『親友』を失って、僕は初めて寂しいという感情を知った。だがなんとか、会いに行くのは我慢した。この一年さえ終わってしまえば、一生一緒に居られるのだ。



 *****



 ロズと離れ離れで過ごした短いようで長い一年を、僕はようやく終えた。十三歳となりこの国の成人年齢を迎えた僕達は、正式に婚約することが決まったのだ。


 とうとう結納の日を迎え――僕は一年ぶりの『親友』との再会に、ワクワクが止まらなかった。面倒な式はさっさと終わらせて、あいつがいない間に見つけたとっておきの場所に連れて行ってやろう。きっと何より喜んでくれるはずだ。


 伯爵城の車寄せに、ブエノワ男爵家の紋章を掲げた馬車が止まった。


「ロズ! 元気だったか!?」


 到着を待ち構えていた僕は笑顔で駆け寄ったが、馬車から降りてきたのはあの『親友』ではなく……ひとりのしとやかな『ご令嬢』だった。


 彼女は従者の手を借りて地面へ静かに降り立つと、完璧な所作で淑女の礼をとりながら言った。


「フェルナン様、お久しゅうございます」


「な、なんだよその態度……ロズのくせに……」


「ふふ、フェルナン様はおかわりないご様子で、何よりです」


 そう控えめに口にして、彼女は少しだけ困ったように眉尻を下げて笑った。


 その大人びた表情に、僕は愕然とした。よく日に焼けていた肌はすっかり白くなり、薄く化粧を施した姿は……きれいだ。


 僕は思わずぼうっと見惚れてしまってから、我に返って首を振った。


 ……違う、こんなのはロズじゃない。


 あの遠い日々、共に領地を探検してまわったあの『親友』は……一体どこへ行ってしまったんだろう。


女子(おなご)は年頃になれば変わると聞いたことはあるが、いや、これは見違えたな。幸せ者だな、フェルナン!」


「そうですね、父上……」


 まさかあの幼馴染が、これほどまでに変貌してしまうとは。心臓が強く鷲掴まれたように苦しくなって、僕は思わず、礼服の上から左胸に爪を立てた。


 十三を迎えたロズリーヌは、大人になった。対して、たったひと月遅く生まれただけの自分はどうだ? あの子供だった日々から、ちっとも変わっていないのだ。


 先に大人になった幼馴染に、遠く置いて行かれた気がして……焦りを覚えた僕は、やはり子供のままだったのだろう。



 *****



 僕がなかなか素直になれないでいる間に。ロズリーヌのブエノワ男爵家に、ひとつ年下の異母妹が引き取られた。これまで平民の母親と暮らしていたが、貴族の証である法力を持っていることが発覚したからだ。


 正式に一族へ仲間入りしたことのご報告とご挨拶を、と、かの異母妹が父親に連れられて城に現れた日のことである。異母妹はノエラと名乗り、神妙な顔をして一族との顔合わせを済ませた。だがすぐさま、事件が起こる。


