7話 第3訓練場
◆◆◆◆ウルキア◆◆◆◆
「…ウルキア」
「はい」
「僕さぁ…」
「はい…?」
「こんなに沢山の人がいるの初めて見たよッ!」
私の隣でロディが両手を上げてはしゃいでいる。目立つ。彼の首根っこを掴んで無理やり引きずっていく。
今は私とロディの二人きりだ。先程あったハンナとフォーダは受験者番号は「826」「828」と、随分と離れていて試験集合場所が違うことが予想されたため、別れた。というより、フォーダは私たちといることがあまり好きではないらしく、試験場所も分かっていないのにハンナを連れてどこかへ行ってしまった。
ここ、国立魔法学園では魔法の腕がものを言う。
普通、子供は六歳から初等学校で計算や文字、簡単な歴史など、基礎知識をつけて、中等学校でもう少し詳しい内容に加え基礎魔法を習う。
この試験では人間であれ魔人であれ同じテストを受ける。一般的なペーパーテスト(魔法については詳しく聞かれるが)、そして単純明快魔法のテストだ。魔法のテストの比率は大変大きく、魔法が良ければペーパーテストが得点率三十%でも受かるらしい。
私とロディの受験者番号は連番であり、それぞれ「1563」「1564」だった。
「見てっウルキア!1201-1763は第3訓練場ってところだって!」
「静かにして。そんなの見ればわかるでしょ。ていうか場所はどこよ。今まで探してきたけど地図がどこにもないじゃない」
すでに試験開始まで三十分程前だが、他の受験者の多くも場所が分からないのか、学校内でウロウロしている。何百人もの人を収容できるような場所は全くと言っていいほど見当たらなかった。
「それらしいところもなかったよね。あ、でも僕さ、気づいたことがあるんだ!」
ロディはニシシッと笑って聞いて欲しそうにしていた。
「…何。さっさと言って」
「うーん…あんまり大声で言わない方がいいっぽいからちょっとこっちきて」
どうやら小声で話すべきことらしい。十センチもないところにお互いの顔がきたが、私はもとより彼も気にしないタイプだ。そこはありがたいところだ。
「あのね、よーく魔力を感じてみて」
「……。学園に張り巡らされているらしい結界は感知できているわよ。他にも受付にある魔道具とかは」
「そうじゃないけど…。……正規のルートじゃないかも、これ。ウルキアレベルが無理って、魔人の中でも魔力感知が得意な種族じゃなきゃダメっぽい」
「…行けたら行けたいいでしょ」
「ん!分かった!」
するとロディは私たちが通ってきた方、すなわち受付の方に向かって受験者の波を逆走していった。
そして「校外へ出た」。
「なっなにしてんの!」
「もう受付はしてあるし大丈夫だよ!それにあれくらいの距離なら僕とウルキアなら何かあっても余裕で聞こえるから!」
そのままロディは学園に沿って半周ほどしたところで止まった。
「ほら、あったよ!第3訓練場!」
「なっ!!…なっ!……」
…ウルキア?おーい!
言葉が出ない。目の前でロディが呑気に手を振っている。なんでわかった?入っていいのか?そもそもここは本当に第3訓練場なのか???色々な疑問が頭の中で現れては消えてゆく…。
もう学園からは出てしまったのだし、ここは第3訓練場と書かれてある。人がいたら聞けば良いだろう。そう思い、第3訓練場に足を踏み入れた。
入ったところは広間になっていて百人ほどなら収まりそうだ。入り口から辛うじて見えるところに台がある。そしてその奥には森。
ロディはさらにどんどん進んでいく。そして台の前に行き、
「…おじさんが、試験官ですか?」
彼はなにもいない空間に向かって話しかけた。