 いつの間にか姿が見えなくなった彼女を皆で探していると、突然木の上から降ってきたのだ。


「ノエラ、何をやっている!」


「ごめんなさい、父さ……ま。この子が、降りられなくなって鳴いてたから」


 すり傷にまみれた彼女の腕の中には、小さな子猫が丸まっている。


「バカかお前、傷だらけじゃないか!」


 僕は呆れながらも駆け寄ると、すぐに治療呪文(レメディウム)を唱えた。かざした手が淡い光を帯びると、小さな傷はたちまちふさがってゆく。


「えへへ、ごめんごめん。ありがとう!」


「こら、ノエラ! 若様になんという口をきくんだ!」


「えっ、この子……方が、お姉さまの!? ごっ、ごめんなさい!」


 平謝りするノエラと共に頭を下げながら、男爵が言った。


「いや、お恥ずかしい。平民育ちで作法がなっておらず、大変失礼いたしました!」


「いや、別に。僕は気にしてない」


 ロズリーヌとノエラは、やはり姉妹なのだろう。二人はよく似た顔立ちで、ノエラの飾らない笑顔が昔の『親友』の笑顔に重なって見えた。



「――ということが、さっきあってさ」


「まあ、そうだったのですね」


「ロズの新しい妹、なかなか面白い奴だな!」


「それはよろしゅうございました」


 二人きりで向き合ってお茶を飲んでいても、相変わらずロズリーヌは大人しい。


 ――なんだよ、まるでどこぞのご令嬢みたいに気取りやがって。


 彼女の言葉からは、この領地特有の(なまり)が消えている。完璧な発音で話し、完璧な姿勢で微笑む彼女に……僕は若干の苛立ちを覚えた。


「ロズ、いやロズリーヌ、お前ってホントつまらない女だな。ノエラの方がよほど魅力的だ。あーあ、なんで家のためにお前なんかと結婚しなくちゃならないんだよ!」


 自分から望んだくせに、僕は幼稚な見栄をはる。


「若様の婚約者として、至らず申し訳ありません……」


 すると彼女は悲しそうに言って、今にも泣き出しそうな顔を伏せた。


 ――違う、そんなふうに悲しませたかったんじゃない!


 つまらない悪態をつけば、また昔のように怒りながら追いかけてきてくれると……そう、思ってしまったんだ。


 本当は、社交界で僕が恥をかかないよう、慣れない王都でひたむきに努力してきてくれたのだと――とうに気付いていたはずなのに。


 僕はどうしようもないほどに、子供だったのだ。



 *****



 ――今日こそは、謝ろう。そして僕がロズをどれだけ大事に思っているか、感謝しているか、そして……。


 今日は、あれ以来初めて彼女と会う日である。さすがの僕も後悔し、今日こそは本当の気持ちを伝えるのだと朝から張り切っていた。


 僕はいつものようにぞんざいに服を着崩そうとして、すんでのところで思いとどまった。僕もそろそろ嫡男として、自覚を持った人間になるのだ。


 だがその日、ロズリーヌの代わりに城にやってきたのは……彼女が疫病と思しき患者に触れたため、隔離されたという報告だった。


 ある日、高熱を出した行商人を、街の治療所が受け入れた。だがその患者に発疹が出始めていることに気付いたのは……運の悪いことに、慈善活動で街の治療所を手伝っていた、ロズリーヌだったのである。


 代々続く治療術師の名門である当家には、疫病発生時の対応指針も整っていた。


「呪いが伝染(うつ)るぞ! 接触者を徹底的に隔離しろ!」


「ロズに会わせてくれ! 僕は彼女の婚約者だぞ!?」


 自己治癒力を極限まで高める作用のある治療呪文は、怪我にはとても有効だ。しかしその特性上、病をすぐに完治させることはできない。だが側にずっと付き添い、病で落ちた自己治癒力を呪文で補い続けてやれば、助かりやすくはなるはずだ。


「いけません! たとえ若様のご命令といえど、会わせるわけには参りません! 呪いが伝染してしまいます!」


「僕は治療術師だ! 大切な人のひとりすら助けられないで、この力は一体何のためにあるというんだ!!」


「それでも、大事なご嫡男を、患者に会わせるわけには参りませんッ!!」


 ロズリーヌが閉じ込められた病棟の前で、男爵夫妻を始めとした家臣たちに取り押さえられながら……僕は叫んだ。


「道をあけろッ!!」


「できません! 娘が……ロズリーヌが、お会いしたくないと申しておるのです!!」


 男爵のその一言に、僕は怯んだ。

 とうとう嫌われて、しまったのだろうか。


「……なぜだ?」


「もはや痘瘡(とうそう)が顔中に拡がり……貴方様に、そんな姿を見られたくないと……」


 恐る恐る問う僕に、そう小声で答えると……ロズリーヌの母親は、顔を覆って泣き崩れた。彼女が罹った疫病は、斑点病(ヴァリオラ)と呼ばれている。重症化すると全身に、痘瘡(とうそう)と呼ばれる発疹が広がるのだ。


 ――そしてその半数以上が、やがて死に至る。


「どうぞ、婚約を破棄してやって下さい。この先もし回復しても、娘の顔にはひどい痘痕(あばた)が残るでしょう」


「そんなもの、僕は気にしない!」


「若様もご存じでしょう? この国には、斑点病に罹患した子供は……たとえ生還しても、いずれ魔物と化すという言い伝えがあります。娘は伯爵様の奥方にしていただくことは、もうできないのです」


「そんなのはただの迷信だろう!? 気にする必要はない!」


「たとえ迷信だろうとも、信じる者が多ければ、それは真実となるのです……」


 僕は開かない扉に縋り、崩れ落ちた。


「どうか助かってくれ……まだ謝ってない、それに、()()()いない事があるんだ……!」



 小さい頃からずっと、君のことが好きだった。

 親友でも、令嬢でも

 どんな姿であろうとも、僕はずっと君だけが――



 だがその言葉を伝えられる日は来ないまま、ロズは亡くなった。代筆されたのだという最期の手紙には、ただ、僕への感謝の言葉がつづられていた。



 ――これまで本当にありがとう。

 あなたの幸せを、願っています。



 今思えば、なぜ衆目を気にしてしまったのだろうか。

 あのとき、叫べばよかったのだ。

 扉の向こうの彼女まで――この言葉が、届くように。



 ロズリーヌの葬儀は、本人不在で執り行われた。疫病によって亡くなった者は、家族ですら最期の顔を見ることができず、棺を担ぐことすら許されない。


 埋葬は斑点病の既往歴のある者たちの手によって、専用の墓所へとひっそりと行われた。一族の墓に並ぶことも許されず、その棺には厳重に土がかけられた。


 こうしてロズリーヌは、誰も近寄らない僻地の墓所で、同じ病で亡くなった仲間達と共に――永遠に眠ることとなった。


 疫病に罹った者は死んでからもその呪いを厭われ、隔離され続けるのだ。


「領主の一族が自ら決まりを破っては、民への示しがつかんだろう!?」


 見事な采配で疫病の蔓延を防いだ父から、そう言われた僕は……墓参りすら、できなかったのである。



 *****



 喪が明ける日が近づいた、ある日。僕に新しい婚約の話が持ち上がった。隣領の伯爵令嬢を断ると、するとノエラを勧められた。男爵に連れられて顔を赤らめるノエラに、どこまでも身勝手な僕は、冷たく言った。


「僕の妻はロズリーヌだけだ。他の誰とも結婚するつもりはない」


「しかし伯爵家の後継者が結婚しないなどという我がままは、許されんぞ。少しは大人になれ、フェルナン!」


「ならば後継の座など捨ててやる!」


「どうやら甘やかし過ぎたようだな……。勝手にしろ!」



 たとえ廃嫡されようと、長男が家に残っていては揉め事の種になりやすい。家から完全に離れることを決めた()は、すぐに就職先を見つけて出ていくことにした。


 長年の思い出の詰まった自室で出立の準備をしていると、母と弟がやってきた。


「聞いたわ、ベルガエ騎士団に入るのですって!? 常に危険な戦場ばかりをめぐると有名なところではないの! なにもわざわざ前線に行かずとも、治療術師ならば仕事に事欠くことなどないはずでしょう!?」


 ベルガエ騎士団はこの国最強を誇る精鋭騎士団だが、実際は貴族社会からのはぐれ者ばかりが集まるところだと言われている。そんな場所が、今の()には最適な居場所に思えた。


「母上、ご心配をおかけして申し訳ありません。ですが私は……この治癒の力を持って生まれた本当の意味を、知りたいのです。どうか我がままをお許しください」


「兄上……」


「私の身勝手で、今さら面倒を押し付けてすまない。後は頼む」


 私は弟の肩を叩くと、そのまま家を出た。



 *****



 前線で治療術師として無心に働き、十数年が経った頃。騎士団の長であるベルガエ大公が、近々代替わりするという噂を聞いた。後任は、あのロズリーヌと同じ斑点病(ヴァリオラ)から生還したばかりの、まだ十代半ばの第二王子どのらしい。


 かの疫病からは、たとえ回復しても魔物と化す――そんな噂からくる偏見は、国の最高権威である王族ですら、王都から追い出してしまったのである。


 噂通りに新しい上司が赴任して、半年ほどが経った頃。日の落ちた野営地にある、救護所の片隅で……平民らしき負傷兵の愚痴が聞こえた。


「お貴族サマはいいよなぁ。治療呪文ですぐに治してもらえっから、こんなふうに長々と痛みで苦しまねぇで済むらしいぞ」


 ――苦しまねぇで、済むらしいぞ。

 本当に、そうだろうか?


 自棄になったよう先陣を切る殿下に随伴し、御身が傷つくことあれば、呪文で即座に治療する。そうして休む暇もなく、次の戦闘へと送り出すのだ。


 それを日に二度三度と繰り返しながら、私は考える。もし貴重な治療呪文を最優先で受けられる立場でさえなければ、負傷兵として後方で休むことができるのに。


 誰よりも早く治癒されるということは、誰よりも早く戦場へと戻されるということだ。そうして新たな、傷痕だけが増えてゆく。


 ただひたすらに、短時間で負傷と治癒を繰り返す。果たしてそれは、患者の精神にとって健全なことなのだろうか? 身体の傷は癒えても、その身を(えぐ)られた瞬間の記憶は消えないのだ。



 教えてくれ、ロズリーヌ。

 私は何のために、治療術師になったんだ……?


『だから、大丈夫だって! 怖くないから早くこっちに来なよ!』


 ロズ、ごめんな。

 僕はどうやら、まだ死ぬのが怖いみたいなんだ。



 仲間達の流す血に(まみ)れながら――

 私はまだ、この力の持つ意味を探している。






――――――――――――――――――――――――



  二、「大人になれなかった」少女の願い



「ロズリーヌ、お前の才が伯爵様に認められた。特別に若様と共に学ぶ栄誉にあずかったのだぞ!」


 浮足立つ父さまに連れられて会ったのは、同い年の男の子だった。まだ身分の上下なんてよく分からない歳だった私は、その子とすぐに打ち解けた。


 先生から逃げて遊びに行っては、何度一緒に怒られただろう。でも歳を重ねるうちに、私は薄々気づき始めていた。


 フェルは私のことを『親友』と呼ぶけれど、私は『女』だ。もしも私が男だったなら、父さまのあとを継ぎ家臣としてそばにいられるんだけど……男と女は、ずっと一緒にはいられないんだよね。


「大変だ、ロズリーヌ! 伯爵様がお前を若様の婚約者にどうかと仰せだ。お前は若様に望まれたのだよ!」


 フェルが、私を望んでる……?


 大喜びの両親を一瞬他人事のように眺めてから……私は急に両頬が熱くなるのを感じて、顔をおおってうずくまった。


 ……フェルと、ずっと一緒にいられる!


 その時、私はようやく気がついた。弱虫のくせに偉そうで、だけど怪我をして困ってる人を見ると、すぐに飛び出していく……そんなフェルのことが、私はずっと好きだったんだ。


 伯爵様になるフェルとは、ずっとこうして『親友』でいることはできないと分かってた。だから私は、頑張って自分の役割を変えることにした。


 私はもうすぐ十二歳で、成人まであと少ししか時間がない。でも後二年もない初心舞踏会バル・デ・デビュタントまでに、上級貴族の婚約者として相応しい『ご令嬢』にならなければいけないんだ。


「一年も、会えないのか?」


 泣きそうな顔をするフェルの頬にそっと触れると、私は笑った。


「たったの一年じゃない。なんて顔してるの? ほんと、フェルは弱虫なんだから!」


「僕は弱虫じゃないって言ってるだろ! ロズなんかいなくても、別に寂しくなんかないんだからな!」


 そうして私は、遠い王都へと旅立った。立派な『伯爵夫人』になるために。



 *****



 行儀見習いとして私を受け入れてくれたのは、三大公爵家の一角である公爵家当主のご夫人だった。『先生』であるマリヴォンヌ夫人は、ご子息が成人した今でも社交界の華と呼ばれるお方なんだけど……とても優雅でお美しい方だった。


 普通なら、上級貴族のご令嬢でもなければ、公爵家で行儀見習いなんてできやしない。でもモンベリエ伯爵夫人……つまりフェルのお母様が、特別にお願いしてくれたらしい。


『あのマリヴォンヌ様のもとでしっかりと学んだら、必ずやどこへ出ても恥ずかしくないご令嬢になれるわ』


 ――私、本当に、一年でこんなふうになれるのかな?


 不安に感じながら、それでも未来のお義母様のご期待には応えたい。私は『親友』と再会する日を指折り数えながら、一心不乱に頑張った。


 始めは失敗ばかりだったけど、だんだん褒められることが多くなってきた。嬉しくなってもっと頑張ったら、同じように見習いに来ていた他のどのご令嬢よりも、褒められることが多くなっていた。


 その頃だった。はじめは陰で笑われるくらいだったのが、面と向かって悪口を言われるようになったのは。


「モンベリエの雌猿(グノン)


 それが、私につけられた仇名(あだな)だった。


「田舎の男爵令嬢ごときが、少しばかり法力が高いからって、いい気になって」

「貴族と言っても陪臣の娘が、どのようにしてモンベリエ伯爵令息を籠絡なさったのかしらね?」

「籠絡? まさか、このご容貌で、無理でしょう?」


 今日も公爵邸の廊下で上級貴族の『ご令嬢』方に移動を邪魔されて、私は内心、ため息をついた。自分のことなら、いくら悪く言われても耐えられる。


 雌猿(グノン)という言葉には、醜女(しこめ)売女(ばいた)という意味もある。真っ黒に日焼けして、下級貴族から伯爵家の正夫人にと望まれた私には……最適な罵りの言葉だったんだろう。


「モンベリエ伯爵家は名門のお家柄なのに、ご嫡男はこんな雌猿を迎えねばならないほどお相手に困っていらっしゃるのかしら」

「ねぇ貴女、かわいそうだから代わりに嫁いで差し上げたら?」

「嫌ぁよ。いくら名門でも、雌猿のお古だなんて」


 ――フェルのこと、何も知らないくせに!!


 クスクス笑うご令嬢方に、私はとっさに声と手を上げようとして……でも、なんとかぎゅっと両手を握って耐えた。ここで挑発に負けたら、立場が悪くなるのは私なんかよりフェルナンだから。


「あなたたち、どうしたの? とっても醜いお顔をしていてよ?」


 穏やかな声が響いた方へ、私たちがいっせいに顔を向けると……そこには私たちの『先生』が立っていた。


「こ、公爵夫人、わたくしたちは、ブエノワ男爵令嬢の不調法を注意していただけで……」


「あらわたくし、さきほどからずっとここにいたのだけれど。誰も気付いてくれないものだから、困っていたのよ?」


「も、申しわけ……」


 顔色を変えて言葉に詰まるご令嬢方に、マリヴォンヌ夫人はにっこりと笑いかけ……だけど、ぴしゃりと言った。


「我々貴族がなぜ、父なる神から法力を(さず)かったのか。もう一度、よく考えてごらんなさいね。……お下がりなさい」


 慌てて去るご令嬢方を見送ってから、公爵夫人はあらためてこちらを向いた。


「ロズリーヌ、貴女はもう立派な淑女よ。初心舞踏会バル・デ・デビュタントには、モンベリエ伯爵令息の随伴で出席するのでしょう? 二人に社交界で会える日を、楽しみにしているわね」


「……はい!」



 *****



 こうして私は、長いようで短い王都での一年をなんとか終えた。


 無事に辿りついた結納の席で、久しぶりに幼馴染の笑顔を見て……私はかつてのように駆け寄りたい衝動を、ぐっと我慢した。フェルナン()も嫡男として、そろそろ大人にならなければならない年齢だ。これからは私がしっかりと、彼を補佐していかなければ。


 そんな私の成長を誰よりも喜んでくれたのは、フェルナン様のご両親である、伯爵ご夫妻だった。


「やっぱり、ロズリーヌは賢いから、絶対に素敵な淑女になると思っていたのよ! 貴女が手本となってくれたなら、きっとあの奔放息子も自覚を持ってくれると思うから。どうか、これからもよろしくね」


 奥様からそう頼まれた私は、学んだことに忠実に……フェルナン()の前で完璧なご令嬢の姿を演じた。だけどそんな私と彼との間は、どんどん距離が開いていった。



 *****



 フェルナン()との間がぎこちない日が続くうちに、父が『妹』を連れてきた。急に現れた異母妹(ノエラ)の存在は複雑だったけど、まあ、貴族にはよくあることだから。


 子どもの頃だったら、許せなかったかもしれない。でも今まで私の方が父さまを独占していたんだから、この子にはんぶん譲ってあげよう。


 それに私には、フェルもいる。


 でも、フェルは……


「ロズ、いやロズリーヌ、お前ってホントつまらない女だな。ノエラの方がよほど魅力的だ。あーあ、なんで家のためにお前なんかと結婚しなくちゃならないんだよ!」


 フェルが私を望んでくれたのだと、そう思ってた。

 でも、違っていたのかな。


 それでも私は、次期当主夫人として認められたくて、懸命に頑張り続けた。そんなときだった。慈善活動に行った治療所で、患者の発疹に、気づいたのは。




 疫病患者用の病棟へと隔離された私に、母さまは、どんなに頼んでも鏡を貸してくれなかった。ただ頬をつたう涙が、そこにあるのだろう痘瘡(とうそう)に、ひりひりと染みた。


「フェルナン様は……今日も来ていらっしゃるのですね」


 私の言葉を聞いて、ごく小さな硝子窓がはまっただけの病室の扉越しに……母さまが言った。


「若様に、お会いしたい?」


 私は黙って、首を横に振った。

 彼には、一番きれいな姿だけを見て欲しい。


 私の病室から病棟の大扉までは少し離れているはずなのに、騒がしい声がここまで聞こえてくる。


『僕は彼女の、婚約者だぞ!?』


 ああもうフェルってば、また大騒ぎしてる。

 まだまだ子どもなんだから。


 あんなに弱虫で、立派な領主様になれるかな。私が助けてあげたかったけど、でももう、時間がないみたい。


 私の代わりは、やっぱりノエラになるのかな。本当に大丈夫? 行儀見習い、けっこう大変だよ? それとも隣領のご令嬢かしら。いい人が、見つかるといいんだけど。


 ……やっぱり、いやだな。


 本当は、まだずっと、()()フェルと一緒にいたかった。私こんなに頑張ったのに、ねえ、なんで!? フェルの隣は、ずっと、私だけの場所のはずだったのに……!


 でもそんなことを()()()しまったら、優しい彼は、きっと一生気にしてしまうだろうから――




 ――これまで本当にありがとう。

 あなたの幸せを、願っています。






――――――――――――――――――――――――



 三、幸せのありか



 整備の行き届いた街道から外れ、人里離れた小道を騎馬で行くこと、しばし。森の奥を切り開き隠すように作られたその場所には、いくつかの石の墓標が並んでいた。


 ここは斑点病と呼ばれる疫病に倒れた者達が、密かに眠る墓所である。かつてその病は、死した後も呪いを振り撒くと強く恐れられる存在だった。そのため墓所は森の奥深くに隠されて、親しい者が墓を参ることすら、長年の禁忌とされていたのである。


 だが私は無遠慮にその場へ立ち入ると、並ぶ墓標に一つ一つ目を配り、『彼女』の名を探す。やがてひとつの墓石が目に入ると、私はその前に膝をついた。


「ただいま、ロズリーヌ。会いに来るのが随分と遅くなってしまって、ごめんな」


 ――ロズを失ったあの日から、もう三十年余りの時が経とうとしていた。


 私は今、禁忌を破ってここに居るわけではない。正当な根拠を持って、ここに居るのだ。たとえ斑点病患者に触れようと、絶対に感染しない。そのお墨付きを持って、ここにいる。


 私は懐から小さな硝子管を取り出すと、墓石に向かってそれをかざした。硝子管の中には先が二股の針が一本、中空に固定するよう保管されている。


「これ、予防薬って言うんだよ。この予防薬を打ったらさ、一生ずっと斑点病にかからなくなるんだ。すごいだろ? この領も、ようやくほぼ全ての領民の接種が完了したよ。……この国から斑点病が消え去る日も、もうすぐだ」


 この予防薬の存在を知ってから、私はその普及に奔走した。自領へ、そして近隣他領へ働きかけて、未知なる存在を受け入れてもらえるように、周囲を説得し続けた。そしてようやく……ようやく、役目を終えたのだ。


「だからさ、帰って来たよ。これでようやく、君に触れることができる」


 墓石にかかった葉を私が払っていると、カサカサと晩冬の落ち葉を踏みしめる音がする。驚いた私が目を上げると、現れたのは老齢の夫婦らしき者達だった。


「これは……フェルナン様ではございませんか!」


「……すまん、知り合いだったか?」


「いや、覚えてないのもご無理はありません。わしらはかつて、若様に息子の怪我を治療していただいた者でございます」


「ああ、そうだったのか……。そういやお前達、迷いなく入って来たが……ここへは来たことがあるのか?」


「はい。若様がいち早くこの領での予防薬普及に尽力くだすったお陰で、わしらはこうして、再び家族に会いに来ることができたのです。他にも、多くの者達がここに眠る家族と再会することができました。……本当に、ありがたいことでございます」


 そういえば三十年も打ち捨てられていたはずなのに、墓石はどれも綺麗に磨かれて、通路の雑草もしっかりと払われているではないか。


「そうか、皆、再会できていたんだな……」


 それから私は少しだけ昔話をして老夫婦と別れると、手配しておいた空き家へと向かった。その屋敷は墓所まで日参できる近さの大きめの街の外れにあって、施療院に使えそうな間取りを持つものである。だが買ったはいいものの、一年以上無人だった建物は経年でひどい有様だ。


 明日の朝には旧知の使用人が住み込みでやってくる予定だが、老境に差し掛かった歳の夫婦である。あまり力仕事は頼めないだろう。


 もっとも改装のための人手を雇うにしても、有り余るほどの蓄えはあるのだが。……前線で貴族が働く見返りは、それ相応のものだった。だが趣味も家族もない身には、これといった使い途もなく……貯まっていく一方だったのである。


「とはいえ、さて、何から手を付けたものか……」


 建物を見上げて私が思案していると、通りから野太い声が掛けられた。


「若様! お帰りなさっとられたのですね!」


「お前は、確か……斧で足が千切れかけてた奴か!」


「はい! 今オレが歩けているのは、あのとき若様に救ってもらったおかげです。本当に、本当にありがとうございます!」


 無駄に大きな男の声を聞きつけて、わらわらと人が寄って来る。私が驚いていると、集まった者達は口々に喋り始めた。


「私だって、今こうしていられるのは、若様が治してくださったおかげです!」

「わしも、お陰さまでこの年でも元気に野良仕事が続けられとります!」

「出奔なさってから、ずっと戦場を巡っておられたと聞きました。若様よくぞ、よくぞご無事でお帰りに……」


 ボロボロと涙をこぼす老婆の方へと目を向けて、私は苦笑した。


「この年になって、どこへ行っても若様と呼ばれる破目になるとはな……」


「ああ、申し訳ございません!」


「いや、あながち間違ってはいないのかもしれんな。年ばかり取って、中身はあの日からちっとも変われない、バカなガキのままだ……」


 それから彼らに、ここに診療所を開きたい旨を伝えると、瞬く間に話が前へと進み始めた。他所の集落からまで人手が集まって、空き家は数日とたたずに立派な診療所へと、生まれ変わったのである。


 こうして出来た診療所には、連日遠くの村からまで人々が詰めかけるようになった。代金はいらんと言ったら、いつの間にか皆が置いていった礼物の山が出来ていた。


 パンに野菜に干し肉まである食糧の山は、あれから何人か増やしたとはいえ、私と使用人達だけで食べ切れる量ではない。


「……傷ませるのも勿体ないな。仕方ない、炊き出しでもやるか。近隣でどこか、大鍋を急ぎ借りられそうな所を知らないか?」


「炊き出し用の大鍋なら修道院にあるはずですが……しかしながら坊っちゃんが、御自らですか!?」


 驚いて目を丸める使用人の婆さんに、私はニヤリと笑って見せる。


「前線帰りを舐めるなよ。騎士団じゃ毎日が炊き出しみたいなものだ」


 そうして在庫一掃のために実施した炊き出しは、大盛況に終わった。のだが――。


「なんか礼物が前の倍以上に増えているんだが……さすがに我々だけで捌ききれる量じゃないだろ、これは……」


 断っても断っても増えてゆく食糧の山を前にして、私が頭を悩ませていると。


「ならば炊き出しは修道院も定期的にされとりますから、協力をお願いしてはいかがでしょう?」


「ああ……それが良いだろう」


 使用人達に間を取り持ってもらい、それからの炊き出しは近くの修道院と協力して行うことになった。三人ばかりのその小さな修道院の院長は、私と同年代くらいの女性とのことで、あのブエノワ男爵の遠縁にあたる治療術師であるらしい。


 フードを目深に被り物静かなその女性は、顔に子どもの頃に患った斑点病の、ひどい痘痕(あばた)が残っているのだという。だが予防薬の普及のお陰で恐がらずに彼女から治療を受けてくれる人が増え、感謝しているとのことだった。


 もうフードなんかで隠す必要はないだろうと言ってはみたが、彼女は黙って首を横に振った。女性にとって、やはり容姿の悩みは男が思うより深いのだろうか。いつか彼女が素顔を晒しても気にならない日が、来ればよいのだが。



 ――それからも診療所は、大盛況な日が続いていた。動けず来院できない人がいたら、馬を飛ばして駆けつけた。のんびりと余生を暮らすはずだったのに、忙しない日が続いている。


 日々を慌ただしく過ごしてゆく中で、私はようやく気が付いた。ただ目の前の一人を、全力で救いたい。一人でも多くの、笑顔を取り戻したい。


 かつてはあったその気持ちを、私はなぜ、忘れてしまっていたのだろうか。――難しい理屈など、何も必要なかったのだ。




 そして今日も、私は日課の墓参りに向かう。懐から取り出した袋には、今日の治療の礼にともらった花の種が入っていた。私はそれを少しずつ周りに蒔き終えると、墓石に向かって手をかざす。


 低く呪文を唱えると、法術の雨がさらさらと辺りに降りそそぎ……春の柔らかな陽光の下で、鮮やかな虹の彩りが揺らめいた。


 彼女が眠る墓石の周りへと、種を蒔き続けているうちに――いつしか辺りは、色とりどりの花に包まれていた。吹く風に舞う花びらが、静かに座る()()に降り積もっている。私はそれを軽く払ってやると、目の前に座り込んだ。


「ロズ、聞いてくれよ。ようやく見つけたんだ。治療術師の存在意義……いや、自分が本当にやりたかったことを。だからもう少しだけ、待っていてくれないか。必ず君に、胸を張って会いにゆくから」


 あの日からずっと抑え込んでいた涙があふれ、頬を伝った。


「フェル、()()に私はいないわ」


 不意に背後から掛けられた声に、私は涙を拭うのも忘れて振り向いた。そこに(たたず)んでいたのは、フードを目深に被った一人の女性である。


「院長……いや、まさか……!」


「本当は、黙って近くにいられるだけでよかったの。でもフェルってば、毎日誰もいないお墓なんかに通っているんだもの」


 そういえば、祭壇に置かれたロズの『棺』は空っぽで……その死に顔を見た者はいなかった。ただ葬儀で泣き崩れる母親の姿を、疑うものはいなかったというだけで。


「生きて、いたのか……? なぜ……」


「こんな顔になって、魔物扱いされるくらいなら……いっそ死んだことにして修道院へやってほしいと、お父様にお願いしたの。そうでもしなければ、貴方の隣を諦めることができそうになかった。でも貴方が帰って来たと聞いてしまったら……居ても立ってもいられなかった」


 私は覚束ない足でなんとか立ち上がると、彼女に一歩、近づいた。


「ロズリーヌ……なんだな?」


「……はい」


 小さな声で応える彼女に、私はまた一歩、歩み寄る。


「顔を……見せてくれないか?」


「それは……」


 俯く彼女に触れられる位置まで近づいて、私は震える手を伸ばした。


「見せて欲しいんだ。……頼む」


 すると彼女は意を決したように小さくうなずいて、そっとフードを背後にずらす。フードの下から出て来た両頬には、痛ましい瘢痕(はんこん)が広く残されていた。そして目尻の下には私と同じく、うっすらとした皺が時を刻んでいる。


 だがその面影は遠い記憶のそのままで――私は思わず、呟いた。


「とても……綺麗だ」


「うそ……」


「嘘じゃない。今も、昔も、ロズはいつだって誰よりも綺麗だ。本当の気持ちを伝えられなかったことを、ずっと後悔してた。僕は、ロズのことが何よりも大切で、そして……大好きなんだ!」


 呆然としたように立ち尽くす彼女の瞳に涙があふれ、頬を伝って落ちてゆく。私はまた一歩距離を詰めると、彼女を強く抱きしめた。


「もう二度と離さない。一生、僕のそばに居てくれるんだろう?」


 恐る恐る上げられた手が、私の背をつたう。やがてそれは半ばで止まると、ぎゅっと力が込められた。


「はい……!」


 再び強い風が吹き、辺りを色とりどりの花びらが舞った。だがこの美しく輝き始めた世界は、天上の景色ではない。


 私達が二人で歩む道は、まだ、ここにあったのだ――。







 -完-


最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

評価などいただけますと嬉しいです。

フェルナンが騎士団で何をして来たのかは、同シリーズの長編に少し出てきます。

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[良い点] 最高のラスト [一言] まさかのオチ 映画にしてほしい
[一言] まさしくハッピーエンドですね。 面白かったです。
[一言] ラスト!! よかったです!! フェルナンの過去話とても気になっていたので、前回もほろにがくてそれはそれでもよかったのですが、最後に救いがあって本当によかった…!!! 苦しんだ甲斐があったかな…
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